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タイ 最新世論調査 国民の45%が「政治は悪化した」と次期首相に求めるのは「経済対策」

僧侶への托鉢、食事を楽しむ家族、学生、オフィスワーカーなど、多様なタイの人々の生活シーンを集めたコラージュ画像。「タイ 最新世論調査 政治は悪化・現状維持が87%」という見出し文字が上部に配置されている。AI MAGE
Thaim Line Bangkok

国境紛争に解散総選挙、そして相次ぐ不正事件の発覚
今、タイ国民は何を考えているのでしょうか?数字が示すのは、厳しい「政治不信」と切実な「生活防衛」の声でした。

タイの国立研究機関であるキングプラジャディポック研究所(KPI)が、2025年12月上旬に実施した「政治と選挙に関する世論調査(KPI Poll)」の結果を発表しました。そこから見えてきた国民のリアルな声を、4つのポイントで解説します。

1. 現状認識:「政治は悪くなっている」が45.7%

タイの世論調査結果2025/12
出典:KPI Poll / Matichon

「今のタイ政治はどうですか?」という問いに対し、ポジティブな回答は1割にも満たない結果となりました。

  • 悪化している:45.7%
  • 以前と同じ:41.5%
  • 良くなっている:わずか9.3%

「以前と同じ」も現状維持というよりは停滞と捉えれば、約87%の国民が現状の政治に改善を感じていないことになります。

2. 次期首相の条件:とにかく「経済」

次のリーダーに最も求める資質として、圧倒的1位になったのは「経済・生活問題を実際に解決できる能力(36.2%)」でした。

「誠実さ(17.8%)」や「民主主義の理念(8.5%)」といった道徳的・政治的な項目よりも、「明日のご飯(パークトン)」の問題を解決してくれる実務能力が渇望されています。

最優先してほしい政策

政策ベースでも、生活直結の課題が上位を占めています。

  1. 汚職・腐敗の撲滅(19.4%)
  2. 家計債務の解決(16.7%)
  3. 生活費の削減(16.4%)

3. 投票行動:「党」より「人」で選ぶ時代へ

今回の調査で最も注目すべきは、有権者の流動性です。
「支持政党が好ましくない首相候補を擁立した場合、他党に投票を変えるか?」という質問に対し、約6割が「変える」と回答しました。

投票先を変える可能性:計59.2%
(「必ず変える 17.6%」+「変えるかもしれない 41.6%」)

もはや「党の看板」さえあれば票が入る時代ではありません。各党にとって、誰を「首相候補(キャンディデート)」として顔に立てるかが、勝敗を分ける決定的な要因となります。

4. 注目度No.1は「ナッタポン氏」と「アヌティン氏」

「誰の討論(ディベート)を最も聞きたいか?」という質問では、野党第一党と現職与党のリーダーが競り合っています。

  • 1位:ナッタポン氏(人民党 ※旧前進党系):16.2%
  • 2位:アヌティン氏(プームジャイタイ党):15.7%
  • 3位:アピシット氏(民主党):14.2%

まとめ:経済対策とクリーンさが鍵

今回のデータは、タイ国民が「イデオロギー闘争」よりも「生活の安定」を求めていることを如実に表しています。タイ在住者の私でも10年前と比較して物価の高騰(体感1.5~2倍)は肌で感じます。日本よりは賃金は上昇していますが、まだまだ低水準です。(最低賃金は1日400バーツ)。バンコクの世帯収入は3~4万バーツといわれています。
「汚職をなくし、経済を良くしてくれるなら、党にはこだわらない」。そんな有権者のシビアな視線と、まずは苦しい生活をどうにかしたいの葛藤が世論調査の声にも表れています。来たる2月の総選挙が注目されています。

2025年12月13日 14:00(現地時間) |著者: Keita Satou

この記事の出典

  • Matichon Online: KPI Poll Report
  • King Prajadhipok’s Institute (KPI)

この記事を書いた人

keita satou(タイムラインバンコク編集部)
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォワー1700人)や複数のSNS(総フォワー7万人以上)を運営する。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
タイムラインバンコク編集部
Facebook(keita satou)

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タイムラインバンコク編集部は、バンコクに在住する経験豊富な編集者とライターからなる専門チームです。日本人メンバーだけでなく、日本語能力試験N1を持つタイ人メンバーも在籍しており、多様な視点から情報を捉えることを大切にしています。 インターネット上の情報だけでなく、実際に現地へ足を運び、独自の取材・調査を行うことを信条としています。グルメ、ビューティー、最新ニュースからカルチャーまで、バンコクで暮らす人、訪れる人にとって本当に価値のある、正確で信頼できる情報を厳選してお届けします。日本のメディアに情報提供することもあります。
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