母に売られ、東京で61人の客を相手に。12歳タイ人少女「置き去り事件」の詳細とタイ人の反応
「この20年で最悪級の母子人身売買事件」として、日本、タイ、台湾のメディアで大きく報道されている衝撃的な事件が発生しました。
12歳のタイ人少女が母親に連れられて来日し、東京・文京区のマッサージ店で性的サービスを強制されていたこの事件に対し、タイのSNSでは母親や犯人に対する怒りの声が殺到し、「大炎上」状態となっています。この記事では、事件の詳細な経緯とタイ人のリアルな反応をまとめます。
1. 事件の詳細(来日から保護まで)
報道により明らかになった、あまりにも過酷な事件の詳細は以下の通りです。
少女(Aさん)と母親:借金返済のための渡航
被害者の少女「Aさん(仮名・12歳)」は、タイのペチャブーン県で祖父母と妹と生活していました。父親は他界しています。
母親(29歳)は、シンガポール、台湾、日本など海外で働いていましたが多額の借金を抱えていました。
Aさんが中学に入学後、帰国した母親は借金返済を目的に「日本は稼げる」と娘を説得。2025年6月27日、短期滞在(15日間)で母と共に東京へ渡りました。
店の実態と母親による「指南・置き去り」
東京到着後、Aさんは東京・湯島のビル3階にあるタイマッサージ店「Relax Time」(店主:マサユキ・ホソノ)に連れて行かれました。店は夜賑わうショッピング街にあり、複数のタイ人女性が集団生活をしていました。
店の実態は違法な性サービスも提供するマッサージ店で、ウェブサイトにもセクシーな女性スタッフの写真掲載。
Aさんは働きたくなかったが、母親に逆らえず、結局母親は現地で娘を置き去り、10日後に一度店を再訪した後、再び姿を消す。
- 母からの性的サービスの指南:
渡航初日、母親自らが娘に性的サービスの方法を教え込みました。「客の性器を撫でるだけで済む」などと具体的な行為を指南したとされています。Aさんは嫌がりましたが、「母親を怒らせたくない」「従わねばならない」という心理状態に追い込まれていました。 - 置き去り:
初日は母と共に宿泊しましたが、翌朝、母親は失踪しました。LINEで「仕事していれば迎えに行く」というメッセージだけが残されていました。10日後に一度母親が現れましたが、「妹を先にタイへ連れて帰る」と言い残し、再び去っていきました。
強制労働と過酷な現実
母親が去った後、Aさんは毎日強制労働を強いられました。
- 過酷な環境:
深夜は店の厨房の床で、布団もなく寝かされました。食事もまともに与えられませんでした。 - 61人の客:
33日間で61人の男性客(40〜50代中心)を相手にさせられました。 - 報酬の搾取:
稼いだ報酬は合計約140,000バーツ(約627,000円)に上りましたが、半分は店主が、もう半分は母親の知人が管理(後に送金)し、Aさんの手元には残りませんでした。必要時は母にLINEで生活費を要求するしかありませんでした。
Aさんは精神的に追い詰められ、毎日泣きながら「家族のために我慢」と自分を納得させていたといいます。
脱出と保護:Google翻訳でのSOS
その後、別の店舗でも労働を続けさせられましたが、Aさんは限界を迎えていました。日本語は話せませんでしたが、複数のタイ人女性に相談し、「ビザ超過でももう逮捕されていい」と決意を固めました。
2025年9月20日、Aさんは店を脱出し、東京入国管理局へ駆け込みました。
「母に捨てられ、学校へ戻りたい、逮捕されても構わない」
と必死に訴え、保護されました。
報道によれば、客の一人が秘密裏にGoogle翻訳などを通じて彼女の事情を知り、入管へ行くよう助言・協力したという事実もあったようです。
2. 店主・共犯者の逮捕と母親のその後
日本の警察は、店主がタイ語を話せないのに、入れ替わり立ち替わりタイ人女性が働いていることから、仲介業者が斡旋していると見ています。容疑者の携帯電話から組織を解明し、タイ国内の仲介業者を逮捕したい意向で、「そうでなければ日本が犯罪の温床になる」と述べています。
- 店主らの逮捕:
11月4日、警察が店を捜索し、日本人店主(細野正之容疑者)とタイ人女性(ギッティヤポーン・ホムチャン容疑者)を逮捕しました。店主は「母に18歳と聞かされた」と主張していますが、児童労働法違反に加え、人身売買罪でも捜査が拡大しています。 - 母親の逮捕(台湾):
母親は事件後、台湾に逃亡し、現地でも売春を行っていましたが、現地当局に逮捕されました。過去27回にわたり日本・台湾・ベトナム・シンガポールへ渡航し売春を行っていた履歴があります。現在は国際手続きでタイへの送還が進められており、今後タイ警察による捜査が行われる予定です。
最年少の外国人人身売買被害者
メディアは、「これは過去20年間で最も衝撃的な『母親が娘を売った事件』だ」 と報じており、Aさんは日本における最年少の外国人人身売買被害者でもあります。
Aさんは、東京都児童相談所に保護されており、タイ大使館を含む多くの関係機関が支援を提供しています。今はAさんの精神的なケアが優先されていますが、Aさんは祖父母と妹をとても恋しがっており、タイに帰りたがっています。
Aさんは、「私は一生日本を恐れるだろうが、助けてくれた警察に感謝している」 と語りました。
このニュースは日本の複数のニュースサイトでトレンド1位になり、日本の人々から広くコメントが寄せられました。例えば、「客61人も逮捕すべきだ」「未成年を連れてきておきながら、母親一人だけ帰国させた入管を非難する」「東京のタイ式マッサージ店は200店舗以上あり、その80%が違法で、タイ人女性の多くは不法入国している」といった意見が出ています。
3. タイのネットやSNSの反応(大炎上)
