タイ「回転寿司」市場が80億バーツ(約400億円)に成長 約6年で10倍以上の成長
2026年初頭に公表されたJETROバンコクの最新調査(2025年版)によると、タイ国内の日本食レストラン数は5,781店となり、前回の調査から135店減少しました。2007年の調査開始以来、初めての減少に「市場飽和」の懸念が広がっています。
しかし、この流れに逆行して爆発的な成長を遂げているのが「回転寿司(Kaiten Sushi)」です。わずか6年前には5〜10億バーツ程度だった市場が、現在は約80億バーツ(約400億円)規模へと急拡大。わずか数年で10倍以上の成長を遂げています。
1. 日系大手の進出がタイの寿司文化を底上げ
現在の回転寿司ブームの火付け役となったのは、2021年のスシロー進出をはじめとする日系大手の本格攻勢です。高品質なネタと、日本式の体験型サービスがタイ人の心を掴みました。
- スシロー (Sushiro): 不動のマーケットリーダー。すでに40店舗以上を展開し、市場を牽引しています。
- 活美登利 (Katsu Midori): プレミアムなネタを適正価格で提供する戦略で、2024年末に進出以来、急速に認知を広めています。
- はま寿司 (Hama Sushi): ゼンショーHDによる世界戦略店として、2025年11月に待望の1号店をオープンしました。
- 廻転鮨 銀座おのでら:2026年開店予定
2. タイ発「Shinkanzen Sushi」の独自進化と大衆化
日系チェーンが市場の基準を底上げする一方で、タイ独自の視点で「寿司の大衆化」に成功したのが、ローカルブランド「Shinkanzen Sushi(シンカンセン・スシ)」です。その成り立ちは非常に興味深いものです。
- 大学生による起業: 2015年、タマサート大学の3年生だった2人の学生が始めた小さな店が、今や年商10億バーツ超の巨大チェーンへ成長しました。
- 驚異の11バーツ戦略: 1貫11バーツ(約45円)〜という超低価格を実現。日系大手が狙わない大衆層を完全に独占しています。
- 新幹線システム: 名前通り、注文品が新幹線型トレイで運ばれてくるシステムを導入。若者や子供たちの心を掴む「体験」を提供しています。
こちらも日系大手に押されているのかと思いきや、年々着実に成長しています。
3. なぜ「回転寿司」だけが伸びるのか?
経済状況に関わらず回転寿司が支持されるのは、「予算の可視化(Budget Control)」がしやすいためです。皿数で支出を調整できる安心感と、子供たちが喜ぶエンターテインメント性が、家族連れをショッピングモールの店舗へと惹きつけています。
4. まとめ:日本食市場は「脱皮」の時期へ
タイの大手メディアは、現在の状況を「木の葉が落ちて新しい芽が出る時期(脱皮・移行期)」と表現するように、タイの日本食市場は今、劇的な再編の真っ只中にあります。日系大手と強力なローカル勢が共存し、競争することで、タイ人の日本食への関心はさらに深まりを見せています。
個人的にもタイ人との食事をする際にも大手のしゃぶチェーンやタイ料理店を提案してもスシローに行きたいと言われる事が増えてきました。予算も把握しやすいし、生のシーフードがいつどこに行っても同じクオリティーで提供されるというのは、熱帯地域のタイでは日本以上に特別な価値があると日本人以上にタイ人は認識しているのかもしれません。
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この記事を書いた人

keita satou : バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供。Facebook(フォロワー約1,700人)をはじめ、複数のSNSで合計7万人以上のフォロワーを抱える。
- ライター紹介:https://enjoy-bkk.com/about/
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出典
- Nation Thailand (2026/02/20) – Conveyor-belt sushi market hits THB 8bn
- JETRO Bangkok (2025/12) – 2025 Japanese Restaurant Survey
- Shinkanzen Sushi Corporate History & Business Analysis

