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タイ軍 カンボジア軍から中国製最新ミサイルを押収 中国も言及

タイとカンボジアの国境付近の岩場で、タイ軍兵士が押収した多数の中国製対戦車ミサイル「GAM-102」のランチャーとコンテナを確認している写真。「タイ軍がカンボジア軍から中国製最新ミサイルを押収も中国もタイも曖昧な発表の訳」という記事タイトルと、右下に「出典:Thai PBS World」の記載がある。
keita satou

2025年12月17日、タイとカンボジアの国境紛争が続くウボンラーチャターニー県の戦闘地域で、タイ軍がカンボジア軍の陣地を制圧し、そこから中国製の対戦車誘導ミサイル(ATGM)を押収しました。

そしてこのミサイルは2025年の防衛展示会(EDEX 2025/エジプト防衛博覧会など)で公式に公開された最新鋭兵器と報道されています。

アメリカの「ジャベリン」に着想を得た、ジャベリンに匹敵する性能を持つとされる中国製「GAM-102」シリーズ。中国が「平和の仲介」に動く裏で、自国製兵器が前線で使われている実態が浮き彫りになりましたがタイは最新兵器であることを否定した件について解説します。

1. 戦略拠点「ヒル677」での押収劇

タイ軍がミサイルを押収したのは、ウボンラーチャターニー県国境にある「ヒル677(Hill 677)」と呼ばれる戦略的高地です。

  • カンボジア軍の敗走:タイ軍の攻勢により、カンボジア軍はこの拠点を放棄して撤退。その際、持ち出せなかった重火器が現場に残されていました。
  • 決定的な証拠:押収された兵器の写真がSNS等で拡散され、カンボジア軍が中国製の高度な誘導ミサイルを実戦配備していることが確定しました。

2. 押収された「GAM-102」の脅威と価格

今回確認された「GAM-102(またはその改良型)」は、現代の戦車を一撃で破壊できる最新の機能・運用性を備えた設計の強力な兵器です。

GAM-102LRは 2025年の防衛展示会(EDEX 2025/エジプト防衛博覧会など)で公式に公開されました。

  • 長距離射程(6〜10 km程度)
  • 高精度誘導・多用途能力
  • “Fire-and-forget”(撃ち放し)やデータリンク誘導 など

性能:第5世代の「撃ちっ放し」能力

このミサイルは、赤外線画像誘導により、発射後は自動で標的を追尾する「撃ちっ放し(Fire and Forget)」能力を持っています。さらに、戦車の装甲が薄い真上を狙う「トップアタック」も可能です。

価格:本家の半額以下「価格破壊」

最大の脅威はその「安さ」です。同等の性能を持つ米国製「ジャベリン」と比較すると、圧倒的なコストパフォーマンスを誇ります。

ミサイル1発あたりの推定価格
  • 🇺🇸 ジャベリン:約 2,000万円 〜 3,000万円
  • 🇨🇳 GAM-102LR:約 1,000万円 〜 1,600万円(推定11.2万ドル)

カンボジア軍は、ジャベリン1発分の予算で2〜3発のGAM-102を配備できる計算になり、タイ軍戦車部隊にとっては悪夢のような状況です。

3. タイ軍が「最新型」を否定する裏事情

一部の専門家は、押収品が2025年に公開されたばかりの最新型「GAM-102LR」である可能性を指摘しています。しかし、タイ陸軍は「これは10年以上前の旧型だ」と公式に否定しました。

なぜタイ軍は脅威を過小評価するような発表をしたのでしょうか?

  • 中国への外交的配慮:「中国が最新鋭兵器をカンボジアに供与し、タイを攻撃させている」という事実を確定させると、中国との関係が決定的に悪化するためです。
  • パニックの抑制:「敵は最新兵器を持っている」と公言し、前線の兵士や国民に不要な不安を与えないための処置と考えられます。

4. 中国も言及「通常の協力だ」

この件に対し、中国外務省の報道官は17日の会見で以下のようにコメントしました。

「中国はタイ・カンボジア双方と通常の防衛協力を行っている。これはいかなる第三国も標的としておらず、現在の国境紛争とは無関係である」

記憶に新しい、王毅外相が「戦いは無益」と停戦を呼びかけを両国の外相と電話対談した矢先に、自国製の最新兵器が紛争の主力として使われている現状です。

まとめ

当初は地雷や銃撃戦程度武力衝突から、ドローンや空爆そして今回の最新型のミサイル押収は、国境紛争が単なる小競り合いから、高度な誘導兵器を使用する「近代戦」へとエスカレートしていることが日に日に明らかになっています。

一刻も早い平和的な解決が望まれます。

2025年12月19日 23:59(現地時間) |著者: Keita Satou

この記事の出典・参考

本記事は以下の報道および公式情報を基に作成しました。

  • Nation Thailand
  • Thai PBS World
  • Chinese Embassy in Thailand:

この記事を書いた人

keita satou(タイムラインバンコク編集部)
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォワー1700人)や複数のSNS(総フォワー7万人以上)を運営する。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
タイムラインバンコク編集部
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Keita Satou
タイ在住ライター
タイ在住ライター バンコク在住10年以上。旅行ライセンスの持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォロワー1700人)や複数のSNS(総フォロワー7万人以上)を運営する。日本のテレビ・メディア取材経験多数あり。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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