タイの伝統行事「キンジェー」パクチーもNGな菜食週間について解説 2025/10/20頃から

タイの秋の風物詩ともいえる伝統行事「キンジェー(เทศกาลกินเจ)」、いわゆる菜食週間が今年もやってきます。
この期間、タイでは多くの人が厳格な菜食を行いますが、実は「肉や魚」だけでなく、日本人にとってはタイ料理といえばでもおなじみの「パクチー」もNGであることをご存じでしょうか。
2025年は例年と日程が異なり、10月20日頃から始まります。この記事では、2025年の正確な日程、禁止されている食材の理由、そして最大の見どころであるバンコク・ヤワラート(中華街)の楽しみ方まで、最新情報を徹底解説します。
2025年のキンジェー(菜食週間)はいつ?
2025年のキンジェーの公式な儀式期間は以下の9日間です。
- 2025年キンジェー公式期間:10月21日(火)~ 10月29日(水)頃
ただし、バンコク・ヤワラート(中華街)でバンコク都(BMA)が主催する大規模な屋台イベント「Chinatown Vegetarian Festival 2025」は、前日の10月20日から開催されます。
【イベント開催期間(ヤワラート)】
2025年10月20日(月)~ 10月29日(水)
「キンジェーは毎年9月か10月頭では?」と記憶している方も多いかもしれませんが、2025年はタイ旧暦で「8月が2回ある」閏年(アティカマート)にあたるため、例年より約1ヶ月後ろ倒しの開催となっています。
「キンジェー」とは?

「キンジェー」とは、タイ語の「キン(食べる)」と、中国語起源の「ジェー(齋=精進料理)」を組み合わせた言葉です。
タイの中国系コミュニティにおける道教の「九皇大帝」という神々を祝う祭りが起源で、この9日間に厳格な菜食(ジェー)を実践することで、心身を浄化し、功徳を積むことを目的としています。
期間中、参加者は身体的な純粋さを示すために「白い服」を着用し、仏教の五戒(殺生、盗み、嘘などを禁じる)を守ることが推奨されます。近年はこうした宗教的な背景だけでなく、健康志向やプラントベースの流行から、中華系以外のタイ人や外国人にも参加者が広がっています。
【パクチーもNG】
キンジェー期間中の厳格な「食のルール」
キンジェーの食事ルールは、日本の「精進料理」や一般的な「ヴィーガン」とも少し異なります。最大の特徴は、タイトルの通り「パクチー」も禁止されている点です。
期間中、街の屋台やレストランには黄色い地に赤字で「齋」または「เจ」と書かれた旗が立ちますが、これらの店で提供されるジェー料理では、以下の食材が一切使われていません。

- 肉類(牛・豚・鶏などすべて)
- 魚介類
- 卵、乳製品(牛乳、バター、チーズなど)
- 匂いの強い野菜(五葷):
ニンニク、ネギ類(玉ねぎ含む)、ニラ、らっきょう、パクチー - アルコール類(酒全般)
ニンニクやパクチーなどの香味野菜が禁止されるのは、それらが食欲や情欲を刺激し、心の浄化を妨げると考えられているためです。
地域別!キンジェーの見どころ
キンジェーはタイ全土で祝われますが、特に「プーケット」と「バンコク」では祝い方が大きく異なります。
プーケット:世界的に有名な「奇祭」
プーケットのキンジェーは、その過激な儀式で世界的に有名です。「マーソン」と呼ばれる神々の霊媒師たちが、頬や舌、腕などに鉄串や刃物などを突き刺したまま街を練り歩きます。これは、地域社会の罪や不運を自らの体に引き受けるという神聖な儀式です。
バンコク・ヤワラート(中華街):最大級の「食の祭典」
一方、バンコクのヤワラート(中華街)では、食を中心とした盛大なお祭りが楽しめます。2025年はバンコク都(BMA)が主催し、「タイ–中国友好50年」をテーマに開催されます。
オデオン・サークル(王宮記念門)からチャルームブリ交差点までのヤワラート通り一帯に120軒以上の屋台が集結し、大豆ミートを使った肉そっくりの料理や、きのこ、豆腐などを駆使した創造的なジェー料理が並びます。
ヤワラート おすすめ周遊プラン(徒歩)
初めてヤワラートのキンジェーに行く方のために、MRT駅を起点としたおすすめルートを紹介します。
- MRT ワット・マンコン駅(出口1)からスタート
駅を出た瞬間から、黄色い「齋(เจ)」の旗が並ぶ屋台の雰囲気を味わえます。 - ワット・マンコン・カマラワート(龍蓮寺)で参拝
儀式の中心的寺院で、多くの人が白い服を着て熱心に祈りを捧げています。寺院内では静粛に。 - プレーンナーム通り(Soi Plaeng Nam)で食べ歩き
屋台が密集する通り。揚げ豆腐、湯葉ロール、ベジタリアン串、豆乳など、定番のジェー料理を試してみましょう。 - ヤワラート本通りへ
メインストリートに出て、オデオン・サークル方面へ。夕方から夜にかけて屋台と人出がピークに達し、祭りの活気を最も感じられます。
現地で役立つTIPS
- 目印:黄色地に赤字の「齋」または「เจ」の旗がある店がジェー対応店です。
- 混雑回避:最も混雑する日没後を避け、14時~16時頃に寺院や屋台を先に回るのがおすすめです。
- 支払い:屋台では小額現金(20, 50, 100バーツ札)のほか、QR決済(PromptPay)が非常に便利です。
- 安全:非常に混雑するためスリには十分注意してください。また、儀式で使われる爆竹の音や煙には驚かないよう距離を保ちましょう。
旅行者・在住者向けFAQ(よくある質問)
Q. キンジェーへの参加は強制ですか?
A. 強制ではありません。参加は完全に自主的なもので、法的な義務もありません。
Q. 旅行客も菜食をしないといけませんか?
A. いいえ、その義務はありません。「齋」マークのないレストランや屋台、フードコートなどでは通常通り、肉料理や魚料理も提供されています。
Q. 期間中、お店でお酒は飲めますか?
A. 国全体で飲酒が禁止されるわけではありません。ただし、「齋」マークを掲げているジェー料理店や、寺院周辺のエリアではアルコールの提供が停止されることが多いです。
Q. 白い服は必須ですか?
A. 必須ではありません。ただし、龍蓮寺のような寺院での儀式に参加・見学する場合は、敬意を示すために白い服の着用が推奨されます。街歩きだけなら普段着で問題ありません。
まとめ
10年住んでいますが、スーパーやレストランや屋台で専用の食料品やメニューやブースが特設されているのが一般的で、一部のタイ人以外は日常的な生活をしているというのが実情です。お酒の販売も問題なく行われ禁酒日のような禁酒ムードもありません。ただ菜食習慣とまではいかなくても、一日くらいは体験してもよいかもしれません。
2025年のキンジェー(菜食週間)は、閏年の影響で10月20日(月)頃から10月29日(水)にかけて開催されます。「パクチーもNG」という厳格なルールが生み出す、この時期限定の大豆ミート料理や創造的な菜食グルメは試してみる価値ありです。
この時期にタイ、特にバンコクやプーケットを訪れる方は、普段とは違う祭りの熱気と特別なグルメを楽しんでみてはいかがでしょうか。
出典・参考サイト
- TAT Newsroom
- Nation Thailand
- Time Out Worldwide
- Matichon
- Thairath
- タイ国政府観光庁 (TAT)
- タイ文化省
この記事を書いた人
keita satou(タイムラインバンコク編集部)
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォワー1700人)や複数のSNS(総フォワー7万人以上)を運営する。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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