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老舗百貨店Tang Hua Seng(タンフアセン)が閉店。63年の歴史に幕 バンコク旧市街

バンコク旧市街にある老舗百貨店「Tang Hua Seng(タンフアセン)」の外観。「老舗百貨店タンフアセン 63年の歴史に幕 バンコク旧市街」という文字が上部に書かれている。
keita satou

2025年11月、バンコク旧市街・バンランプー地区(Bang Lamphu)のランドマークとして長年親しまれてきた老舗百貨店「Tang Hua Seng(タンフアセン)」の本店が、63年間の歴史に幕を下ろし、営業を終了しました。

カオサンロードや王宮周辺を訪れる観光客や、手芸を愛する在住者にとって馴染み深いこの店舗の閉店は、バンコクの都市変貌を象徴する出来事として、多くの人々に惜しまれています。

Tang Hua Seng(タンフアセン)とは?

1962年(仏暦2505年)に創業したタンフアセンは、バンコクの小売業の歴史において独自の地位を築いてきました。
出典:ตั้งฮั่วเส็ง บางลำพู 

1962年(仏暦2505年)に創業したタンフアセンは、バンコクの小売業の歴史において独自の地位を築いてきました。特に以下の2点において、市民や在住外国人から愛されてきました。

手芸用品の殿堂

布地、糸、ビーズ、刺繍道具など、ハンドメイド用品の品揃えが圧倒的で、「手芸用品といえばタンフアセン」と言われるほどの知名度を誇っていました。バンコク在住の日本人手芸ファンの間でも、「ここに行けば何でも揃う」と頼りにされていた存在です。

輸入食品の先駆け

まだ輸入菓子が珍しかった時代から、海外のチョコレートやスナック菓子を積極的に取り扱っており、特別な日の買い出し場所として、あるいは外国人観光客の御用達スポットとして利用されていました。

閉店の背景:時代の変化と経営難

今回のバンランプー店(本店)の閉店は、突然の出来事ではなく、近年続いていた経営再建の苦闘の末の判断と見られています。

  • 経営難の連鎖:
    2024年9月には、より大規模な支店であった「トンブリ店」が電気料金の未払い等を理由に閉鎖されました。経営資源を本店に集中させましたが、状況の好転には至りませんでした。
  • 投資家との交渉難航:
    報道によると、新たな共同投資家との交渉を行っていましたが合意には至らず、これ以上の営業継続が困難と判断されました。
  • 消費環境の変化:
    サイアムやスクンビットなどの新興エリアに大型モールが林立し、若年層の消費がオンラインや都心部へシフトしたことも影響しています。

惜しむ声と今後のバンランプー

バンランプー地区はかつてバンコク最大の商業地の一つでしたが、現在は観光地としての再整備が進んでいます。タンフアセンの閉店は、古き良きバンコクの商業風景が変わりゆく象徴的な出来事と言えるでしょう。

SNS上では、長年の利用者から「思い出の場所が消えるのは寂しい」「手芸用品をどこで買えばいいのか」といった惜しむ声が多数上がっています。

まとめ

63年間にわたり、バンコク市民や旅行者の生活を彩ってきた老舗百貨店「Tang Hua Seng」。その歴史に幕が下ろされました。建物や土地が今後どのように活用されるのか、バンコク旧市街の再開発の動向が注目されます。

バンコクでは現在も継続中の商業施設のオープンラッシュ。昔は主要駅に一つのイメージでしたが、今ではスクンビットエリアなどでは1駅に大小合わせて2~3つずつできている箇所もあり、顧客にとっては利便性が上がっていますが、顧客の分散化が確実に進んでおり、高い賃料の負担に頭を抱える事業者も増えています。また近年急速に広がるオンラインショッピングへの消費行動の変化も拍車をかけており、何か特別なセールスポイントのある商業施設や集客効果のあるテナントの出店が生き残りのカギになりそうです。

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この記事を書いた人

keita satou(タイムラインバンコク編集部)
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォワー1700人)や複数のSNS(総フォワー7万人以上)を運営する。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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Keita Satou
タイ在住ライター
タイ在住ライター バンコク在住10年以上。旅行ライセンスの持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォロワー1700人)や複数のSNS(総フォロワー7万人以上)を運営する。日本のテレビ・メディア取材経験多数あり。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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