バンコク都 全公立校437校でスマホの使用制限。2026年5月~
2026年3月、バンコク都(BMA)のチャチャート知事が教育現場の劇的な改革を発表しました。管轄下にある全437校の都立学校において、新学期が始まる2026年5月18日から、授業中のスマートフォンおよび電子機器の使用を制限。子供たちの集中力回復と健全な発育を目指す『Phone Off, Learning On』の全貌に迫ります。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 実施時期 | 2026年5月18日(新学期)から |
| 対象校 | バンコク都立学校(BMA)全437校 |
| 制限内容 | 授業中の原則使用禁止(学習目的を除く) |
| 緊急連絡 | 学校の公式LINEまたは指定電話で対応 |
1. 「スマホ制限」の理由
チャチャート知事は、スマホが授業の妨げになっている現状を危惧し、以下の3つの柱(コア・プリンシプル)を掲げました。単なる禁止ではなく、正しいデジタルリテラシーを育むことが狙いです。
- 目的のある学習:スマホを娯楽ではなく、先生の許可を得た「教育ツール」として限定使用する。
- 心身の健康と社会性:昼休みなどを「デジタル・フリー・ゾーン」とし、対面での会話や運動を促進。肥満防止も狙う。
- サイバー・セーフティ:ネットいじめの削減と不適切コンテンツへのアクセス防止を徹底する。
知事はユネスコの報告書を引用し、「スマホの通知で一度集中が途切れると、再び深く集中するまでに最大20分かかる」という研究結果を強調。今回の全校展開は、先行して行われた10校での試行結果(学力改善・保護者の満足度向上)を受けた拡大実施となります。
世界で加速する「学校スマホ制限」と「SNS規制」
今のタイは日本と同様に「スマホに没入している」と感じます。しかも、タイの場合はPCの普及前にスマホが普及したためより依存構造を強く感じる側面もあります。
そういった中世界は大きく二つのアプローチで動いています。今回のバンコクの施策は、主に前者の「場所の規制」にあたります。
1. 学校内でのスマホ制限(場所の規制)
授業や休み時間の「注意力の分断」を防ぐことを目的とした規制です。
- フランス・オランダ:法律や政策により、小学校から中学校でのスマホ使用を原則禁止。オランダでは2024年から中等教育にも拡大。
- ニュージーランド:「Phones away for the day」ルールを導入。登校から下校まで、昼休みを含めてスマホへのアクセスを禁止。
- ギリシャ:2024/25年度から強化。違反者には停学処分も含む厳しい規律型。
- アイルランド:2025年6月より、小学校での使用禁止を義務化。
2. SNSアカウントの年齢制限(社会全体の規制)
また世界ではSNSを16歳未満や以下の年齢制限を定める国も増加しております。
「16歳未満」をターゲットにした厳しい禁止・制限
- オーストラリア(2025年12月施行済み)
- 内容: 16歳未満のSNS(TikTok、Instagram、X、Snapchat、YouTube等)利用を全面的に禁止。
- 特徴: プラットフォーム側に政府IDや生体認証を用いた年齢確認を義務付けており、違反した企業には最大$5,000$万豪ドルの罰金が科されます。
- インドネシア(2026年3月28日開始予定)
- 内容: 16歳未満のアカウント保有を禁止。
- 背景: 東南アジア最大の経済圏であるインドネシアが、3月下旬からYouTubeやTikTokなど主要プラットフォームでの一斉停止措置に踏み切ります。
- マレーシア(2026年1月施行済み)
- 内容: 16歳未満の利用を厳格に制限。
- 特徴: 国家的なデジタルアイデンティティ(eKYC)を用いた年齢確認をSNS企業に求めています。
- 欧州では、EUのデジタルサービス法(DSA)を基盤としつつ、各国が独自に年齢制限を強化しています。
- フランス(2026年9月施行予定)
- 内容: 15歳未満のSNS利用を原則禁止。
- 状況: 2026年1月に法案が可決。新学期が始まる9月までに、匿名性を保ちつつ年齢を証明する専用アプリの導入を進めています。
- スペイン(2026年中の施行を目指す)
- 内容: SNS利用の最低年齢を14歳から16歳に引き上げる法案を推進中。
- イギリス(2026年3月〜公聴会実施中)
- 内容: オンライン安全法に基づき、16歳未満の「夜間門限(深夜のアクセス遮断)」や、無限スクロールなどの「中毒的な機能」の制限を検討しています。
- 3. 北米・アジアのその他の動向
- アメリカ(州単位での規制)
- フロリダ州では14歳未満のSNSアカウント保有を禁止。ユタ州なども同様の州法を2025年〜2026年にかけて順次施行しています。
- 中国(2026年3月1日新規則)
今の日本の状況は?
日本では文科省の通知に基づき、小中学校での持ち込み原則禁止が実務上浸透していますが、オーストラリアのような「年齢によるSNSの一律禁止」までは至っていません。香川県などの「利用時間の目安条例」や、国レベルでの法整備に向けた議論が始まった段階にあります。
まとめ
「Phone Off, Learning On」。この施策が成功すれば、バンコクの子供たちはより深い集中力と、生身のコミュニケーション能力を取り戻すことができます。
日本でも未成年によるSNS投稿がきっかけで発覚したいたずら動画や暴力動画などで刑事事件や裁判沙汰になるケースも多数見受けられます。またSNS動画での住所特定や個人情報の漏洩等の問題も指摘されています。便利なスマホですが一方で人の人生を破壊しうる凶器となりえる側面も持ち合わせてることを社会全体で認識する必要があるのかもしれません。
著者プロフィール
【keita satou】
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,700人)をはじめ、複数のSNSで合計7万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
ライター紹介:https://enjoy-bkk.com/about/
Facebook:https://www.facebook.com/thaimlinebkk
出典
- ASEAN NOW 「Bangkok to Restrict Phones in 437 BMA Schools From May 18」
- The Nation Thailand / Khaosod English
- eSafety Commissioner (Australia) / Service Public (France) / Eurydice (Netherlands)
- Ministry of Education (New Zealand) / Greek Ministry of Education
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