【VAT込5円超】1バーツ4.7円に突入 1万円=2130バーツの為替レート VAT,NET,++の解説と計算式

タイ在住者や旅行者にとって、非常に厳しいニュースが飛び込んできました。タイ・バーツの上昇が止まらず、2025年10月30日の外国為替市場(Google Finance)において、ついに1バーツ=4.7円の節目に突入しました。
これにより、両替所のレートでは1万円を両替しても約2,130バーツとなっております。さらに深刻なのは、タイ国内で消費する際の「実質コスト」です。
旅行者にわかりにくいNETや++表記についても解説します。
実質「1バーツ=5円」超え(VAT込)の衝撃
VAT(ブイエイティー)は、日本の消費税(しょうひぜい)とほぼ同じものです。
どちらも、商品やサービスを買う(消費する)時にかかる「間接税」です。
タイでは7%です
タイで商品やサービスを購入する際にかかる付加価値税(VAT 7%)を考慮すると、4.7円のバーツ価値は実質的に「5円の壁」を超えたことになります。
【計算式】 4.7円 × 1.07(VAT 7%) = 5.029円
これは、タイで1,000バーツの商品を(VAT別)で購入する場合、日本人にとっては実質的に5,029円を支払っている感覚になることを意味します。この「バーツ高・円安」の進行は、タイ経済、そして在住者・旅行者の双方に大きな影響を与え始めています。
サービス料金がかかる場合の計算式(NETや++)表記の場合
[料金+(料金×サービス料率)]×1.07(VAT)となります
1000バーツの料金の場合:
- 料金 + サービス料(10%): まず、元の料金にサービス料が加算されます。(例)料金 1,000 B + (1,000 B × 10%) = 1,100 B
- (料金 + サービス料) + VAT(7%): 次に、サービス料が加算された合計金額に対して、VAT 7%が課税されます。
(例)1,100 B × 1.07 = 1,177 B - 1177B × 4.71=5543円
という計算式になります
バーツ高の背景:アジア通貨で上昇率2位
今回のバーツ急騰は、タイ・バーツがアジア通貨の中で際立って強いことを示しています。最新の市場動向によると、タイ・バーツは今月(10月)、月初来の上昇率でインド・ルピーに次ぐアジア通貨第2位のパフォーマンスを記録しています。
この要因としては、9月にも報じられた以下の点が引き続き影響していると考えられます。
- 米国の利下げ観測: 米国経済の動向により、米ドルが売られ、相対的にバーツなどの新興国通貨が買われやすくなっている。
- タイの政情安定: アヌティン新政権発足後、政治的な不透明感が後退したことで、海外からの投資マネー(資本流入)がタイの債券市場などに向かっている。
経済への懸念と在住者・旅行者への影響
この「行き過ぎたバーツ高」に対し、タイ政府は強い懸念を抱いています。
当サイトでも以前(9月16日)報じた通り、アヌティン首相はバーツ高がタイ経済の基盤である輸出産業や観光業に深刻な影響を与え始めているとして、関係各所に緊急指示を出したばかりです。(参照記事:止まらぬバーツ高にタイの新首相アヌティン氏から緊急指示)
- 輸出への打撃: タイ製品の価格が国際市場で割高になり、競争力が低下。輸出企業の収益を圧迫します。
- 観光への打撃: 外国人観光客にとってタイ旅行の費用が割高になり、観光収入の減少につながる恐れがあります。
そして何より、日本円で生活費を受け取っている在住者や、日本から訪れる旅行者にとっては、この「1バーツ4.7円(実質5円超)」というレートは、生活費や旅行予算を直接圧迫する深刻な事態です。
まとめ:AIの予測が現実味を帯びる
VAT込みで5円込みはついにきたかというイメージです。飲食店やサービス業やチップを支払うお店ではさらに実質支払い金額が増加します。
以前、当サイトではAIによる2026年の為替予測(【タイバーツ】2025年アジア最強通貨へ?)を紹介しましたが、そのシナリオが(日本人にとっては悪い形で)現実味を帯びてきたとも言えます。
9月に政府が介入姿勢を見せたにもかかわらず、再びバーツ高が進行していることで、タイ中央銀行(BOT)が今後、市場介入などの具体的な対策に踏み切るのか、あるいはこの流れを容認するのか。タイ在住者・旅行者は、今後の為替動向とタイ政府の発表に最大限の注意を払う必要があります。
出典・参考サイト
- Google Finance (THB/JPY)
- Bangkok Post (関連報道)
- Thairath (関連報道)
この記事を書いた人
keita satou(タイムラインバンコク編集部)
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォワー1700人)や複数のSNS(総フォワー7万人以上)を運営する。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。

