MENU

タイ北部の入管施設で中国人ら300人が暴動。ミャンマー詐欺拠点からの「敗走者」を警察らが鎮圧

keita satou

2025年12月10日夜から11日未明にかけ、タイ北部ターク県メーソットの入国管理局施設で、収容されていた中国人約300人による大規模な暴動が発生しました。
当局は放水車などを投入して鎮圧にあたり、首謀者を特定・逮捕する事態となっています。

今回は、事件の経緯と被害状況、そして背景にある「ミャンマー詐欺拠点(スキャムセンター)」との関連について解説します。

事件の全容:300人が暴徒化、施設を破壊

発生から鎮圧まで

暴動は12月10日の夜(23時20分頃)に発生しました。
メーソット入国管理局の収容施設(第2収容所)において、中国人収容者同士の喧嘩を発端に不満が爆発。約300〜325人が暴徒化し、以下のような破壊行為に及びました。

  • 収容室の鉄格子やドアを破壊しようと試みる。
  • 監視カメラ(CCTV)、書類棚、机、椅子などの公的備品を破壊。

当局による「合同作戦」で鎮圧

事態を重く見た入管当局は、警察、国境警備隊(レンジャー)、消防などと連携した合同作戦を展開。
消防車による「高圧放水」などの強硬手段を用いて制圧にあたり、翌朝までに事態を収束させました。この混乱で中国人収容者1名が負傷しています。

法的措置:首謀者15人を「財物損壊」で逮捕

鎮圧後、警察は防犯カメラの映像や現場の証言を分析し、暴動を指揮・扇動した「首謀者(リーダー格)」の中国人15人を特定しました。

彼らは単に強制送還されるのではなく、タイの刑法に基づき厳正に処罰される方針です。

  • 容疑:財物損壊罪(刑法上の公的財産破壊)など。
  • 今後:暴動扇動や公務執行妨害などの罪も視野に、徹底的な法的手続きが進められます。

背景:ミャンマー「詐欺拠点」からの敗走者たち

なぜ、これほど大量の中国人がメーソットの入管にいたのでしょうか?
その答えは、川を挟んだ対岸、ミャンマーのミャワディにあります。

行き場を失った「灰色の集団」

報道によると、彼らの多くはミャンマー側の違法カジノやオンライン詐欺拠点(コールセンター)で活動していたグループと見られています。
ミャンマー側の戦闘激化や拠点の閉鎖に伴い、タイ側に不法入国して逃れてきたところを摘発され、収容施設がパンク状態になっていたことが暴動の遠因とされています。

まとめ:国境地帯は「厳戒態勢」続く

事件は施設内で鎮圧され、市民への直接被害はありませんでした。
これは氷山の一角です。隣国での「闇ビジネス」崩壊の余波が、タイの治安や行政負担として跳ね返ってきています。タイでは今回のミャンマー国境付近だけでなく、カンボジアとの国境付近での麻薬の密輸入、特殊詐欺や闇ビジネス、金の不正輸出入などのニュースが続出しています。また国際社会からも指摘されており、ここ最近では別のニュースで警察の関与やVIP刑務所などの実態も明るみに出ています。これはタイが正常化されたという見方だけではなく、政権移行による警察利権のはく奪と推理する意見もネットでは見られます。

入管や警察は今後、施設の修復とともにセキュリティ体制を抜本的に見直すとしています。メーソット周辺では引き続き検問などが強化される見込みですので、渡航される方はパスポートの携帯など、ルール順守を徹底してください。

2025年12月12日 10:00(現地時間) |著者: Keita Satou

この記事の出典

本記事は以下の現地報道および公式発表を基に作成しました。

  • Tak Immigration 
  • Matichon Online: Riot Report
  • The Nation Thailand
  • Immigration Tak Official Facebook

この記事を書いた人

keita satou(タイムラインバンコク編集部)
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォワー1700人)や複数のSNS(総フォワー7万人以上)を運営する。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
タイムラインバンコク編集部
Facebook(keita satou)

関連記事

about me
Keita Satou
Keita Satou
タイ在住ライター
タイ在住ライター バンコク在住10年以上。旅行ライセンスの持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォロワー1700人)や複数のSNS(総フォロワー7万人以上)を運営する。日本のテレビ・メディア取材経験多数あり。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
記事URLをコピーしました