タイの海外生活満足度は世界一に「住みやすい国」ランキングで総合3位に
世界最大級の海外居住者(エクスパット)向けコミュニティ「InterNations」が実施した年次調査「Expat Insider 2026」で、タイが「住みやすい国」総合3位にランクインしました。特に、海外生活への満足度は調査対象の中で最も高く、86%のタイ在住者が「満足している」と回答しています。
162の国籍の計7,786人によるアンケート結果です。
ランキングの詳細と、タイの強み・弱みの両方を正確に整理してお伝えします。
2026年「住みやすい国」ランキング上位5位
InterNationsの公式総合ランキングは次の通りです。
- 1位:パナマ(3年連続1位、仕事・家計・住居・定住しやすさが総合的に高評価)
- 2位:メキシコ(「現地に溶け込みやすい」部門1位)
- 3位:タイ(海外生活の幸福度、生活費、現地住民の親しみやすさがいずれも1位)
- 4位:UAE(生活に必要なインフラ・手続き「Expat Essentials」1位)
- 5位:ブラジル(幸福度5位、現地社会への馴染みやすさで高評価)
6位以降は、スペイン、シンガポール、ポルトガル、マレーシア、ルクセンブルクと続きます。
なお「世界3位」と表現されることがありますが、厳密には世界すべての国を比較したものではありません。2026年の調査条件(1つの国・地域につき最低50人以上の回答)を満たした31の国・地域の中での3位です。
なぜタイが3位になったのか
最大の理由は、実際にタイに住んでいる外国人の満足度が非常に高いことです。タイ在住回答者の86%が「タイでの海外生活に満足している」と回答しました。全調査対象国の平均は70%のため、かなり高い数字です。
さらに42%が「タイに永住したい」と回答しています。世界平均は27%です。InterNationsは、タイを「世界で最も幸せな外国人居住者が暮らす国」と位置づけています。
「生活費」「住宅費」は世界1位
タイの最大の強みの一つが生活コストです。一般的な生活費について85%が肯定的に評価しており、世界平均のわずか39%を大きく上回っています。その結果、一般的な生活費は1位、個人の家計(Personal Finance)は2位となりました。
さらに、回答者の78%が「可処分所得で快適に生活できる」と回答し、そのうち50%は「十分以上」と答えています。単純に「物価が安い」だけでなく、「収入に対して生活の質を維持しやすい」ことが評価されているといえます。
住宅についても、住宅の手頃さは1位、住宅の探しやすさは2位でした。住宅費に満足している回答者は79%で、世界平均の32%を大きく上回っています。バンコクでは高級コンドミニアムの家賃も上昇していますが、それでも欧米主要都市などと比較すると、外国人にとって住宅費の負担感が比較的小さいことがランキングに表れています。
「タイ人の親しみやすさ」も世界1位
タイのもう一つの強さが、人間関係です。タイの現地住民について、89%が「親しみやすい」と評価しました。世界平均は63%です。
タイは、現地住民の親しみやすさで1位、外国人が「自分の居場所だ」と感じる度合いでも1位、定住のしやすさ(Ease of Settling In)は総合3位でした。また、49%が「タイ人の友人を作るのは簡単」と回答しています。世界平均は39%です。日本人にとっても、日常の買い物、飲食店、近所付き合い、サービス業などで人と接しやすいことが、この評価につながっていると考えられます。
医療・食事の評価も高い
タイの医療についても、外国人から高評価です。医療の利用しやすさは5位、医療の質は4位でした。バンコクを中心に外国人向けの私立病院が多いことが、駐在員・退職者にとって大きなメリットになっていると考えられます。
また、食事・飲食の選択肢は4位、文化・ナイトライフは5位でした。生活費の安さ、食事の充実、文化・娯楽の豊かさ、人の親切さという組み合わせが、外国人満足度を押し上げています。
最大の弱点は「大気汚染」
タイは、すべての項目で高評価だったわけではありません。特に厳しいのが環境・気候で、31カ国中最下位でした。大気の質も31位で、空気の質を肯定的に評価した外国人はわずか33%にとどまり、世界平均の65%を大きく下回っています。都市環境も28位と低評価でした。
