チェンマイで抹茶100kgを押収 日本から到着したタイ人旅行者が大量の抹茶を所持
2026年10月19日、タイ北部のチェンマイ国際空港で、日本から到着したタイ人旅行者が大量の抹茶パウダーを無申告で持ち込もうとしたとして、税関に拘束される事件が発生しました。押収されたのは袋入り・缶入り合わせて972点、総重量100kg、推定価値50万バーツ超にのぼります。
この記事では、事件の経緯、問題となった法律、そして日本人旅行者・在住者が知っておくべき持ち込みルールについて解説します。
事件の概要
- 摘発日:2026年10月19日
- 場所:チェンマイ国際空港
- 押収品:抹茶パウダー972点(袋入り・缶入り)、総重量100kg
- 推定価値:50万バーツ超
- 旅行者:日本から到着したタイ人旅行者、スーツケース4個を所持
事件はどのように発覚したのか
日本から到着したこの旅行者は、税関申告が不要な物品のみを持つ人向けの「グリーンチャンネル(申告なし)」を通過しようとしました。しかし、税関職員の検査によってスーツケース4個の中から大量の抹茶パウダーが発見されました。
タイ関税局は、重量や商品点数、梱包状態、全体の価値などから、個人の飲用を目的とした持ち込みとは考えにくいと判断。未申告・未納税のまま商用目的とみられる物品を持ち込もうとしたとして、旅行者は拘束されました。
なお、この抹茶が実際にカフェ向けだったのか、転売やネット販売目的だったのかについては、現時点で公表されていません。旅行者の氏名や職業、日本での購入先なども明らかにされておらず、用途の断定はできません。
なぜ問題になったのか?個人使用の上限は1kgまで
今回の事件で重要なのは、抹茶という食品自体がタイで禁止されているわけではないという点です。問題になったのは、商業的な数量の輸入品を、必要な通関手続きを行わずに持ち込もうとしたことです。
タイ税関には、海外から持ち込む個人用品について総額2万バーツ以内の免税枠がありますが、これは無条件ではなく、食品がこの枠から除外される場合もあるとされています。今回の押収の直接の根拠は、この一般的な免税枠ではありません。
実際に重要なのは、タイFDA(食品医薬品局)が個人使用目的の輸入について示している数量基準です。茶葉・粉末茶などの食品区分では、個人使用の上限は1kgとされています。食品全体では合計10kgまたは10L以内という条件もあります。
今回押収された100kgは、この個人使用基準の実に100倍にあたります。「お土産だから大丈夫」と思っていても、量次第では商業輸入とみなされる可能性があることを示す事例です。
違反した法律と罰則
タイ関税局は、2017年関税法の以下の条文への違反の疑いを示しています。
- 第242条:通関手続きを経ていない商品の輸出入などに対する罰則
- 第252条:第242条などの違反について、故意がなくても責任を問われ得る規定
- 第166条:未納税品や未通関品などを没収対象とする規定
- 第167条:税関職員に押収・差押えの権限を認める規定
第242条の法定刑は、10年以下の懲役、または商品の関税込み評価額の4倍に相当する罰金、もしくはその両方とされており、対象商品の没収も定められています。ただし、現時点で旅行者への刑罰や最終処分が確定したという発表はありません。
実は2026年8月にも日本の抹茶が摘発されていた
2026年8月5日には、スワンナプーム空港の貨物税関で、日本から輸入されたトレーディングカードと抹茶パウダーが押収される事件もありました。この際は必要な輸入許可がなく、未納関税額は320万バーツを超えていたとされています。
今回のチェンマイ空港での事件とこの8月の事件に関連があるという証拠は確認されていませんが、タイ税関が日本からの抹茶輸入について、手荷物・航空貨物の双方で無申告・不適切な輸入の摘発を強化していることがうかがえます。
旅行者・在住者へのポイント
近年、タイでは抹茶ラテや日本茶専門カフェの人気が高まっており、日本産抹茶は飲食店向けの原材料としても需要があります。そのため、お土産のつもりでも、量によっては商業輸入とみなされる可能性があります。
- 抹茶・粉末茶は個人使用でも1kgが目安。それを超える場合は要注意
- 同じ商品を大量に持つ、販売・転売目的、店舗での使用予定がある場合は商業輸入とみなされ得る
- 展示会用サンプルや大量のお菓子・化粧品なども、数量次第では同様の扱いになり得る
- 判断に迷う場合は、グリーンチャンネルではなくレッドチャンネル(申告あり)で申告する
- 搭乗前にタイFDAや到着空港の税関へ問い合わせておくとより安全
まとめ
今回の事件は「日本産抹茶が禁止された」という話ではありません。問題は、個人使用の基準(1kg)を大きく超える100kg・972点という量を、申告せずに持ち込もうとしたことです。日本人旅行者も、大量のお土産や販売・仕入れ目的の商品を持ち込む際は、必ず赤色の申告チャンネルを利用し、関税手続きを確認する必要があります。
今回のニュースはあくまでも関税の問題なので抹茶が正規品ということではありません。またバンコクではどこのカフェでも抹茶メニューがあるような状況で定期的に訪れていた抹茶ブームがすでにタイの人々に定着したイメージです。日本にいる知人の抹茶専門店もインバウンドで好調と聞いており、抹茶の世界的なブームはまだまだ続くのかもしれません。
タイの大手メディアの報道をもとにまとめています。
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FAQ
Q1. 抹茶を持ち込むこと自体が禁止されているのですか?
いいえ。抹茶自体が禁止されているわけではありません。問題は、商業的とみなされる量を無申告で持ち込もうとしたことです。
Q2. 個人使用ならどのくらいまで持ち込めますか?
タイFDAの案内では、茶葉・粉末茶の個人使用目安は1kgとされています。ただし数量以外の条件も確認する必要があるため、1kg以内なら必ず無条件で通過できるわけではありません。
Q3. 旅行者はどうなりましたか?
関税法違反の疑いで拘束され、法的手続きが進められています。ただし、現時点で刑罰や最終処分が確定したという発表はありません。
Q4. お土産を持ち込むときはどうすればいいですか?
同じ商品を大量に持つ場合や販売目的がある場合は、グリーンチャンネルではなくレッドチャンネルで申告し、必要な手続きを確認することをおすすめします。
出典・参考サイト
- タイ政府広報局・チェンマイ地方局(10月21日発表)
- Khaosod English(10月21日)
- タイFDA・個人使用目的の輸入ガイドライン
- タイ関税局・2017年関税法(英訳PDF)
- The Thaiger(2026年8月の別事件)

著者:Keita Satou
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
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