タイバーツ 9月の対ドル上昇率がアジアの通貨でトップクラス
Thaim Line Bangkok
Thaim Line Bkk(タイムライン バンコク)
タイの主要産業である観光業が、深刻な不振に喘いでいます。タイ観光・スポーツ省が発表した最新の統計によると、2025年8月の外国人観光客数は前年同月比12.8%減の約258万人となり、7ヶ月連続で前年実績を下回りました。特に、かつて最大の顧客であった中国人観光客の減少が顕著です。その一方で、日本では中国人観光客が大幅に増加するなど、アジアの観光勢力図に大きな変化が起きています。この記事では、最新のデータを基に、タイと日本の観光業の「明暗」を徹底解説します。

2025年8月のタイへの外国人観光客数は、前年同月比で12.8%減の約258万人となり、7ヶ月連続で前年を下回る厳しい状況が続いています。国・地域別に見ると、特にこれまでタイ観光の最大の柱であった中国からの観光客の落ち込みが深刻です。
一方で日本からの旅客だけは+になっています。
さらに、2025年のタイへの外国人観光客数が、年初の1月こそ前年を上回っていたものの、2月以降は7ヶ月連続で前年同月比マイナスに転じ、特に下半期に入ってから減少幅が拡大しています。
他の東南アジアや日本への外国人観光客の動向
2025年8月時点でのアジアの観光市場は、「タイとカンボジアが苦戦し、その分の観光客が日本、ベトナム、マレーシア、インドネシアに流れている」という大きな構造変化が起きている可能性が高いと言えます。
特に、これまでタイの独壇場であった中国人観光客市場が、円安の日本やビザ緩和を進める他のASEAN諸国へと分散し始めたことが、この明暗を分ける最大の要因となっているようです。
1.経済的な要因:「お得な国」ではなくなったタイ
バーツ高と物価上昇: かつてタイは「物価が安い」ことが大きな魅力でしたが、近年のバーツ高とタイ国内の物価上昇により、その魅力が薄れています。特に、円安に苦しむ日本人や、経済が減速している中国人観光客にとって、タイ旅行はもはや「お得」とは言えなくなり、よりコストを抑えられる日本やベトナムへと目的地を変更する動きが加速しています。
2.安全性と政治への懸念
過去の事件のイメージ: 2023年にバンコクの高級ショッピングモールで発生した銃撃事件や、東南アジアを舞台にした詐欺を描いた中国の大ヒット映画『No More Bets(孤注一擲)』の影響は、未だに尾を引いているとされています。これらの出来事が「タイは安全ではないかもしれない」というイメージを植え付け、特に中国人観光客の足が遠のく一因となっています。
政治の不安定さ: 頻繁な政権交代やデモといったタイの政治的な不安定さも、一部の観光客、最近の首相の失職もんだいなども影響しています。
3. 近隣国の自然災害や情勢不安
ミャンマーの地震: 近隣国で発生した大規模な地震などの自然災害が、地域全体の観光マインドに影響を与えることがあります。「東南アジアは今、少し不安定かもしれない」という漠然とした不安が、旅行先の選択に影響している可能性があります。
国境地帯の治安問題: カンボジアとの国境紛争問題やタイ深南部(マレーシア国境付近)で散発的に発生する治安問題も、旅行者に心理的な影響を与え、観光客減少の一因とされています。
4. 観光インフラの問題(オーバーツーリズムの弊害)
サービスの質の低下: コロナ禍を経て、観光業では深刻な人手不足が続いています。これにより、かつてのタイの魅力であったきめ細やかなサービスが維持できなくなり、リピーターの満足度低下を招いているとの指摘があります。
観光公害: 一部の人気観光地では、観光客の急増による環境破壊や交通渋滞が問題化(オーバーツーリズム)。これにより、ゆったりとした旅行を求める層が、まだそれほど混雑していないベトナムやマレーシアの地方都市へと流れています。
航空会社との提携で様々な割引キャンペーンや無料キャンペーンを世界各国に対しておこなっています。また仮想通貨でのタイバーツへの交換制度、カジノ解禁への動き、LGBTへの理解、VISAの緩和など様々な施策を行っています
keitasatou:タイムラインバンコク編集者
バンコク在住10年以上ライター、バンコクで複数のSNSを運用しておりフォロワー総数は7万人以上。ライターという特殊な職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。Facebook