タイに実在した「伝説のヒットマン」巨大樹の上の隠れ家に潜むも警察の近代機器で逮捕
2026年3月12日、タイ南部ナコーンシータンマラート県の険しい山中で、映画のワンシーンのような逮捕劇が繰り広げられました。逮捕されたのは、少なくとも10件以上の殺害に関与したとされる「伝説のヒットマン」。彼が潜伏していたのは、人里離れた密林の樹上に自作した、地上10メートルの「ツリーハウス」でした。
1. 捜査員も驚愕。地上10mの「ツリーハウス要塞」

タイ第8地方警察とタムパンナーラー署の合同チームが確保したのは、通称「ミー・チャーンクラーン(熊)」ことゴーミン容疑者(51歳)です。殺人容疑で指名手配されていた同容疑者は、ナコーンシータンマラートとスラタニの県境に位置するニパン山の密林に、巧妙な隠れ家を築いていました。
- 潜伏場所
カリヤナミット洞窟付近、地上約10mの樹上 - 逃亡術
山中の木の上にツリーハウスを自作。生活物資の買い出し時以外は決して山を下りない。 - 押収武器
11ミリ拳銃、弾薬、ツリーハウス内に散弾銃と追加弾薬。
警察は、食料調達のために山を下りる一瞬の隙を突き、容疑者を確保。その後、容疑者自身の案内で険しい山道を2キロ以上登った捜査チームは、木の葉に紛れて地上からは視認困難な「要塞」を確認しました。
2. 「殺し屋が、殺し屋に狙われる」戦慄の供述
取り調べに対し、ゴーミン容疑者は自らの「生業」を淡々と語り始めました。そこには、タイ南部の闇に根ざした凄惨な人間模様が浮かび上がります。

「長年、請負殺人で生きてきた。1件あたり数十万バーツが相場だ。過去には村長を殺して8年服役したこともある。今回、山奥の木の上に逃げ込んだのは警察から逃げるためだけじゃない。元依頼主が口封じのために“別の殺し屋”を差し向けてきた。自分も命を狙われる立場になり、復讐の機会をうかがっていたんだ」
容疑者は、未解決を含む多数の暗殺に関与したことを認めており、警察は押収した銃器の弾道検査と並行し、南部各県で起きた過去の未解決事件との関連を精査する方針です。
タイ南部「ヒットマン文化」のリアル
聞いた話によると、タイ南部(ナコーンシータンマラートやスラタニ周辺)には、土地の利権や地方政治の争いを暴力で解決しようとする「ヒットマン文化」が、未だに土着的な影として残っています。またバンコクでもタイには長年、「มือปืนรับจ้าง(ムープン・ラップジャーン=ヒットマン/請負殺人者)」という存在がいたそうです。
かつては「山に逃げれば見つからない」と言われた時代もありましたが、現代のタイ警察はドローンやデジタル捜査を駆使し、今回のように執念の張り込みで確実にターゲットを追い詰めます。凄腕のヒットマンが「ツリーハウス」という極限のサバイバルを強いられ、かつての仲間(依頼主)に命を狙われるという結末は、この業界の非情さと終焉を象徴しているようです。
まとめ
「ミー・チャーンクラーン」の逮捕により、多くの未解決事件に光が当たる可能性があります。SNSをチェックしながら樹上で息を潜めるという、2026年ならではの逃亡生活。その裏にある「裏切りの連鎖」は、タイのニュースの中でも際立った異質さと恐怖を放っています。警察は余罪の追及を続け、南部の組織犯罪ネットワークの解明に繋げるとしています。
著者プロフィール
【keita satou】
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,700人)をはじめ、複数のSNSで合計7万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
ライター紹介:https://enjoy-bkk.com/about/
Facebook:https://www.facebook.com/thaimlinebkk
出典
- ASEAN NOW 「Notorious Hitman Arrested in Mountain Treehouse」
- Thai Rath 「มือปืนรับจ้าง ‘มี ชางกลาง’ ถูกจับในบ้านบนต้นไม้กลางเขา」
- Khaosod Online / CH7HD News

