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【死者162名】タイ南部洪水の被害状況や最新情報のまとめ

タイ南部洪水の水が引いた後、路上に山積みになった瓦礫や家財道具。「タイ南部の洪水被害 住民のストレスもピークに 現在の状況と最新情報まとめ」という文字と「出典:Khaosod」が入ったサムネイル画像。
keita satou

タイ南部を襲った大洪水の被害は、水が引くにつれてその凄惨な全貌を現し始めました。

2025年11月30日現在の最新情報では、死者数が162名に急増。政府は対応の遅れを認めて謝罪し、現地責任者の更迭や新たな支援策を次々と発表しています。

治安の悪化、遺体の発見、そして外国人観光客への救済措置など、今現地で起きていることをまとめます。

死者162名、遺体安置所が満杯に

これまでアクセスの難しかった地域から水が引き始めたことで、住宅内や孤立集落から逃げ遅れた遺体が次々と発見されています。

  • 死者内訳:
    南部8県で合計162名。最大の被災地ソンクラー県だけで126名が亡くなっています。
  • 現地の状況:
    病院の遺体安置所はキャパシティを超え、冷蔵トラックが手配される事態となっています。

時系列で見る:タイ南部の洪水に関するまとめ

11/25夜〜26日:救助隊への発砲事件

ハジャイ市内の「ゾーン8」周辺で、ボートで物資を配布していたレスキュー隊に対し、住民側から銃が発砲されました。応援に入った隊員は「20発以上の銃声を聞いた」と証言。支援が届かないことへの不満が爆発したと見られますが、安全確保のため夜間の活動が一部中止となりました。

11/28〜29:ビール倉庫での集団略奪

ハジャイ郊外にある大手飲料メーカーの倉庫が浸水し、近隣住民が集団で敷地内に侵入。流出した商品だけでなく、倉庫の奥から新品のビールケースなどを持ち去る様子がSNSで拡散されました。「モラル崩壊」としてタイ社会に大きな衝撃を与えました。すでに4名が逮捕されています。

11/29:死者162名へ急増・郡長の更迭

水が引き始めたことで孤立地域から多数の遺体が発見され、死者数が一気に162名(ソンクラー県だけで126名)に修正されました。事態の深刻化を受け、内務省は指揮系統の混乱を招いたとして、ハジャイ郡長および警察署長を事実上の更迭(異動)処分としました。

11/30:首相の現地入りと謝罪

アヌティン首相(兼内務大臣)が再び現地入りし、被災者に対して「政府の対応に不備があった」と公式に謝罪しました。「14日以内の正常化」を目標に掲げ、治安維持のための警察官増員と、被災世帯への現金給付(9,000バーツ〜)などの支援策を加速させています。

混乱する被災地では、略奪や救助隊への発砲といった事件も発生しており、政府の管理能力が問われています。

住民のストレスもピークに

ハジャイ郊外では浸水したビール倉庫が集団略奪に遭い、一部エリアでは物資配分に不満を持つ住民が救助隊に向け発砲する事件(20発以上の銃声)も確認されています。ただし、これらは一部の地域に限られており、全体が暴動状態というわけではありません。

政府の対応:首相謝罪と更迭人事

対応の遅れに対し、アヌティン首相(兼内務大臣)は「政府の不備」を認めて国民に謝罪しました。また、指揮系統の混乱を招いたとして、ハジャイ郡長および警察署長が事実上の更迭(異動)処分となりました。

ハジャイ病院から患者90人を空輸避難

洪水によりハジャイ病院への浸水リスクが高まり、タイ保健省は患者約90人をヘリコプターなどで他地域の病院へ緊急避難させました。

ハジャイ「ビッグクリーニング」日当400バーツ

ソンクラー県ハジャイ市は、2025年11月29日に「Big Cleaning Day เมืองหาดใหญ่」(ビッグクリーニング・デー)を実施し、約1,000人のボランティア・被災住民を動員して市内中心部の清掃・復旧を行うと発表しました。なお初日に300トンのゴミを回収しました。

「自警団」の結成

警察の手が回らないため、商店主や地域住民が武器(棒など)を持って交代で夜通し見張りをする「自警団」を結成し、資産を守っています。

支援金と外国人への救済措置

政府は生活再建に向けた具体的な数字を提示し始めています。

  • 被災者支援:
    一時金として1世帯あたり9,000バーツ、住宅修繕費として最大45,000バーツを支給。遺族には最大200万バーツの補償が発表されています。
  • 外国人観光客への救済:
    入管局は、洪水(空港閉鎖や道路寸断)により出国できずビザ期限を超過した場合、オーバーステイの罰金を免除する方針を示しました。事情説明が必要です。
    今も多くの方が足止めされています。

⚠️ 現地へ入る方・支援者への注意

もしボランティアや取材、支援物資の輸送などでハジャイ現地へ入る場合は、以下の点に十分注意してください。日本政府からは不要不急の渡航は控えるように警告が出ています。

  • 単独行動を避ける: 必ず信頼できる現地団体(赤十字や大手財団)と行動を共にしてください。
  • 夜間外出禁止: 電力が復旧していないエリアの夜間移動は、強盗のリスクが高いため絶対に避けてください。
  • 装備の管理: 高価な機材(カメラ、スマホ)や現金を不用意に見せないようにしてください。

南部洪水向けの寄付呼びかけ

  • 銀行:Siam Commercial Bank(SCB)
  • 口座番号:045-3-04637-0
  • もしくは寄付ポータルサイト:https://donationhub.or.th
    経由でクレジットカード等から寄付可能

まとめ

水が引くにつれ、被害の甚大さと社会の傷跡が露わになっています。

今回の洪水は「天災」であると同時に、初期対応の遅れやインフラの脆弱さという「人災」の側面も否定できないと報道されています。政府が素早く謝罪し、責任者を更迭したことは、国民の怒りを鎮めるための必死のパフォーマンスとも取れますが、それだけ事態が深刻だということです。

現在バンコク発の南部ツアーなどはキャンセルが相次いでいます。旅行保険の適用範囲などを確認し、無理な移動は避けてください。

この記事の出典

本記事は以下の現地報道および公式発表を基に作成しました。

  • Matichon Online
  • Bangkok Post
  • Thai PBS
  • Reuters

この記事を書いた人

keita satou(タイムラインバンコク編集部)
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォワー1700人)や複数のSNS(総フォワー7万人以上)を運営する。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
タイムラインバンコク編集部
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Keita Satou
タイ在住ライター
タイ在住ライター バンコク在住10年以上。旅行ライセンスの持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォロワー1700人)や複数のSNS(総フォロワー7万人以上)を運営する。日本のテレビ・メディア取材経験多数あり。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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