バンコクのPM2.5や、チェンマイなど北部の煙害シーズンが、外国人のタイ生活における大きなマイナス要素になっていることが、この数字にも表れています。
「個人的な安全」は高いが、政治・制度面の評価は低い
ここは少し複雑な結果です。外国人回答者の91%が「タイで個人的に安全だと感じる」と回答し、個人的な安全性は6位でした。しかし、治安・安全保障全体(Safety & Security)になると27位まで下がります。
理由として、政治的安定性が29位、自由に意見を表現できる環境が30位という、低い評価が影響しています。つまり、「日常生活では安全だと感じているが、政治・制度まで含めると評価が低くなる」という結果です。
銀行口座の開設は最下位
在住外国人にとって、非常にリアルな結果もあります。外国人が銀行口座を開設しやすいかという項目で、タイは調査対象31カ国中最下位でした。「簡単に口座を作れる」と回答したのは43%で、世界平均の63%を下回っています。行政サービスのオンライン化も30位でした。ビザ取得自体は12位とそれほど悪くない一方、銀行・行政手続きに関しては、外国人が不便さを感じているという結果です。
日本人にとっては、銀行口座の開設、ビザ・滞在許可の手続き、住所・電話番号・就労許可の確認、税務関連手続き、書類のタイ語・英語対応などが負担になりやすい点と一致します。
「仕事をする国」としては評価が低い
タイは総合3位ですが、「海外で働く(Working Abroad)」という項目では20位にとどまります。現地の雇用市場は29位、タイ経済への評価は26位、外国人自身のキャリア機会は23位でした。
つまり、今回のランキングは「タイは外国人がキャリアアップするのに世界3位」という意味ではなく、「稼ぐ場所としてはそれほど高評価ではないが、生活する場所としての満足度が非常に高い」という結果です。ただし、ワークライフバランスは3位で、72%が満足していると回答しています。
タイの回答者の40%が退職者
この結果を理解する上で重要なのが、回答者の属性です。タイの回答者では、40%が現在退職生活中で、22%が「リタイアするためにタイへ移住した」と回答しています。世界平均では、リタイアを移住理由に挙げる人はわずか4%です。
したがって今回の3位という結果には、「駐在員として働きやすい国」というより、「リタイア・長期滞在先として満足度が高い」というタイの特徴が、かなり反映されています。
この調査はどのように行われたのか
「Expat Insider 2026」は、特定の会場で実施されたイベント型のアンケートではありません。InterNationsが、2026年2月1日〜3月31日にオンラインで実施した調査です。
回答者は合計7,786人、162の国籍にまたがっています。募集は、InterNationsの会員だけに限定されておらず、コミュニティ、ニュースレター、SNS、外部の外国人コミュニティなどを通じて行われました。対象者も企業から海外赴任した駐在員だけでなく、現地採用者、海外移住者、国際結婚などで移住した人、リタイア移住者など、さまざまな背景を持つ人々が含まれています。
ランキングに掲載されるには、1つの国・地域につき最低50人の有効回答が必要で、2026年はこの条件を満たしたのが31の国・地域でした。一方、タイについて具体的に何人が回答したのか、そのうち日本人が何人だったのかは、InterNationsの公開資料には明記されていません。
この調査は、犯罪統計や物価統計、行政データを機械的に比較したものではありません。回答者が、海外生活に関する最大53項目を1〜7点で評価し、その満足度を集計したものです。「安全性」についても、犯罪統計上の安全度ではなく、回答者本人がどの程度安全に感じているかを測った指標である点にご留意ください。
日本人にとっての読み方
このランキングは「外国人全体が感じた住みやすさ」を測ったものであり、日本人駐在員の評価だけを示すものではありません。日本人にとって参考になりそうなポイントを整理すると、次のようになります。
高く評価されやすい点としては、日本より生活費を抑えやすいこと、外食・家事代行・各種サービスが利用しやすいこと、日本人コミュニティがあること、バンコクでは日本語対応の病院・店舗があること、現地の人が親しみやすいこと、退職後・長期滞在先として選択肢があることなどが挙げられます。
