大型クラブを摘発 過去の処分後も無許可営業 複数の不法行為と警察関与の疑いも捜査 バンコク ホイクワン
2026年8月29日未明、タイ内務省の特殊部隊「DOPA S.W.A.T.」が、バンコク・ホイクワン区にある大型ナイトクラブを摘発しました。この店舗は2025年8月にも一度摘発を受けていましたが、その後も無許可のまま営業を続けていたとされています。
今回の摘発では、無許可営業に加え、薬物の発見、外国人の不法就労、資本構造をめぐる疑いなど、複数の問題が同時に浮上しています。あわせて、警察官の関与を示唆する供述もあり、警察内部への調査も始まっています。本記事では、報道されている事実関係と、まだ確認されていないことを整理してお伝えします。
摘発の概要
報道によると、摘発は2026年8月29日午前1時30分ごろに行われました。指揮を執ったのは内務省の副大臣2人で、内務省地方行政局の特殊部隊「DOPA S.W.A.T.」と警察の合同部隊が現場に入りました。
- 摘発日時:2026年8月29日午前1時30分ごろ
- 場所:バンコク・ホイクワン区のソイ・プラチャーウティット11
- 店内にいた客:132人(タイ人65人、中国人67人)
- 従業員:67人(タイ人62人、ベトナム人5人)
- 過去の摘発歴:2025年8月16日にも一度摘発済み
報道によると、当局は管轄から3km足らずの場所で無許可のまま営業が続き、深夜から明け方(午前3〜4時ごろ)まで営業しているとの住民通報を受け、事前に潜入調査を行った上で摘発に踏み切ったとされています。
なぜ1年前の摘発後も営業を続けられたのか
今回の事件で特に問題視されているのが、2025年8月に一度摘発され、営業停止の手続きがバンコク都側へ送られていたにもかかわらず、約1年後の2026年8月時点でも通常営業を続けていたという点です。
報道によると、店舗のデータベース上には娯楽施設としての正式な営業許可が確認できず、7月下旬の事前調査では午前2時を過ぎても新規客を受け入れ、午前4時ごろまで営業していたとされています。内務省の担当者は「一度閉鎖対象になった店がなぜ再び営業しているのか」を問題視しているとのことです。
1、薬物・不法就労
報道によると、摘発時に客・従業員への尿検査が実施され、3人から薬物の陽性反応が確認されました(タイ人男性1人、香港人女性1人、香港人男性1人)。店内のテーブルや個室、トイレなどからは、ケタミンとみられる薬物や電子タバコが押収されたとされています。
ただし、店舗側が組織的に薬物を販売していたと確定したわけではありません。現時点で確認できているのは、店内から薬物が見つかり、利用客の一部から陽性反応が出たという事実までであり、薬物の入手経路や関与者の特定は今後の捜査課題とされています。
あわせて、外国人スタッフの一部が就労許可の範囲を超えて働いていた疑いがあるとされ、不法就労の実態についても捜査が進められています。
2、資本構造をめぐる疑い
報道によると、事前調査の時点で利用客の約7割が中国人だったとされ、店内では中国で広く使われる決済サービスが導入されていました。決済の受取先の一つとして、ある法人名が確認されており、当局はこの法人の実質的な出資者や利益の受け取り先を調べています。
当局は、タイ人を名義上の株主とし、実質的な経営権を外国人が握る、いわゆる「ノミニー」構造になっている可能性を視野に捜査を進めているとされています。ただし、これは現時点で確定した事実ではなく、資金の流れなどを含めて調査中の段階です。
3、警察関与の疑い
報道によると、摘発時に店のオーナーを名乗った人物が、ある警察官について、出資を伴わない名義上の株式を持たせ、取り締まり逃れやトラブル解決の口利きを依頼していた、という趣旨の説明をしたとされています。
ここは非常に重要な注意点です。この情報は、あくまで摘発された店側の人物が話した内容であり、警察官が実際に出資していた事実や、営業を庇護していた事実は、本記事執筆時点では確認されていません。当局は、この供述に登場した人物が誰なのか、実際に警察官であるのか、店との関係があるのかを調べるよう指示しているとされています。
地元警察署への内部調査
報道によると、バンコク首都警察は、無許可の大型クラブが長期間営業していたにもかかわらず、地元警察が適切に対応していなかったのではないかとして、管轄の警察署長ら関係幹部に対する事実調査委員会の設置を命じました。調査結果は一定期間内にまとめるよう指示されているとされています。
これは、警察官個人の関与疑惑とは別に、組織としての監督責任を確認するための調査です。現時点では、警察官による庇護や賄賂の授受があったかどうかは確認されていません。
行政処分の見通し
報道によると、内務省地方行政局は、バンコク都の判断を待たずに、当該店舗に対して直ちに5年間の閉鎖・営業停止命令を出す方針を固めているとされています。内務省は、同様の無許可営業や外国人不法就労、名義貸しを行っている店舗が他にも存在するとみて、取り締まりを継続する方針を示しています。
タイの大手メディアの報道をもとにまとめています。
まとめ
今回の事案は、バンコク・ホイクワン区の大型クラブが、1年前の摘発後も無許可で営業を続けていたことが発覚し、内務省の特殊部隊が再摘発したというものです。薬物の発見、外国人の不法就労、資本構造をめぐる疑いに加え、警察官の関与を示唆する供述もあり、地元警察署への内部調査も始まっています。
ただし、ノミニー(名義貸し)構造や警察関与の疑いについては、いずれも捜査段階の情報であり、確定した事実ではありません。今後、5年間の閉鎖処分の正式決定や、警察署への調査結果などが注目されます。
「今回のような大型施設の摘発は、単なる個別店舗の問題にとどまらず、行政・警察の監督体制そのものが問われる事案です。今後、警察署への調査結果や資本構造の解明がどのように進むか、続報を注視したいと思います。」また別の話になりますが、ラップラオの火災事故の影響でのバンコクすべてのBARやクラブの検査を先月から全店舗行うというニュースを目にしましたが、その際に無許可営業が発覚しなかったのか、疑問に思うところであります。
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よくある質問(FAQ)
Q1. なぜ1年前に摘発された店が営業を続けられたのですか?
営業停止の手続きがバンコク都側へ送られていたとされていますが、実際にはその後も営業が続いていました。その経緯や、地元警察が適切に対応していたかどうかは、現在調査が進められている段階です。
Q2. 警察官が店の経営に関与していたのですか?
確定していません。摘発された店側の人物がそのような趣旨の供述をしたと報じられていますが、警察官の実際の関与は本記事執筆時点で確認されておらず、今後の調査対象となっています。
Q3. 店は中国人が経営していたのですか?
確定していません。利用客の多くが中国人だったこと、中国系決済サービスが使われていたことなどから、当局はタイ人を名義上の株主とするノミニー構造の可能性を調べていますが、実質的な経営者が誰であるかは捜査中です。
Q4. 店は閉鎖されるのですか?
内務省地方行政局は、5年間の閉鎖・営業停止命令を出す方針を固めているとされていますが、本記事執筆時点では正式な処分決定には至っていません。
出典・参考サイト
- ASEAN NOW:摘発の経緯・営業実態・外国人スタッフに関する報道記事
- Naewna:警察官の関与疑惑・地元警察署への調査に関する報道記事
- Thai Post:過去の摘発歴および行政処分方針に関する報道記事
- Nation TV:資本構造・ノミニー疑惑に関する報道記事
- Thai Rath:摘発時の客数・薬物検査結果に関する報道記事

Keita Satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
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