バンコクの高級住宅で「ゾンビタバコ」販売拠点を摘発 中国人2人とタイ人女性を逮捕
バンコク東部カンナーヤーオ区の高級住宅が、「ゾンビタバコ」と呼ばれる違法電子タバコの保管・販売拠点として使われていたとして、警察が摘発しました。中国人男性2人とタイ人女性1人が逮捕されています。
「ゾンビタバコ」は、タイ語で「ゾンビ・ベイプ」「K-Pod」などと呼ばれる、麻酔薬エトミデートを混ぜた違法な電子タバコの通称です。本記事では、報道されている事実関係を整理してお伝えします。
摘発の概要
報道によると、実際の逮捕は2026年9月1日午後2時50分ごろで、警察が事件の詳細を発表・報道されたのは9月3日とされています。
- 逮捕日:2026年9月1日午後2時50分ごろ
- 発表・報道日:2026年9月3日
- 場所:バンコク・カンナーヤーオ区の住宅
- 逮捕者:タイ人女性(27歳)、中国人男性2人(37歳・34歳)
- 押収品の推定総額:約250万バーツ
報道によると、警察191(パトロール・特殊作戦部隊)は、この住宅から「ゾンビタバコ」がオンライン販売されているとの情報を入手し、証拠を集めたうえでミンブリー刑事裁判所から捜索令状を取得したとされています。
LINE注文からの囮捜査
報道によると、警察の捜査協力者が販売用のLINEアカウントへ連絡し、エトミデート入りとされる「ゾンビタバコ」を1個1,600バーツで注文しました。販売側からQRコードが送られ、協力者が代金を送金したとされています。
その後、タイ人女性が住宅から白い小包を持って出てきて、配車アプリで呼んだバイク便のライダーへ渡そうとしたところで、警察が身柄を確保したとされています。小包を確認すると、注文した商品は、ピンクと白の「口紅の箱」の中に隠して梱包されていたとのことです。
つまり警察は、住宅に電子タバコが置かれていたことだけでなく、LINEでの注文からQR決済、梱包、配達までの販売の流れを、実際の囮購入で確認したうえで家宅捜索に踏み切ったことになります。
住宅から約1,800点、総額約250万バーツを押収
報道によると、家宅捜索では次のような品が押収されました。
- エトミデート入りとされるポッド:839個
- 電子タバコ本体:988台
- エトミデート入りリキッド:17本
- 覚醒剤(アイス):約1.9グラム
- 警察が「Happy Water/メタンフェタミン」と説明する袋:3袋
- シーリング機、ビニール袋12パック、薬物使用器具など
ポッドと電子タバコ本体を合わせると約1,800点にのぼり、警察は押収品全体の価値を約250万バーツと説明しています。
なお、「Happy Water」は東南アジアの違法薬物報道で使われる俗称で、複数の向精神薬などを混ぜた液体・粉末を指す場合がありますが、今回押収された3袋の具体的な成分について、警察は「Happy Waterまたはメタンフェタミン」と説明しているとされています。
中国人男性1人から薬物反応
報道によると、住宅内では中国人男性2人が確認され、その近くには覚醒剤とみられる袋、陶器製のスプーン、使用器具が置かれていたとされています。3人はその後、薬物検査を受け、37歳の中国人男性から薬物反応が確認されたとされています。
34歳の中国人男性は有効なパスポートを所持していましたが、37歳の男性はパスポートを提示できず、不法滞在の容疑も追加されているとのことです。
「ゾンビタバコ」とは
今回押収された「ゾンビタバコ」に混ぜられていたエトミデート(Etomidate)は、本来、病院で麻酔導入などに使われる医薬品です。しかし違法市場では電子タバコのリキッドに混ぜられ、タイ語で「K-Pod」「ゾンビ・ベイプ」などと呼ばれて流通しています。
報道によると、タイの食品医薬品局(FDA)は、エトミデートを2025年7月27日から「向精神性物質カテゴリー2」として規制を厳格化しています。不適切に吸引すると、意識消失、呼吸停止、最悪の場合は死亡につながる危険があるとされています。
FDAによると、エトミデート入り「ゾンビタバコ」の無許可所持・販売については、関係法令上最長7年の禁錮および最大70万バーツの罰金、商業目的の場合は1〜15年の禁錮と10万〜150万バーツの罰金が科される可能性があるとされています。
3人にかけられている容疑
