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【タイ】洪水の原因は豪雨よりダムからの放水 容量超過で放水へ

タイのダムが容量超過により激しく放水している様子。「洪水の原因は台風よりダムからの放水 大洪水以来の主要ダム容量超過で放水へ」というタイトルが重ねられている。(AI IMAGE)
keita satou

2025年11月現在、タイのチャオプラヤー川下流域、特にアユタヤやバンコク首都圏(ノンタブリー県、パトゥムタニ県)で洪水のリスクが急速に高まっています。タイの主要メディアは連日、警戒情報を発信しています。

今回の洪水危機は、バンコクでの局地的な豪雨が原因ではなく、チャオプラヤー川上流にある主要ダム群が限界的な貯水率に達したことによる「ダムからの計画的な放水」が直接的な原因となっています。

危機的なダムの貯水状況(14年ぶりの高水準)

2025年11月10日時点で、チャオプラヤー川流域の主要4ダムはすべて「ほぼ満水」という危機的な状況です。特にプミポンダムは、2011年のタイ大洪水以来となる過去14年間で最高の貯水率に達しています。

出典:News24สถานีประชาชน

主要4ダムの貯水率(11月10日時点)

  • プミポンダム (Bhumibol):99 % (過去14年間で最高)
  • シリキットダム (Sirikit):98 %
  • クウェーノーイダム (Khwae Noi):101 % (容量超過)
  • パーサック・ダム (Pa Sak):97 %

なぜ放流するのか? ダムの「治水」機能の限界

タイの主要ダムの目的は、大別して「治水(洪水を防ぐ)」と「利水(農業用水や発電に使う)」の2つです。

「治水」とは、雨季に上流から流れ込む大量の水をダムに貯め込み、下流が洪水にならないよう放流量をコントロールすることです。しかし、現在は台風カルマエギなどの影響でダムがすでに満水(98~101%)となっており、これ以上水を貯め込む「空き容量(バッファ)」がありません。

ダム自体の決壊を防ぐため、安全確保のために(下流が洪水になると分かっていても)放流を余儀なくされています。最終的な調整ダムであるチャオプラヤーダム(チャイナート県)は、毎秒2,800~2,900m³という危険な量の放流を続けています。

バンコク首都圏への影響(洪水到達)

この上流からの大量放流(น้ำเหนือ)はすでにバンコク首都圏に到達しており、バンコク都庁(BMA)は「警戒レベルMAX」で監視体制に入っています。

  • バンコク都内の浸水:
    チャオプラヤー川沿いのコミュニティが危険にさらされており、特に「ワンラン(王宮裏)地区」(เขตพระนคร)ではすでに浸水被害が報告されています。
  • 隣接県の被害:
    バンコクに隣接するノンタブリー県やパトゥムタニ県でも、川沿いの低地で冠水被害が拡大しています。
  • 高潮との重複リスク:
    11月12日前後は高潮期(満潮)と重なるため、川の水が海へ排水されにくくなり、逆流リスクがさらに高まると警告されています。

まとめ

タイ在住者や旅行者は雨季は終わった筈なのに洪水?と思うかもしれませんがタイでは洪水を防ぐためにダムを建設していました。古来は毎年のようにチャオプラヤー川が氾濫によりな肥料をアユタヤ近辺を肥沃な農地にすることによりアユタヤ王朝が栄えたという歴史もあり、日本人の記憶にもあるバンコクの14年前の大洪水もダムの貯水量の限界突破により起こったという事象もあります。気象情報や洪水情報についてはご注意ください。

今回の洪水危機は、局地的な豪雨ではなく、上流ダムが2011年の大洪水以来となる「14年ぶりの満水状態」となったことによる、避けられない「ダム放流」が主原因です。

下流域(アユタヤ、ノンタブリー、バンコク)の住民、特にチャオプラヤー川沿いの低地に住む人々は、今後のダム放流量と潮位の情報に最大限の警戒が必要です。

この記事の出典

  • The Nation Thailand
  • News24สถานีประชาชน
  • タイ王立灌漑局 (RID) / EGAT

この記事を書いた人

keita satou(タイムラインバンコク編集部)
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォワー1700人)や複数のSNS(総フォワー7万人以上)を運営する。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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Keita Satou
タイ在住ライター
タイ在住ライター バンコク在住10年以上。旅行ライセンスの持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォロワー1700人)や複数のSNS(総フォロワー7万人以上)を運営する。日本のテレビ・メディア取材経験多数あり。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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