タイ国境 巨大詐欺拠点で1,600人を一斉検挙 スマホ2万台とスターリンク押収
2025年11月、タイ・ターク県メーソットの対岸にあるミャンマー領内で、犯罪史に残る規模の大規模摘発が行われました。
標的となったのは、巨大経済特区でありながら詐欺の巣窟と化していた「シュエコッコ(Shwe Kokko)」。約1,600人の外国人が逮捕されましたが、過去にも「日本人が含まれていた」という事例もあります。
Shwekokkoの位置 出典:GoogleMap
事件の全貌:スターリンクとスマホ2万台
ミャンマー軍事政権と国境警備隊(BGF)による急襲作戦は、2025年11月18日から22日にかけて行われました。
押収された物資は、ここが単なるオフィスではなく「犯罪の工場」であったことを物語っています。
- 逮捕者数:約1,600名
中国籍:大多数(1000人超、現地軍政公式・報道各社一致)
ベトナム人・インド・ミャンマー・タイ・インドネシア・マレーシア・ケニア・カンボジアなど、少なくとも20カ国以上の人々が含まれる - デジタル機器:
スマートフォン21,750台、PC約3,000台。 - 通信インフラ:
Starlink(スターリンク)衛星受信機101台。タイ側のインターネット遮断を回避するため、独自の通信網を構築していました。
過去には日本人の関与も
当初の発表では不明確だった日本人の安否ですが、過去の日本メディアなどの報道により拠点に日本人が出入りいしている情報も確認済みです。
- タイ側で2名拘束:
摘発の混乱に乗じて川を渡り、タイ側(メーソット)へ逃げ込んだ日本人の男2名が、不法入国等の容疑でタイ当局に身柄を拘束されました。今後、日本へ強制送還される見込みです。 - 20名規模のコミュニティ:
現地報道や救出団体の情報によると、シュエコッコ内には日本人専用の詐欺チームや区画が存在し、少なくとも20名程度の日本人が出入りしていた疑いが持たれています。
なぜ摘発されたのか?国際的な包囲網
これまで「治外法権」とされてきたエリアにメスが入った背景には、国際的な圧力があります。
特に中国政府は「ゼロ・フラウド(詐欺撲滅)」を掲げ、ミャンマー側に強力な圧力をかけました。また、米国財務省もこのエリアを拠点とする犯罪組織による被害額が兆円単位に上るとして、制裁を示唆していました。
管理企業「Yatai(亜太)」のトップであるShe Zhijiang容疑者はすでに逮捕されていますが、組織の末端までは排除しきれていないのが現状です。
まとめ
今回の摘発は、タイ在住者や旅行者にとっても対岸の火事ではありません。実際にメーソットの国境沿いに行くと、川のすぐ向こう側にシュエコッコの不気味なビル群が見えます。
SNSで流れてくる「高収入データ入力」「カジノリゾート運営スタッフ」といった求人は、ほぼ100%この詐欺拠点への誘導です。
現地の有力者と知り合いだから、問題ないや安全と言ったセリフに騙されないでください。
一度足を踏み入れると、パスポートを取り上げられ、今回逮捕された1,600人のように「加害者兼被害者」として犯罪に加担させられたという情報もあります。
本来は「被害者」なのに、「犯罪者」として裁かれる可能性があり、闇バイト同様に知らなかったでは済まされない重大な事件です。安易な渡航が人生を棒に振るリスクがあることを忘れないでください。
この記事の出典
本記事は以下の報道を基に作成しました。
- TBS News
- Channel News Asia: Myanmar scam centre raids
- Thairath
この記事を書いた人
keita satou(タイムラインバンコク編集部)
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォワー1700人)や複数のSNS(総フォワー7万人以上)を運営する。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
タイムラインバンコク編集部
Facebook(keita satou)
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