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イスラエルでのタイ人農業就労者を月30万円以上で募集開始 一方日本の技能実習は平均18万円 

イスラエルでのタイ人農業就労募集(月給約31.1万円)と日本の技能実習(月給18.27万円)の圧倒的な賃金格差をテーマに、農場で働く人々を描いたAI生成のイメージ画像。
keita satou

2026年2月、タイ政府はイスラエルへの農業就労者募集(TIC第20回)を開始しました。

そこで、タイ人労働者の間で「出稼ぎ先」としての日本の地位が劇的に揺らいでいます。
タイ政府が発表したイスラエルでの農業就労者募集。その条件を精査すると、日本の技能実習制度との間に「埋めようのない給料格差」が存在することが浮き彫りに

そこで今回は、実際にタイ政府が提示している最新の募集要項に基づき、日本の農業技能実習制度との待遇を徹底比較してみました。

円安の影響も大きい今どのような状況なのでしょうか?

イスラエル「最低月給31万円」VS日本の「平均18万円」明るみになる賃金格差

2026年2月、タイ政府はイスラエルへの農業就労者募集(TIC第20回)を開始しました。特筆すべきは、政府が公式に提示した最低月給の高さです。

  • イスラエル農業の最低月給:6,247シェケル(6万バーツ:日本円で約31.1万円 ※2026/2/23換算)
  • 日本の技能実習(全体)の平均賃金:約18.27万円(4万バーツ未満:厚生労働省統計より)
  • 手取り額の懸念:税率や社会保険、寮費等の天引き額の違いにより、税引き後の「手元に残る額」ではさらに差が開く可能性があります。

日本の技能実習生の場合、額面から健康保険、年金、所得税、さらには宿舎費などが差し引かれ、手元に残るのが14万〜15万円程度というケースも珍しくありません。

一方、イスラエルの募集では食費や宿泊に関するサポート条件も提示されており、実質的な手取りでは日本が完敗しているのが現状です。

なぜタイ人は日本を選ばなくなるのか?
「費用の透明性」の差

給与額だけでなく、渡航前に必要となる「初期費用」の構造も、タイ人労働者の意思決定に大きな影響を与えています。

イスラエル渡航の透明性:渡航関連費用の目安は約92,650バーツ(約46万円)と、政府が具体的に項目を提示しています。
日本の技能実習の課題:来日前、送出機関等へ支払う費用が平均約54万円に達するという調査結果もあり、不透明な仲介手数料がボトルネックとなっています。
期間設定(イスラエル):イスラエルは2年契約から開始し、延長により最長5年3か月まで就労可能です。

日本の場合は永住の道もあるがすこし複雑

  • 技能実習(現行): 1号(1年)、2号(2年)、3号(2年)の3段階に分かれており、合計で最長5年の就労が可能です。
  • 育成就労(2027年以降): 原則3年間の育成期間を経て、特定技能1号への移行を目指す形となります。
  • 特定技能(移行後): 特定技能1号としてさらに5年、条件を満たして2号へ移行すれば、事実上の無期限就労(永住権の道)も開かれます。

永住したくない人にとっては、複雑でメリットがあまりない制度かもしれません。

なぜタイ人は日本を選ばなくなるのか?
「言語習得」の壁

給与や費用に加え、タイ人労働者にとって大きな「見えない壁」となっているのが言語要件です。日本で働くためには、事前に数ヶ月かけて日本語を学習し、日本語能力試験(N4〜N5)に合格することが求められる場合が多くあります。

  • 複雑な日本語学習とコスト:就労前に日本語検定の合格が条件となるケースが多く、学習のための時間と費用が大きな負担となっています。
  • 他国の柔軟な対応:イスラエルの募集などでは、日本語のように事前に厳格な言語検定を求められない場合が多くあります。
  • 労働者の本音:多くの出稼ぎ労働者は「日本に永住したい」のではなく「目先の賃金」を重視しています。彼らにとって、数ヶ月の言語学習は「稼げない空白期間」として敬遠される要因です。

「稼げない日本」というイメージと直面する、労働力争奪戦の行方

バンコク在住10年以上の私(satou)の視点から言えば、この「月31万円 vs 18万円」という対比は、日本の農業現場における労働力不足が今後さらに深刻化することを確信させるものです。特に「税引き後の手取り」と「初期費用の透明性」を重視する現在のタイ人労働者にとって、日本の魅力は急速に色あせています。

また、日本以外の国へ就労する場合も日本のように日本語検定4~5級のような条件も特にない場合も多く。いくら将来的に永住権の可能性があると言っても、単純労働者は目先の賃金や日本に住みたいわけではないという選択肢の方が多くいるのが現状です。

世界情勢や中東情勢のリスクはありますが、タイ政府が主導する募集枠での圧倒的な高給は、それらのリスクを考慮してでもタイの若者には魅力的に映ります。日本が2027年から「育成就労」へと制度を刷新しても、この絶望的な賃金格差を埋められない限り、優秀なタイ人労働者が日本を振り向くことはないでしょう。選ばれる国としての日本の「終わりの始まり」を感じずにはいられません。


著者プロフィール

【keita satou】
keita satou
バンコク在住10年以上。SNS総フォロワー7万人超のメディア「タイムラインバンコク」運営。現地の最新情報を独自の視点で分析・発信中。

出典・参考

  • Sanook Money(S! Money 947727)
  • 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
  • 出入国在留管理庁「技能実習生の実態調査」
  • NBC協同組合 技能実習生給与詳細

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about me
Keita Satou
Keita Satou
タイ在住ライター
タイ在住ライター バンコク在住10年以上。旅行ライセンスの持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォロワー1700人)や複数のSNS(総フォロワー7万人以上)を運営する。日本のテレビ・メディア取材経験多数あり。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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