東京のマッサージ店 タイ人少女(12)を働かせた労働基準法違反で逮捕 母親に置き去りにされ人身取引か
東京都文京区の「個室マッサージ店」で、12歳のタイ国籍の少女が働かされていたとして、警視庁は2025年11月4日、店の経営者である細野正之容疑者(51)を労働基準法違反(最低年齢)の疑いで逮捕しました。
少女は母親とともに来日した後、一人で日本に取り残されていたとみられています。警視庁は、この事件が潜在化する「人身取引」の一端である可能性も視野に、実態解明を進めています。
事件の経緯:短期滞在で来日後、母親に置き去りに
捜査関係者によると、事件の経緯は以下の通りです。
- 2025年6月下旬:
少女(12)は母親と共に、短期滞在(15日間)の在留資格でタイから入国。少女は日本語を話せなかった。 - 7月中旬:
母親が一人で日本を出国し、少女は取り残された。 - 7月~9月:
少女は、細野容疑者が経営するマッサージ店で働かされたとされる。店側が借りた部屋(報道によれば台所)で寝泊まりし、わずかな食事代などを与えられていたという。 - 9月中旬:
入国から約3カ月後、少女が自ら東京出入国在留管理局を訪れ、「働かされていた」と相談し、事件が発覚した。
逮捕された経営者
今回、労働基準法違反(最低年齢)の疑いで逮捕されたのは、マッサージ店「リラックスタイム」の経営者・細野正之容疑者です。
- 氏名: 細野 正之(ほその まさゆき)
- 年齢: 51歳
- 住所: 東京都
店舗は「個室マッサージ店」と称していましたが、一部報道では、客に性的サービスが提供されることもあったとされています。細野容疑者は「金のためだった」と供述していると報じられています。
背景にある「人身取引」とは
警視庁は、この事件が「潜在化する人身取引の一端」とみて捜査しています。
人身取引とは、売春や強制労働などを目的に、暴力や脅しといった手段で人を移動させたりする行為を指します。国連の議定書では、被害者が18歳未満の場合、脅しなどの手段がなくても人身取引とみなされます。
朝日新聞の解説によると、背景には貧困や紛争などがあり、弱い立場にある人が狙われやすく、加害者には国際的な犯罪組織だけでなく、被害者の親族が含まれることもあるといいます。今回の事件も、母親が関与した可能性が疑われています。
少女の現在とネットの反応
少女はある日、覚めると一人でした。
わずかな食事代などを与えられ店側が借りた部屋で寝泊まりしながら店で働かされたそうです。
報道によると、少女は現在保護されており、「(タイの)学校に通いたい」と話しているとのことで、関係機関が精神的なケアを優先し、帰国に向けた支援に取り組んでいます。
この痛ましい事件に対し、日本のネット上では以下のような声が上がっています。
ネット上の主な反応
- 「12歳で言葉も解らない所(日本)に置いていかれて…可哀想で吐き気がする」
- 「日本語が話せない状態から3ヶ月で(入管に)出来るようになったことが素晴らしい。それに比べて大人たちのなんと醜いことよ」
- 「母国に帰しても毒親の下に戻るしかないのでは?帰国しない方が良いと思う」
- 「(入管に相談するのが)難民狙いだと思う。こんなの小6の子どもがいきなり知ってるわけない」
まとめと相談窓口
たった12歳のしかも外国籍の少女が“働かされていた”というこの事件は、日本社会の見えない場所で起きている人身取引の闇を突きつけています。海外でのこのような報道は目にしたことがありますが、まさか日本でこのような事件が起こるとは思ってもみませんでした。経営者はもちろんの事、悪質な利用者への追及もしてほしいものです。
現在、少女を置き去りにした母親や、背後の斡旋ルートについても解明が待たれます。
内閣府は「自分が被害者だと気づいたり、被害者らしき人を見かけたら、最寄りの警察署(#9110)や匿名通報ダイヤル(0120・924・839)に連絡してください」と呼びかけています。
この記事の出典
- Yahoo!ニュース
- 朝日新聞デジタル
この記事を書いた人
keita satou(タイムラインバンコク編集部)
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォワー1700人)や複数のSNS(総フォワー7万人以上)を運営する。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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