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【激レア映像】タイでジュゴンの自然な繁殖行動をドローンが捉える。海草70%消失の危機を乗り越えるトランの海の希望

タイ・トラン県で撮影された絶滅寸前のジュゴンの水中アップ写真。世界的にも極めて稀な繁殖行動(交尾)を、ドローンが非侵襲的な撮影で捉えたことを伝える日本語テキストが重なっている。
keita satou

2026年3月、タイの海洋保全の歴史に残る「奇跡の瞬間」が捉えられました。主食である海草の70%が消失し、タイ国内にわずか200頭という絶滅のカウントダウンが始まっていると言われるトラン県の海で、健康なジュゴンのペアが自然な繁殖行動を行っている様子がドローン撮影されました。

今回は、世界が注目するこの「激レア動画」の詳細と、タイのジュゴンが直面している厳しい現実、そして私たちにできることについて解説します。

出典:PR กรมอุทยานแห่งชาติ สัตว์ป่า และพันธุ์พืช

1. この映像が「激レア」と言われる理由

今回公開された動画は、単なる「珍しい動物の映像」の域を超えています。なぜ世界中の専門家がこれほどまでに熱狂しているのか、その理由は3つあります。

  • 野生下の交尾記録は極めて困難:ジュゴンは非常に警戒心が強く、船の音や人の気配で即座に逃げてしまいます。リラックスした状態で繁殖行動を行う姿をこれほど鮮明に記録できた例は、世界的に見ても数えるほどしかありません。
  • 非侵襲的なドローン撮影の成功:かつての航空調査(飛行機やヘリ)は騒音で個体を驚かせていましたが、最新の静音ドローンにより、彼らのプライバシーを侵害することなく、至近距離での「個体識別」まで可能になりました。
  • 絶滅危惧の中での生存証明:タイのジュゴン個体数は3年で約3割も減少しています。そんな中、「繁殖可能な健康なペア」が残っていることが証明されたのは、絶望的な予測を覆す大きな希望となりました。

2. 特定された「希望のペア」の身元

2026年3月10日、ヨンリンビーチ沖で発見された2頭は、ドローンの高画質映像により個体が特定されています。まさに「命を繋ぐバトン」を握る重要なペアです。

ペアの特徴と健康診断
  • オス:左尾の付け根上部にある「特徴的な傷跡」で識別
  • メス:体に「釣り針(フック)型」に付着したフジツボで識別
  • 健康状態:BCS(ボディ・コンディション・スコア)3/5。痩せすぎず、繁殖に十分な栄養状態と判定されました。

3. 絶滅寸前 タイのジュゴンの生態

この感動的なニュースの裏側には、直視しなければならない危機があります。かつてタイ最大の生息地だったトラン県では、海水温上昇や土砂流出により、ジュゴンの主食である海草が壊滅的な打撃を受けています。

  • タイ国内のジュゴン総数
    約203頭(2022年から約28%減少)
  • トラン県の海草消失率
    最大70%(場所により壊滅状態)
  • 主な脅威
    海草枯死による餓死、漁網への混獲

タイの自然のためにできること

在住14年の中で、多くの悲しいニュースを見てきましたが、今回の動画は彼らが懸命に命を繋ごうとしていることを教えてくれます。タイの海を楽しむ旅行者・居住者として、以下のルールを改めて心に刻みましょう。

  • スピード制限の遵守:ボートでの移動時、指定エリアでは必ず速度を落としましょう。
  • 海草場(シーグラス)への配慮:シュノーケリング中に海草の上に立ったりアンカーを落としたりするのは厳禁です。
  • 正式なツアーを支援:国立公園の許可を得た、環境負荷の少ないオペレーターを選びましょう。

タイでは自然公園での破壊活動などは厳罰の対象です。くれぐれも観光の際にはご注意ください。

まとめ

軍事利用等で批判も多いドローン技術ですが、今回の事例のような活躍は大歓迎です。野生動物の生態観測や人間が訪れることのできない自然現象の撮影などにもっと貢献できれば人間の新たな発見や気づきに貢献できるのではいでしょうか

今回のトラン沖で見つかった「奇跡のペア」の映像は、タイの保全活動が実を結びつつある証拠です。このペアが繋いだ命が、いつか豊かなトランの海を再び豊かにしてくれることを願っています。


著者プロフィール

【keita satou】
keita satou
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,700人)をはじめ、複数のSNSで合計7万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。

出典

  • Thairath English / Pattaya Mail
  • DMCR(タイ海洋沿岸資源局)調査報告
  • Mongabay「Dugong numbers plummet amid seagrass decline」

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about me
Keita Satou
Keita Satou
タイ在住ライター
タイ在住ライター バンコク在住10年以上。旅行ライセンスの持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォロワー1700人)や複数のSNS(総フォロワー7万人以上)を運営する。日本のテレビ・メディア取材経験多数あり。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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