【タイの反応まとめ】高市早苗新首相に対する大手メディアとSNSの反応

【タイの反応まとめ】
高市早苗新首相に対する大手メディアとSNSの反応
2025年10月、日本の新首相に高市早苗氏が就任したニュースは、タイでも大きな注目を集めました。「日本初の女性首相」という歴史的快挙への称賛から、その保守的な政治姿勢への警戒、さらにはSNSでのユーモラスな「ミーム化」まで、その反応は実に多様です。
この記事では、タイの大手メディアが彼女をどう報じているのか、そしてPantip(タイ最大の掲示板)やX(旧Twitter)など、ネット上ではどのような本音が語られているのかをまとめ、タイ社会が高市新首相をどう見ているのかを深掘りします。

主要メディアの論調:「鉄の女」と「強硬な保守派」
まず、ThairathやMatichonといったタイ語メディア、そしてThe Nationなどの英語メディアは、高市新首相を主に2つの分かりやすいキーワードで報じる傾向にあります。
①「初の女性首相」というサクセスストーリー
各メディアがこぞって「歴史的快挙」と見出しを打ち、タイ語メディアのThairathは「日本の鉄の女(ผู้หญิงเหล็กของญี่ปุ่น)」という表現でイギリスのサッチャー元首相になぞらえました。また、Matichonは「ガラスの天井を破った女性」と報じ、男性中心の社会でトップに立った「強い女性」としての側面を好意的に紹介しています。
②「強硬な保守派」というレッテル
彼女の政治信条を伝えるため、タイ語メディアは「タカ派(สายเหยี่ยว)」と表現。The NationやThai PBS Worldといった英語メディアも同様に、彼女を「強硬な保守派(hardline conservative)」であり、「安倍晋三元首相の弟子(protégé of Shinzo Abe)」であると報じました。特に、Khaosod Englishは彼女が靖国神社への参拝意欲を示している点を挙げ、その政治姿勢を象徴的に伝えています。
SNSの反応:
賛否、ミーム、そして“自分ごと”化するタイのネット世論
一方、SNSやネット掲示板では、より多角的で本音に近い反応が渦巻いています。
① Pantipでの深掘り議論:政治・経済から地政学まで
タイ最大の掲示板Pantipでは、「なぜ彼女が勝てたのか」という日本の派閥力学の分析や、彼女の保守的な政策に対する賛否両論が活発に交わされています。中には「日本の保守化が東アジアの地政学に与える影響」といった、専門的な長文考察も投稿されています。
② X・Facebookの多様な声:称賛、ミーム、そして懸念
X(旧Twitter)やFacebookでは、より多様な反応が見られます。「アジア全体の前進だ」という称賛の声や、ヘヴィメタルバンドのドラマーだった経歴を面白がりアニメキャラに例える「ミーム化」。また、The Nationが報じたように、彼女が「ワークライフバランスという言葉は捨てる」と発言したことに対し、SNS上で「その熱意は支持する」「時代錯誤だ」と賛否両論を巻き起こしました。
③ タイの現状との比較と“#高市やめろ”への共感
特に目立つのが、自国の状況と比較する視点です。「日本で女性首相が誕生したが、タイはまだだ」と自国のジェンダーギャップを憂う声や、日本のSNSで「#高市やめろ」がトレンド入りしたことに触れ、「タイの政治騒動と他人事じゃない」と皮肉交じりに共感するコメントも見られます。
まとめ:タイ社会が映し出す高市新首相のイメージ
タイにおける高市早苗新首相への反応は、大手メディアが作る「初の女性宰相」「強硬な保守派」という分かりやすいイメージと、SNS上で語られる複雑な本音が共存しているのが特徴です。特に、タイのネットユーザーは彼女の誕生というニュースを通して、自国の政治やジェンダー、国際関係について考える“鏡”として捉えている様子がうかがえます。
鉄の女やガラスの天井といったイギリスやアメリカの女性政治家の発言を引用した内容が多くみられました。
この記事を書いた人
keita satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスの持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォロワー1700人)や複数のSNS(総フォロワー7万人以上)を運営する。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。

