タイ代表には「来てほしくなかった」愛知・名古屋アジア大会で愛知県知事の発言がタイでも話題
2026年愛知・名古屋アジア競技大会の新競技「テックボール」をめぐり、タイ代表チームが大会会場で提供された昼食の少なさをSNSで紹介したことをきっかけに、大会組織委員会会長を務める愛知県の大村秀章知事が「再生回数稼ぎに来たのか」「こういう人には来てほしくなかった」と発言したことが、タイ国内で大きな話題となっています。タイのメディアでは「タイ代表選手に来てほしくなかった」というニュアンスで報じられており、日本語報道との受け止め方の違いも見られます。本記事では、騒動の時系列と、タイ側・日本側それぞれの言い分を整理してお伝えします。
何が起きたのか 時系列で整理

発端は2026年9月17日です。タイのテックボール代表チームのヘッドコーチ、レワット・パープチョンプー氏が、競技会場で提供された昼食をFacebookページ「Teqball Thailand Inside」で紹介しました。報道によると、動画の中でコーチは「少ないね」「野菜を2種類食べたいけれど、1種類しか選べないらしい」などと、笑いを交えて説明していたとされています。
同日、タイ側は「選手には会場外で追加の食事を準備した」と補足しており、選手が食事不足のまま競技に臨んだということではありません。
この投稿が拡散したことを受け、大会組織委員会(AINAGOC)は9月22日、公式に「当該の飲食は組織委員会が提供したものではない」と説明しました。報道によると、テックボールは大会開催の直前にアジア・オリンピック評議会(OCA)の要望で追加された競技で、組織委員会が実務運営や費用を負担しない条件が付いており、宿泊や食事の手配は競技団体側が独自に担当するスキームだったとされています。
大会は10月4日に閉幕。その2日後の10月6日、大会を総括する記者会見で大村知事がこの問題に言及し、次のように発言しました。
「こんな料理しかない、というのはちょっとひどい」
「再生回数稼ぎに来たのかと思った」
「何しに来たんだと思った」
「こういう人には来てほしくなかった」
この発言が日本メディアで報じられると、即座にタイの大手メディアや海外の掲示板で引用され、タイ国内で再び大きな反響を呼んでいます。
タイ側の言い分
タイのコーチが投稿した動画は、組織委員会を名指しで糾弾する正式な抗議文ではなく、現場の昼食の内容を笑いながら紹介したものだったとみられます。動画が拡散したその日のうちに、チーム側は「心配ありがとう。選手には競技場外で追加の食事を準備しました」と補足しており、選手が深刻な食事不足に陥ったと主張し続けていたわけではないようです。
なお、タイ代表はテックボール5種目のうち3種目(男子ダブルス、女子ダブルス、混合ダブルス)で金メダルを獲得しており、混合ダブルス決勝では開催国・日本を破っています。この競技結果と知事発言との間に直接の因果関係を示す情報はなく、両者は切り離して考えるべき事柄です。
日本側(愛知県・組織委員会)の言い分
組織委員会は9月22日の声明で、問題となった昼食はテックボール競技団体側が独自に手配したものであり、組織委員会が直接提供したものではないと明確に否定しています。大村知事の発言は、こうした経緯を踏まえ、「組織委員会が関与していない食事であるにもかかわらず、一方的に批判された」という受け止めが背景にあるとみられます。
大会組織委員会会長でもある大村知事としては、国際的に「日本開催のアジア大会で選手に十分な食事が提供されなかった」という印象で拡散したことに対し、強い不満を示した形です。
「来てほしくなかった」は誰を指したのか 日タイで異なるニュアンス
この点は記事として特に注意が必要です。日本語報道での知事発言は「こういう人には来てほしくなかった」であり、文脈上は動画を投稿した関係者を指しているとされています。一方、タイ語メディアの一部では「タイの選手に来てほしくなかった」という、より広い意味の見出しで報じられています。
そのため、「愛知県知事がタイ代表選手全員に対して『来るな』と発言した」と断定するのは正確ではない可能性がありますが、タイ国内での報じられ方・受け止められ方としては、代表チーム全体への発言として広がっているのが実情です。
なぜここまで大きな騒動になったのか
- テックボールの運営体制が特殊だった:直前に追加された競技で、宿泊・食事の運営主体が一般競技と異なっていたため、責任の所在が分かりにくい状態でした。
- SNS文化の違い:タイ側は現場の様子を気軽に共有するスタイルで投稿しましたが、受け取る側には「正式な苦情」「再生数狙いの投稿」と映った可能性があります。
- 大会全体への不信の蓄積:今大会では宿泊船の手配トラブルや移動の遅延など、複数の運営上の混乱が他国の選手団からも指摘されていたとされ、今回の件もその延長として受け止められた面があります。
- 公人による強い言葉:国際大会の受入責任者である知事が、強い表現で発言したことで、単なる運営上の行き違いが国際的な話題へと拡大しました。
タイの大手メディアおよび日本メディアの報道をもとにまとめています。
まとめ
今回の騒動は、「タイ代表が日本の食事に文句を言った」「知事が逆ギレした」という単純な図式では語れません。会場食の運営主体をめぐる行き違い、SNSでの発信スタイルの違い、大会全体への不信感、そして公人による強い言葉という複数の要因が重なり、国際的な話題へと発展しました。タイ代表チームからは、知事発言への公式な反応は本記事の時点では確認されていません。
現場で活躍する選手と運営側の立場と責任の所在が曖昧なまま大きな報道となってしまった今回のケース。誰もが手軽にSNSに投稿できる反面、投稿者の意図とは別の感情的なポストやコメントがあふれかえる時代ですが、我々も冷静になってみる必要があります。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 大会組織委員会は本当に食事を提供していなかったのですか?
組織委員会は9月22日の公式声明で、問題となったテックボール会場の昼食は組織委員会が提供したものではなく、競技団体側が独自に手配したものだと説明しています。テックボールは大会直前に追加された競技で、運営体制が他の競技と異なっていたとされています。
Q2. タイ代表は本当に食事不足を訴えていたのですか?
投稿された動画は、会場の昼食の量をコメントしたものであり、正式な抗議文という性質のものではなかったとみられます。同日中にチーム側は「選手には追加の食事を準備した」と補足しており、深刻な食事不足を主張し続けていたわけではないようです。
Q3. 愛知県知事は「タイ代表全員に来てほしくなかった」と発言したのですか?
日本語報道での発言は「こういう人には来てほしくなかった」であり、動画を投稿した関係者を指しているとされています。一方、タイ語メディアの一部では、より広くタイ代表選手への発言として報じられており、受け止め方に違いが見られます。
Q4. この騒動はタイ代表の競技成績に影響しましたか?
いいえ。タイ代表はテックボール5種目のうち3種目で金メダルを獲得しており、競技面では大きな成功を収めています。騒動は競技結果とは切り離して報じられています。
Q5. タイ代表チームや関係者からの公式な反応はありますか?
本記事の時点では、知事の発言に対するタイ代表チームや関係者からの公式な反応は確認されていません。今後、追加の説明や反応が出る可能性があります。
出典・参考サイト
- Khaosod(タイ)
- The Thaiger
- 毎日新聞
- 日刊スポーツ
- 愛知・名古屋2026アジア競技大会組織委員会(AINAGOC)公式サイト
- アジア・オリンピック評議会(OCA)公式サイト
著者プロフィール

Keita Satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
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