【検証】 SNSで大炎上中の韓国首相がカンボジア特殊詐欺に関与する「タイ政治家7名」の噂
2025年10月19日(日)、タイの大手経済紙「ターンセータキット(Thansettakij)」から、「韓国首相が、カンボジアの特殊詐欺に関与するタイの政治家7名を名指しした」という衝撃的な報道がなされました。
これに一部の著名な学者やジャーナリストも同調したことにより、タイのソーシャルメディア(SNS)上で情報が急速に拡散し、大炎上する事態となりました。
しかし、この記事は【検証】記事です。
結論から言うと、この噂はタイ・韓国の両政府が公式に「完全なフェイクニュース(デマ)」であると強く否定しています。
一体何が起きたのか、両政府の公式な見解(一次情報)を含めて時系列で整理します。
【結論】両政府が「事実無根」と即日否定
この異例の事態に対し、韓国・タイの両政府は報道が出た10月19日(日)の同日中に、極めて迅速に公式な否定声明を発表しました。
韓国側:在タイ韓国大使館が「法的措置」も表明
まず、韓国政府を代表し、在タイ韓国大使館が公式Facebookページを通じて、今回の騒動に関する最も重要な声明を発表しました。
- 噂の発端となった「ターンセータキット」紙(10月19日付)の記事を名指しで特定。
- 「(記事の内容は)完全に虚偽であり事実無根である」と断定。
- 「韓国首相はそのような発言を一切していない」と明確に否定。
- 「虚偽情報の拡散に強い遺憾の意」を示し、「法的措置を含む必要な措置を講じる」と、極めて強い言葉で警告しました。
(大使館声明原文抜粋: “The Government of the Republic of Korea makes it clear that such claims are completely false and baseless. The Prime Minister of the Republic of Korea has not made any comments of the sort.”)
タイ側:タイ政府報道官も「フェイクニュース」と断定
同じく10月19日(日)、タイ政府報道官のチャイ・ワチャロン氏も、政府としてこの噂を公式に否定しました。
- 関連する外交ルートを通じて確認したが、「そのような事実は確認できなかった」。
- 拡散されている情報は根拠がなく(ไม่มีมูลความจริง)、政治的混乱を招く意図がある可能性に言及。
- 国民に対し、不確かな情報を安易に共有しないよう強く呼びかけました。
タイの主要メディア(Matichon, Thairath, PPTVHD36, Mgronlineなど)も、両政府の公式否定を相次いで報じています。
現時点で分かっている「事実」のまとめ
今回の騒動について、現時点で確認されている「事実」は以下の通りです。
- 事実: 韓国首相が「タイ政治家7名」に言及したという公式な発言録や文書、証拠は一切存在しません。
- 事実: 噂の発端となった経済紙「ターンセータキット」の報道は、在タイ韓国大使館から名指しで「誤報(フェイクニュース)」と公式に否定されました。
- 結論: この騒動は、大手メディアの報道を発端とした「公式な裏付けのない流言(デマ)」であった可能性が極めて高いです。
まとめと情報源の確認
大手メディアの誤報道が発端となった今回の炎上劇ですが、AIのハルシネーションやフェイクニュースやディープフェイクの動画等、発信者はもちろんですが、視聴者もより厳格なファクトチェック(情報の正確性・妥当性を検証する行為)が必要になってきています。
タイ国内では、特に政治的にセンシティブな話題がSNSで急速に広まる傾向があります。今回のように、大手メディアの報道が発端であっても、両国の政府が即座に公式声明を出す事態にまで発展することもあります。
読者の皆様におかれましても、衝撃的な情報を目にした際は、まず一次情報(今回であれば「在タイ韓国大使館の公式Facebookページ」や「タイ政府報道官の発表」など)を確認するよう心がけてください。
出典・参考サイト
- 在タイ韓国大使館 公式Facebookページ (주태국 대한민국 대사관)
https://www.facebook.com/KoreanEmbassyThailand/ - Matichon (มติชนออนไลน์)
- Thairath (ไทยรัฐ)
- PPTVHD36
- Mgronline
- Thansettakij (ฐานเศรษฐกิจ)
この記事を書いた人
keita satou(タイムラインバンコク編集部)
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォワー1700人)や複数のSNS(総フォワー7万人以上)を運営する。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。

