「タイの猫」5品種を国家的象徴に承認。シャム、コラット、カオマニー、スパラック、コンジャの紹介
タイ内閣は、タイ原産の猫5品種を「国家的アイデンティティ(国定シンボル)」として承認しました。これにより、希少なタイ猫の保護と、観光やソフトパワーとしての活用が国策として推進されることになります。
タイの動物といえば象や闘魚(ベタ)が有名ですが、2025年11月18日、新たに「猫」が国の象徴として正式に認められました。
認定された5品種の詳細と特徴
今回、国定シンボルとして認定されたのは、古くからタイに伝わる以下の5つの在来品種です。
1. ウィチアンマート(Wichienmaat / シャム猫)

世界で最も有名なタイ猫であり、「タイ猫の代名詞」とも言える存在です。淡いクリーム色の体に、耳や顔、足、尾の先端が濃い色(ポイントカラー)になっているのが特徴。美しい青い瞳を持ち、古くから「月のダイヤモンド」と呼ばれてきました。
2. コラート(Korat / シサワット)

ナコンラチャシマ県(コラート)原産の猫で、銀青色(シルバーブルー)の美しい被毛が特徴です。その色は雨雲や繁栄を連想させ、「幸運を呼ぶ猫」として、結婚式や新築祝いの贈り物としても愛されてきました。瞳は緑色です。
3. スパラック(Suphalak / カッパーキャット)

全身が光沢のある深い銅色(赤褐色)をしており、日光に当たると赤みを帯びて輝くのが特徴です。「スパラック」とは「良き特徴」「美しさ」を意味し、富や権力、繁栄をもたらす象徴とされています。瞳は金黄色です。
4. コンジャ(Konja / 黒猫)

全身が漆黒の毛で覆われ、金色の瞳を持つ猫です。その威厳ある姿から、古来より魔除けや保護の力を持つと信じられてきました。歩き方が優雅で、ライオンのようだと形容されることもあります。
5. カオマニー(Khao Manee / 白い宝石)

かつては王族のみが飼うことを許されたという、全身純白の猫です。最大の特徴は、青、黄色、あるいは左右で色が異なる「オッドアイ(金目銀目)」を持つ個体がいることです。「白い宝石」の名にふさわしい、神秘的な美しさを持っています。
認定の背景と狙い:「ソフトパワー」としての猫
今回の国定シンボル認定には、大きく2つの狙いがあります。
- 品種の保護:
希少なタイ在来種の純血統を守り、外国による品種登録や商業的悪用(流出)を防ぐため、「タイの猫はタイのもの」という立場を国際的に明確にする狙いがあります。 - ソフトパワーの強化:
「猫」を新たな観光資源やコンテンツ産業のブランドとして活用し、タイの文化的魅力を世界に発信する戦略です。象や闘魚に続く、親しみやすい国家シンボルとしての活躍が期待されています。
まとめ
タイ国内でも日本同様に少子化に伴うペットブームが続いておりペット産業も成長中です。スーパーやホームセンターでも昔に比べてペットグッズやペット用の餌のコーナーが年々拡大しており、高級ホテルような富裕層向けの動物病院もできています。
今回の決定は、タイが自国の文化遺産としての「猫」の価値を再認識し、国を挙げて守り育てていくという強い意志の表れです。今後、これらの美しいタイ猫たちが、観光大使のようにタイの魅力を世界に広めてくれることでしょう。猫好きの方にとっても、タイ旅行の新たな楽しみが増えそうです。
この記事の出典
この記事を書いた人
keita satou(タイムラインバンコク編集部)
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォワー1700人)や複数のSNS(総フォワー7万人以上)を運営する。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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