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米空母5,000人の寄港報道に英紙が「パタヤの売春は合法」と誤報しタイで波紋

米空母のタイ寄港とパタヤ・ウォーキングストリートの夜の街を表現したコラージュ画像(AI IMAGE)
keita satou

米海軍の原子力空母「USSエイブラハム・リンカーン」がタイ・チョンブリ県に寄港し、約5,000人の乗組員がパタヤを訪れるという報道をきっかけに、英国メディアの誤表記がタイ国内で波紋を広げています。

英紙The Independentが、SNS投稿でパタヤについて「売春が合法な街」という趣旨の表現を使ったことが拡散し、数万件規模の反応を集めました。本記事では、報道されている事実関係を整理してお伝えします。

米空母の寄港概要

報道によると、米海軍の原子力空母USSエイブラハム・リンカーン(CVN-72)は2026年9月2日、タイ・チョンブリ県のレムチャバン港へ到着しました。随伴艦のミサイル駆逐艦USSフランク・E・ピーターセン・ジュニアはシラチャ港、ミサイル巡洋艦USSロバート・スモールズはラヨーン県マープタープット港へ、それぞれ入港したとされています。

  • 艦艇:USSエイブラハム・リンカーン(空母)、随伴艦2隻
  • 乗組員:約5,000人
  • 寄港地:チョンブリ県レムチャバン港ほか
  • 滞在期間:2026年9月2日〜6日の予定
  • 目的:長期任務後の休養・補給

報道によると、USSエイブラハム・リンカーンは中東地域での任務に従事しており、洋上での展開日数は報道によって「286日間」「265日ぶりの寄港」など表現が異なりますが、いずれにしても長期間の任務を終えての寄港とされています。米海軍は今回の寄港について、乗組員が休養し英気を養う機会と説明しているとのことです。事前の想定では、約6割がパタヤを訪れるとみられていたとされています。

パタヤ市当局の対応

報道によると、パタヤ市当局は米海軍乗組員の訪問に合わせ、市内の警備を強化しました。パタヤ市長らは、乗組員1人あたりの消費額を1日1,000〜3,000バーツ程度と見込んでいるとされ、ホテルや飲食店、観光業への経済効果が期待されています。あわせて、チョンブリ当局は事前に商業施設を検査し、価格の明確な表示や、米軍関係者への不当な値上げをしないよう事業者に指導したとされています。

寄港前に実施された取り締まり

報道によると、米海軍の到着に先立ち、8月29日夜にパタヤ警察、観光警察、入国管理当局などが合同でパタヤビーチや繁華街を一斉に検査しました。この検査では、公共の場での客引きに関する容疑で25人が拘束されたとされています。あわせて、複数回にわたる取り締まり全体では40〜50人が拘束されたとの報道もあり、これは集計の範囲が異なるためとみられます。

当局は、今回の取り締まりの時期が米海軍の到着直前だったことを認めつつ、公共の場での客引きや未成年者の性的搾取、人身取引などをもともと問題視していたとしています。

タイの法律における売春の位置づけ

タイでは、1996年制定の売春防止・抑止法により、公共の場での売春目的の客引き、売春施設での関連行為、売春の広告・斡旋、売春施設の経営・管理、未成年者を売春させる行為、強制的に売春させる行為などが処罰の対象とされています。つまり、法律上、売春に関連する行為は違法です。

一方で、パタヤやバンコクの一部観光地では、商業的な性産業が実際には目に見える形で存在していることも、複数の海外メディアが指摘しています。法律上は違法であるものの、取り締まりは限定的で、実質的に黙認されているという指摘です。この「法律上の建前」と「観光地の実態」の乖離が、今回の騒動の背景にあります。

英紙The Independentの誤表記騒動

報道によると、英国のThe Independent紙は、米空母の寄港とパタヤでの注意喚起に関する記事を報じた際、記事本文では「売春は違法(illegal)」と正確に記載していました。しかし、同紙の公式SNS投稿では、パタヤについて「売春が合法(legal)な街」という趣旨の表現が使われていたとされています。

この投稿は大きく拡散し、数万件規模の反応、数千件規模のコメント・シェアを集めたと報じられています。その後、The Independent側は表記を修正し、「売春はタイで違法」と明記し直したとされています。なお、過去にインデックスされた記事の一部にも「legal」という表記が残っていたとの指摘もありますが、これが意図的な表現だったのか、単純な誤記だったのかは明らかになっていません。