SNS上では、実の娘を売った母親に対する激しい怒りと、少女への同情、日本人経営者と客への非難、タイの経済や社会構造、タイや日本の政府へのコメントに分類されましたが、タイ人の反応としては母親への怒りが目立ちました。タイ語のコメント2000件以上から抜粋
😡 母親への怒り・非難(最も多い反応)
- 母親が一番の悪魔だ
- 貧しくても子どもを売らない親はたくさんいる
- 娘を商品扱いした時点で親ではない。地獄で償え
- 自分の欲のために娘を犠牲にした。母親の名前を公表すべき
- 犯罪者として厳しく裁かれるべき。
- こうした親の存在は社会の失敗の証拠。
- 「母親」とは呼びたくもない。
- 子供への裏切り行為だ。
- タイ人女性の名誉まで汚した
- 母親がクソすぎる
- 犬だって自分の子供を愛してるぞ
- (母親は)16歳か17歳で(この子を)産んでる。自分と同じ道を歩かせようとしている
- 自分(母親)が借金を作ったのに、なぜ子供に返済させるんだ
🩵 少女への共感・応援
- まだ12歳…どれだけ怖かっただろう。あなたは勇者です
- 日本語も話せないのに入管へ行ったことに涙が出た
- 早くタイに帰って、普通の生活を取り戻してほしい
- あなたは何も悪くない。大人たちが間違っていた
- 読んでいて涙が流れた。本当に可哀想だ
- “หนูพร้อมถูกจับแล้ว”(もう逮捕される準備はできています)という言葉が辛すぎる
- これからあなたの人生に良いことだけが訪れますように
- “หนูคงกลัวญี่ปุ่นไปตลอดชีวิต”(日本はずっと怖い場所になると思います)。この言葉を読んで涙が止まらない
- 記事を最後まで読めない。心が張り裂けそうだ
- 12歳はまだ子供だ。私たちの娘も同じ年齢。信じられない
🔥 店・犯人・客への批判
- 店主を一生刑務所に入れろ
- 61人の客を特定して全員逮捕しろ。“知らなかった”は言い訳にならない
- 日本の性産業の闇が明らかになった
- マッサージを隠れ蓑にした犯罪を見逃すな
- “ร้านนวดไทยสร้างชื่อจริงๆ ในต่างประเทศ”(タイマッサージは海外で本当に『名を上げている』な(強烈な皮肉)
- こういう違法な店が、真面目にやっている他の店の評判を全て台無しにする
- こういう店は日本にもっとたくさんある。8割は違法だ
- オーナーはタイ語が話せないのに、タイ人女性が次々入れ替わっていた。タイ国内にブローカーがいるはずだ
- 湯島(ユシマ)! 上野の近くだ。あそこはタイのマッサージ店やスナックが本当に多い
- 日本の風俗は外国人女性を搾取している
- こういった場所には絶対に行くな。
- こんな場所があること自体おかしい。
⚖️ タイの経済・社会構造へのコメント
- 貧困と教育格差が全ての根源
- “外国に行けば稼げる”という幻想が人を壊す
- ブローカーと借金制度が女性を食い物にしている
- 給料や雇用の安定が得られない社会が悪い。
- 物価上昇と格差拡大の影響が深刻。
- 子供が働かざるを得ないのは貧困の現実。
- 教育や福祉政策が十分でない。
- 地方では仕事がないから都会や外国に出るしかない。
- 家族みんなで海を渡ってまで働かなければならない。
- 親世代の借金が子ども世代に連鎖する構造。
- この事件は個人ではなく社会問題
🏛️ タイ・日本政府へのコメント
- タイ政府は被害者を早く帰国させろ
- 日本とタイが協力して人身売買組織を潰せ
- 日本の入管は母親を帰した責任を取れ
- 闇ビジネスに行政がきちんと切り込むべきだ。
- 警察の監視・捜査漏れの責任はどうなっているのか。
- 「事件後」に動くだけでなく「予防」を重視してほしい。
- 「入管が母親を帰したのは重大ミス」
- 両国の法整備が追いついていない
- タイの法律は甘すぎる。タイに送還されてもすぐに出てくる
- こういう奴らのせいで、真面目に旅行したいだけのタイ人女性が日本の入管で厳しく審査されるんだ
- 韓国みたいに、日本も(タイ人の)ビザ免除を停止するんじゃないか
- (皮肉)タイの警察なら、この店は『ค้าประเวณีแน่นอน(絶対に売春はしていない)』と発表するだろう
- 日本は加害者(オーナー)の顔を隠さないのに、タイは(人権に配慮して)隠す。おかしい
4. まとめ:事件の背景にあるもの
今回の事件は、単なる個別の犯罪ではなく、タイの「貧困・格差問題」と、母親による国境を越えた「国際的な人身売買ネットワーク(ブローカー)」が存在する現実を浮き彫りにしました。
日本側も「顧客(61人)の責任追及」や「風俗業界の闇」が厳しく問われており、二度と同じような犠牲者を出さないためにも、日タイ両国が協力して再発防止に取り組むことが強く求められています。
この記事の出典
- https://www.facebook.com/poetryofb
- The Nation Thailand
- Thai PBS
- CNA Taiwan
- Facebook, X (Twitter), Pantip等のSNSコメント
この記事を書いた人
keita satou(タイムラインバンコク編集部)
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォワー1700人)や複数のSNS(総フォワー7万人以上)を運営する。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
タイムラインバンコク編集部
Facebook(keita satou)
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