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タイのカルト宗教団体 信者から多額の寄付金や献金を集める

タイのカルト宗教団体に関する報道サムネイル:炎の儀式と献金問題を描いたアートワーク
keita satou

出典:เรื่องเล่าเช้านี้

タイのカルト宗教団体、信者から多額の寄付金や献金を集める

2025年10月6日現在、タイ国内のメディアで、あるキリスト教系を名乗る団体によるトラブルが大きく報じられています。元信者らが告発したその手口は、「炎による悪魔祓い」と称する過激な儀式や、偽りの教育プログラムを謳った多額の寄付金集めなど、衝撃的な内容でした。被害総額は2,000万バーツ(約8,400万円)にのぼると見られています。

本記事では、現在タイで物議を醸しているこの宗教団体トラブルについて、その概要とタイ社会の反応をまとめます。

「炎による悪魔祓い」と偽りの教育プログラム

今回の事件は、元信者たちがメディアに告発したことで発覚しました。問題となっているのは、主に2つの行為です。

① SNSで拡散した過激な儀式

告発によると、この教会では「Fire!」と叫びながら火を使った「悪魔祓い(พิธีไล่ผีด้วยไฟ)」の儀式が実施されていました。その様子を撮影した映像がTikTokなどで拡散すると、「過激すぎる」「宗教の逸脱行為だ」といった批判が殺到し、大きな騒動となりました。

② “米国発”を謳った偽の学校建設プロジェクト

さらに、教会側は「アメリカ発の教育プログラムに基づく神学校を建設する」と称して、信者から多額の寄付金を募集。しかし、その後の調査で、プログラムの根拠とされていたのはアメリカの機関とは全く無関係の「กศน.(タイの成人教育局)」の一般通信課程であったことが判明しました。

事件の背景とタイ社会の反応

なぜこのような団体が生まれ、多くの被害者を出してしまったのでしょうか。背景には、タイならではの宗教事情と、それに対する社会の反応があります。

増加する“非公認”の宗教ビジネス

タイでは近年、外国人宣教師らが設立した独立系のキリスト教団体が増加傾向にあります。中には行政の正規登録を受けていない団体も多く、教育やボランティアを名目に不透明な資金集めを行う「信仰+教育ビジネス」が社会問題化しつつありました。

SNSでトレンド入り「#宗教はビジネスではない」

この事件を受け、タイのSNSでは「#ศาสนาไม่ใช่ธุรกิจ(宗教はビジネスではない)」というハッシュタグがトレンド入り。「信仰心を利用した新手の詐欺だ」といった怒りの声が広がり、社会全体の問題として認識されています。

警察・各省庁が調査開始、詐欺罪での立件が焦点

10月6日現在、事態は大きく動いています。バンコク警察庁が被害届を受理し、本格的な捜査を開始。タイ文化省・宗教局も、この団体の登録状況や活動許可の有無を調査しています。

また、教育省のกศน.は「我々のカリキュラムとは無関係であり、商業利用は不正」と公式に声明を発表しました。今後の焦点は、宗教を隠れ蓑にした組織的な詐欺行為として立件されるか、そして集められた多額の寄付金の行方です。

まとめ:問われる信仰と監督のバランス

今回の事件は、タイ社会における新興宗教団体の不透明な活動に改めて警鐘を鳴らすものとなりました。信仰の自由は尊重されるべきですが、それを隠れ蓑にした搾取行為から人々をどう守るのか。行政による監督のあり方も含め、タイ社会は大きな課題を突きつけられています。

この記事を書いた人

keita satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスの持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォロワー1700人)や複数のSNS(総フォロワー7万人以上)を運営する。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。

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Keita Satou
タイ在住ライター
タイ在住ライター バンコク在住10年以上。旅行ライセンスの持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォロワー1700人)や複数のSNS(総フォロワー7万人以上)を運営する。日本のテレビ・メディア取材経験多数あり。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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