タイスキ戦争続報 セントラルグループがLucky Sukiの株の40%取得
タイの火鍋・スキ市場(しゃぶしゃぶ市場)で、地殻変動が起きています。2025年11月、タイの小売・飲食最大手であるCRG(セントラル・レストラン・グループ)が、急成長中の新興勢力「Lucky Suki(ラッキースキー)」の株式40%を取得したことを発表しました。
これにより、従来の「MKレストラン(既存の王者)」と「Suki Teenoi(新興の巨人)」の2強体制に、セントラルグループという巨大資本が加わった「Lucky Suki」が本格参入。「タイスキ戦争」は三つ巴の戦いへと突入しました。
1. 驚異的成長企業「Lucky Suki」とは?
「Lucky Suki」は、2022年1月にレストラン業界未経験の4名によって設立された、タイで今最も注目されるビュッフェブランドの一つです。その成長スピードは驚異的です。
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Lucky Sukiの財務データ(2022-2024年)
- 売上収益:
2022年: 約 7,973万バーツ
2023年: 約 4億919万バーツ
2024年: 約 10億1,545万バーツ(創業から3年足らずで売上12倍以上) - 純利益:
2022年: 約 266万バーツ
2023年: 約 4,630万バーツ
2024年: 約 1億843万バーツ(利益率10.7%という高い収益性を達成)
(出典:fnsyrus, pptvhd36, thansettakij等)
2. CRG(セントラル)による9.4億Bの戦略的買収
この急成長を受け、2025年11月、CRG(セントラル・レストラン・グループ)は、Lucky Sukiの親会社であるMiracle Planet社の株式40%を、9億4,000万バーツで取得しました。
この提携の狙いは明確です。Lucky Suki側は、セントラルグループの持つ強力な資本力、サプライチェーン、そして何より「セントラル系ショッピングモール」という一等地の立地開発ノウハウを活用し、店舗網を一気に拡大します。一方、CRG側は、タイの飲食市場で最も成長している低価格ビュッフェ市場のシェアを獲得することができます。
3. 激化する「三つ巴」の競合環境
今回のCRGの参入により、約250億バーツ規模のタイの火鍋・スキ市場は、以下の「三強」による競争体制が確立しました。
- MK(既存の王者):
売上規模(約137.8億B)は依然として最大ですが、成長は鈍化。ブランドの安心感が強みですが、低価格ブランド(BONUS Suki)などで対抗しています。 - Suki Teenoi(新興の巨人):
売上約70.8億B。「激安バイキング(299B前後)」とSNSのバイラル力で若年層を席巻しました。最近はプレミアムブランド「Teenoi Gold」も展開しています。 - Lucky Suki(CRG連合):
売上10億B超。Suki Teenoiのような「激安戦争」とは一線を画し、「価格+満足度(コスパ感)」と「映える体験」という中間層のポジションを確立。CRGの資本力でSuki Teenoiを猛追します。
さらに古参のシャブシやローカルブュッフェも含めるとかなりの激戦です
まとめ:タイスキ戦争は「長期戦」へ
CRG(セントラル・レストラン・グループ)によるLucky Sukiへの大型出資は、タイの「スキ戦争」が一過性のブームではなく、大手が本格的に資本を投じる「長期戦」の局面に入ったことを象徴しています。今後は単なる価格競争だけでなく、立地開発、ブランド価値、体験価値(メニューの多様性など)を含めた総合力での戦いが一層激化していくとみられます。
消費者にとってはありがたい一面、競争力の高い巨大資本だけが勝ち続ける構造は個人商店にとってかなり打撃となります。バーツ高の影響も相まって現在では観光客もかなりの数が低価格タイスキを楽しむ姿も見られます。
この記事の出典
- Nation Thailand
- Bangkok Post
- Thansettakij
- pptvhd36
- fnsyrus
- バンコク週報 (Bangkok Shuho)
- Marketing Oops!
この記事を書いた人
keita satou(タイムラインバンコク編集部)
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォワー1700人)や複数のSNS(総フォワー7万人以上)を運営する。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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