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【銃撃戦】タイ北部国境で軍vs麻薬密輸グループが衝突 ヤーバー110万錠を押収

山道の草むらに遺棄された麻薬の入った麻袋と、押収された「999」刻印入りのヤーバー(覚醒剤)の画像。「軍と麻薬密輸組織が銃撃戦 ミャンマー国境付近で110万錠の覚醒剤(ヤーバー)を捨てて逃走」という文字が入ったサムネイル。出典:Naewna
Thaim Line Bangkok

2025年12月6日未明、タイ北部のチェンライ県の国境付近で、タイ国軍のパトロール部隊と武装した麻薬密輸グループによる激しい銃撃戦が発生しました。これは乾季に入り、山道の通行が容易になったことで密輸が急増しています。

死者・負傷者なし: 兵士や警察官に怪我はありませんでした。
犯人グループは地形を利用して全員ミャンマー領内へ逃走しました。

事件詳細:闇夜の銃撃戦と大量のヤーバー

事件が発生したのは、チェンライ県ウィアンケーン郡(Wiang Kaen)のミャンマー国境に近い山岳地帯です。

  • 発生日時:2025年12月6日(土)未明
  • 対立構図:タイ国軍「パー・ムアン任務部隊(Pha Muang Force)」 vs 武装した密輸グループ(約10〜15名)

現場周辺:googlemap

5〜10分間の交戦

パトロール中の部隊が、ミャンマー側からリュックサックを背負って歩いてくる集団を発見し停止を求めたところ、集団が発砲。タイ側も応戦し、約5〜10分間の銃撃戦となりました。

幸いにもタイ側の兵士に死傷者はなく、武装集団は地形を利用してミャンマー領内へ逃走しました。その後の現場検証で、彼らが遺棄したリュックサック11個が見つかり、中からは約110万錠の覚醒剤(ヤーバー)が発見されました。

ヤーバーとは

タイ語で「ヤー(薬)」+「バー(バカ)」=
「狂い薬(Crazy Drug)」という意味です。

日本語で言うと、「覚醒剤(カクセイザイ)」に該当します。
成分的には、日本で乱用されている「シャブ(覚醒剤)」と同じメタンフェタミンが主成分ですが、形状や混ぜ物に違いがあります。

「ヤーバー(Yaba)」の正体
  • メタンフェタミン(覚醒剤)カフェイン を混ぜ合わせて作られています。
  • 日本で一般的な「白い結晶(氷、アイス)」とは異なり、不純物や着色料(赤やオレンジ)で固められた**「錠剤」**の形をしています。
  • 日本の法律(覚醒剤取締法)において、完全に覚醒剤として扱われます。
  • 所持・使用が見つかれば、タイでも日本でも重罪(実刑)となります。
  • かつては長距離トラック運転手などが眠気覚ましに使っていましたが、中毒性が極めて高く、精神錯乱を引き起こす事件が多発したため、このように呼ばれるようになりました。

なぜ今?乾季は「密輸のハイシーズン」

タイ北部では、11月頃から雨が降らない「乾季」に入ります。これは観光にとってベストシーズンであると同時に、密輸業者にとっても「仕事がしやすい時期」を意味します。

  • 山道が乾く:雨季には泥濘んで通れなかった山岳ルートが、徒歩やバイクで通行可能になります。
  • 頻発する衝突:12月初旬だけでも、メーファールアン郡などで同様の銃撃戦や、数百万錠規模の押収が相次いでいます。

国内への拡散と旅行者への注意点

北部で流入した薬物は、アユタヤなどの中部地域を「倉庫(ハブ)」として、バンコク首都圏へ拡散していきます。

実際に同日(12月6日)、アユタヤ県でも大規模な摘発があり、重要人物の逮捕と共に670万錠ものヤーバーが押収されています。これは北部からの流入圧力が極めて高いことを示しています。

旅行者は「ルート」を外れないで

チェンライやチェンマイの山岳地帯へトレッキングや観光に行く際は、以下の点に十分注意してください。

  • 国境付近に不用意に近づかない:特にウィアンケーン、メーサイ、ファーン周辺の山中は、軍が「立入禁止区域」に指定している場所があります。
  • 検問の強化:北部からバンコクへ向かう主要道路では、検問が厳しくなっています。パスポート(またはコピー)を必ず携帯しましょう。

まとめ

今回の事件では双方に確認された死者はいませんでしたが、過去には密輸グループ側に多数の死者が出るケースも発生しています。

雨季の終わりとともに密輸が盛んになるというのは、言われてみれば納得ですが、初めてしりました。涼しいので避暑地として観光客に人気のタイ北部も、一歩山奥に入れば「国境紛争と薬物戦争の最前線」であることを忘れてはいけません。美しい景色を楽しむ一方で、現地のルールと危険エリアの情報を正しく把握して行動することが大切です。

またこのあたりもカンボジア国境付近と同様、過去は同一民族でした。タイ人との会話でも北部出身の人をガリアン(カリアン)と総称で読んでいるのを耳にしたこともあります。国境制定前は同一民族だったかと思われます。

この記事の出典

本記事は以下の現地報道および公式発表を基に作成しました。

  • Thairath
  • Thai PBS
  • Naewna

この記事を書いた人

keita satou(タイムラインバンコク編集部)
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォワー1700人)や複数のSNS(総フォワー7万人以上)を運営する。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
タイムラインバンコク編集部
Facebook(keita satou)

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タイムラインバンコク編集部は、バンコクに在住する経験豊富な編集者とライターからなる専門チームです。日本人メンバーだけでなく、日本語能力試験N1を持つタイ人メンバーも在籍しており、多様な視点から情報を捉えることを大切にしています。 インターネット上の情報だけでなく、実際に現地へ足を運び、独自の取材・調査を行うことを信条としています。グルメ、ビューティー、最新ニュースからカルチャーまで、バンコクで暮らす人、訪れる人にとって本当に価値のある、正確で信頼できる情報を厳選してお届けします。日本のメディアに情報提供することもあります。
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