タイ国内での反応

報道によると、今回の誤表記に対しては、タイ国内で賛否が分かれる反応があったとされています。一部からは「売春は違法なのに、なぜ『合法』と書くのか」という批判の声が上がった一方、「法律上は違法でも、観光地の現実を見れば分かる」といった、法律と実態の乖離を指摘する反応もあったとされています。

米軍関係者への行動制限(一般観光客とは別)

報道によると、米海軍とタイ側の協議により、米軍関係者にはトラブル防止を目的とした行動制限が設けられています。ソイ6、ソイ6/1、ソイ7への立ち入りが禁止されているほか、大麻販売店や薬局への立ち入りも制限対象とされています。ウォーキングストリートへの訪問は認められているものの、午前2時までに退去することが求められているとのことです。

ここで重要なのは、これらの制限は米軍内部の規則であり、一般観光客や日本人旅行者に対する立ち入り禁止措置ではないという点です。タイ政府広報局も、これらの区域制限について「米軍内部の規則であり、市全体に対する禁止措置ではない」と説明しているとされています。各店舗・観光施設は、通常どおり一般客向けに営業しているとのことです。

パタヤと米軍の歴史的な関係

報道によると、パタヤが小さな漁村だった1950〜60年代、ベトナム戦争期を中心に、周辺地域へ展開していた米軍兵士が休養目的でパタヤを訪れるようになったことが、現在の観光都市としての発展のきっかけの一つだったとされています。今回のUSSエイブラハム・リンカーン寄港には、こうした歴史的な背景も指摘されています。

一方で、現在のパタヤ市は、高級ホテルや大型ショッピングモール、ゴルフ、ウォーターパーク、家族向け観光地など、観光資源の多様化を進めており、性産業の街というかつてのイメージからの脱却を図っている段階とされています。

タイの大手メディアおよび海外メディアの報道をもとにまとめています。

まとめ

今回の話題は、米海軍の空母USSエイブラハム・リンカーンがタイに寄港し、約5,000人の乗組員がパタヤを訪れるという報道をきっかけに、英紙The Independentの「売春は合法」という誤表記がSNSで拡散し、タイ国内で波紋を呼んだというものです。同紙はその後、表記を「違法」に修正しています。

タイでは売春は法律上違法ですが、観光地では実質的に黙認されているという実態があり、今回の騒動は「法律上の建前」と「観光地の現実」の乖離を改めて浮き彫りにしました。
なお、Soi 6等の立入制限は米軍関係者向けの規則であり、一般の日本人旅行者には適用されません。

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よくある質問(FAQ)

Q1. タイでは売春は合法なのですか?

いいえ。タイの法律上、売春に関連する行為は違法です。ただし、観光地の一部では実質的に黙認されている実態があると、複数の海外メディアが指摘しています。

Q2. Soi 6やウォーキングストリートは一般観光客も立ち入り禁止なのですか?

いいえ。今回の立入制限は米軍関係者向けの内部規則であり、一般観光客や日本人旅行者には適用されません。各店舗・観光施設は通常どおり営業しています。

Q3. The Independentはなぜ「合法」と誤表記したのですか?

本記事執筆時点では、意図的な表現だったのか単純な誤記だったのかは明らかになっていません。記事本文では当初から「違法」と正確に記載されており、SNS投稿でのみ誤った表記が使われ、その後修正されています。

Q4. 米海軍到着前の取り締まりで何人が拘束されたのですか?

報道によって数字が異なります。8月29日の一斉検査では25人、複数回の取り締まり全体では40〜50人と報じられており、これは集計範囲の違いによるものとみられます。

出典・参考サイト

  • The Thaiger:誤表記騒動およびSNSの反応に関する報道記事
  • The Independent:米空母寄港および注意喚起に関する記事
  • Reuters:米空母の展開日数および経済効果に関する報道記事
  • The Pattaya News:米海軍側との事前協議・行動制限に関する報道記事
  • Khaosod English:取り締まりの詳細に関する報道記事
  • タイ政府広報局:区域制限に関する公式説明

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Keita Satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。

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タイ在住ライター
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
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