一方、不満が出やすい点としては、大気汚染、交通渋滞と道路の安全、ビザ・労働許可・銀行手続き、タイ語の壁、政治・制度の不透明さ、洪水・暑さ・雨季の生活リスク、外国人向け住宅・教育・医療費の高さなどが挙げられます。
タイの大手メディアおよび現地メディアの報道をもとにまとめています。
まとめ
InterNationsの「Expat Insider 2026」調査で、タイは31の国・地域の中で総合3位にランクインしました。海外生活の幸福度、生活費、住宅費、現地住民の親しみやすさは、いずれも調査対象の中で1位という高評価です。回答者の86%が「タイでの生活に満足している」と回答し、42%が「永住したい」と答えています。
一方で、大気の質と銀行口座の開設しやすさは31位でいずれも最下位、政治的安定性や表現の自由の評価も低く、すべての面で優れているわけではありません。また、タイの回答者の40%が退職者であることも、この結果を理解する上で重要なポイントです。
こうした国際調査は移住・駐在を検討する際の参考情報として有用だと感じていますが、「世界3位」という数字だけが独り歩きしないよう、どのような人が回答し、何を評価した調査なのかを正しく理解することが大切だと思います。アンケートは4%前後の回答で全体の傾向や支持率がわかるというのを聞いたこともあり、私の住むタイは外国人から見てかなり住みやすい国と言えるのではないでしょうか、また仕事をする国としての評価の低さや銀行口座に関してランキングが低いというのは私も10年のタイ生活で同意できる部分があるのも事実です。言葉の壁(英語話者が少ない)の問題もあるでしょうが、それを乗り越えて住みやすい国ランキング上位と言うのは日本人も参考になるのではないでしょうか?と同時にタイは安くなくなったというSNSの投稿などを見ていると円安の影響を感じずには居られません。また乾季の際のPM2.5による大気汚染は実際に喉が痛くなったりします。アンケートの回答結果はかなり妥当だと個人的に感じました。
バンコクでの生活実感と、こうした調査結果を照らし合わせながら、ご自身に合った暮らし方を考える材料にしていただければと思います。
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よくある質問(FAQ)
Q1. タイは「世界で3番目に住みやすい国」ということですか?
正確には「世界すべての国」の中での3位ではありません。2026年の調査条件(1カ国・地域あたり最低50人以上の回答)を満たした31の国・地域の中での3位です。また、この調査は物価・犯罪統計などの客観データではなく、海外居住者本人が回答した主観的な満足度調査である点にもご注意ください。
Q2. タイの何人が回答した結果なのですか?
タイの具体的な回答者数は、InterNationsの公開資料には明記されていません。ランキング掲載条件として最低50人以上の回答が必要とされているため、少なくとも50人以上であることは分かりますが、正確な人数や日本人の回答者数は非公表です。
Q3. タイは仕事をする国としても評価が高いのですか?
いいえ、そうとは言えません。「海外で働く(Working Abroad)」の評価は20位で、雇用市場は29位、キャリア機会は23位と、決して高い評価ではありません。今回の総合3位は、生活費・住宅費・人間関係・幸福度といった「生活の満足度」が中心に評価された結果であり、キャリア形成の面での評価ではない点にご注意ください。
出典・参考サイト
- The Thaiger「Thailand ranks 3rd expat destination in 2026 survey」
- InterNations「Expat Insider 2026」公式結果

Keita Satou
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスの持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォロワー1900人)や複数のSNS(総フォロワー8万人以上)を運営する。日本のテレビ・メディア取材経験多数あり。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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