【緊急】9/13 バンコク首都圏24か所で計画停電
Thaim Line Bangkok
Thaim Line Bkk(タイムライン バンコク)

西アフリカを原産とする外来種「ブラックチン・ティラピア」が、タイの生態系を破壊する深刻な問題となっています。この魚は非常に強い繁殖力と適応能力を持ち、在来種を捕食することで、タイの漁業と環境に大きな打撃を与えています。現地では悪魔の魚と呼ぶ人も。
ブラックチン・ティラピアは、タイの河川や沼で急速に生息域を拡大しています。在来の魚類やその卵、水生生物などを捕食するため、生態系のバランスを破壊し、生物多様性を脅かしています。特に、漁業資源となる在来種が減少することで、地域の漁業関係者にも経済的な打撃を与えています。
2017年の調査では、サムットソンクラーム県の養殖地域で3000万匹が生息し、最大で3億5000万バーツ(約10億円)の経済的損失を与えたと報じられています。
タイ政府は事態を重く見ており、水産局が中心となってさまざまな対策を講じています。駆除キャンペーンの実施や、効率的な捕獲のための専用漁具の開発、そして捕獲したティラピアの食用・肥料への利活用を推進しています。また、2021年からは、ブラックチン・ティラピアを含む13種の外来種の飼育・繁殖を禁止する法的規制も導入しました。
日本の大学とJICAの共同プロジェクト
出展:https://www3.nhk.or.jp/ 日本の大学がJICA(=国際協力機構)と共同でプロジェクトを開始しています。
東京海洋大学 廣野育生教授(責任者)
「それぞれの国にいる原産のネイティブな魚介類を養殖すると、それが逃げたところで、もう自然界にはすでにいるわけなので、それが脅威になるということは外来種と比べた場合には低い」出展:https://www3.nhk.or.jp/
日本は直接的な駆除活動ではなく、「在来種の養殖技術を向上させて、経済的な価値を高める」というアプローチで協力をしています。これは、非常に日本らしい、持続可能な考え方と言えます。

バナナエビ(Banana prawn / Fenneropenaeus merguiensis)です。タイの在来種でで、消費者からの人気は高いものの、これまで市場に出回るものの多くは天然漁獲に頼っており、安定供給が難しい状況でした。
養殖技術が確立されていなかったため、商業ベースでの生産は限定的でした。
日本とタイは国際協力の枠組みでバナナエビの養殖技術開発を進めています。
JICA(国際協力機構)と廣野教授をはじめとする日本の大学・研究機関は、タイの研究機関と共同で「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」の一環として、バナナエビとアジアスズキの完全養殖技術の確立を目指すプロジェクトを実施しています。
今回の日本の協力は、駆除という直接的なアプローチではなく、タイの持続可能な水産業の基盤を強化するという形で、生態系全体の保全を支援しています。これは、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも、非常に重要な取り組みです。
タイの漁業関係者の生活を守りながら、生態系全体のバランスを回復させるという、長期的な視点に立った解決策が注目されています。
keitasatou:タイムラインバンコク編集者
バンコク在住10年以上ライター、バンコクで複数のSNSを運用しておりフォロワー総数は7万人以上。ライターという特殊な職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。Facebook