報道によると、3人には次のような容疑が通知されているとされています。
- タイ人女性:電子タバコ販売禁止命令違反、関税法違反、「Happy Water/メタンフェタミン」の共同所持
- 中国人男性(37歳):上記と同様の容疑に加え、不法滞在の容疑
- 中国人男性(34歳):電子タバコ販売禁止命令違反、関税法違反、覚醒剤の共同所持
報道によると、3人はいずれも逮捕時の段階では容疑を認めたとされ、証拠品とともにバンチャン警察署へ送られたとのことです。ただし、これはあくまで逮捕・捜査段階であり、裁判で刑事責任が確定したという意味ではありません。
なお、今回の初期容疑には、エトミデート関連の規制に基づく罪が個別に明示されていません。今後追加される可能性はありますが、本記事執筆時点で追加起訴されたと断定することはできません。
未確認情報
報道によると、住宅には約1,000台の電子タバコ本体、大量のポッド、リキッド、シーリング機、梱包資材があり、LINEでの注文からQR決済、バイク便での配送まで、組織的な販売の流れが確認されています。個人使用のために置いていた規模とは考えにくく、オンライン販売・配送の拠点として捜査が進められているとみられます。
一方で、商品の仕入れ先、中国人2人の具体的な役割、住宅内で製造・充填も行っていたのか、顧客が何人いたのか、他にも倉庫や販売拠点があるのかといった点は、本記事執筆時点では公表されていません。
日本人旅行者への注意点
タイでは、電子タバコそのものの輸入が禁止されています。2014年の商務省告示と2017年関税法に基づく輸入禁止品として、現在も取り締まりが続けられています。
今回の「ゾンビタバコ」は、通常の違法電子タバコに加え、エトミデートという規制薬物まで含むため、二重に深刻な事案とされています。街中で電子タバコを吸っている人を見かけることがあっても、「使っている人がいる=合法」ではない点に注意が必要です。
- 電子タバコをタイへ持ち込まない(空港での没収・罰金の対象)
- タイ国内で電子タバコを所持・使用しない
- SNSやLINE経由で電子タバコ・リキッドを購入しない
- 出所不明の電子タバコ・リキッドは、成分が偽装されている可能性がある
タイの大手メディアの報道をもとにまとめています。
まとめ
今回の事案は、バンコク・カンナーヤーオ区の高級住宅が「ゾンビタバコ」の保管・販売拠点として使われていたとして、警察が摘発したというものです。中国人男性2人とタイ人女性1人が逮捕され、約1,800点、総額約250万バーツ相当の商品が押収されました。
「ゾンビタバコ」には麻酔薬エトミデートが混ぜられており、意識消失や呼吸停止など重篤な健康被害につながる危険があります。仕入れ先や販売ネットワークの全容など、まだ明らかになっていない点も多く、今後の捜査の進展が注目されます。
日本国内でも、プロ野球選手が電子タバコに関連する書類送検を受けるなど、同様の物質が社会問題として報じられるようになっています。タイでも当然違法です。興味本位で購入や使用は絶対におやめください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 「ゾンビタバコ」とは何ですか?
麻酔薬エトミデートを混ぜた違法な電子タバコの通称です。タイ語では「ゾンビ・ベイプ」「K-Pod」などと呼ばれています。不適切に吸引すると、意識消失や呼吸停止など重篤な症状につながる危険があるとされています。
Q2. 逮捕された3人は薬物を使用していたのですか?
薬物検査で陽性反応が確認されたのは、37歳の中国人男性1人です。他の2人について、薬物使用が確認されたという情報は本記事執筆時点ではありません。
Q3. なぜ「口紅の箱」に隠されていたのですか?
配送時の摘発を逃れるための偽装とみられていますが、警察がこの点について公式に理由を説明した情報は、本記事執筆時点では確認されていません。
Q4. 一般的な電子タバコもタイでは違法なのですか?
はい。タイでは通常の電子タバコも輸入・所持・使用が禁止されています。今回の「ゾンビタバコ」は、それに加えて規制薬物のエトミデートを含む、より深刻な事案です。
出典・参考サイト
- Khaosod:逮捕の経緯・容疑内容に関する報道記事
- FM91:逮捕日時・警察発表に関する報道記事
- タイ食品医薬品局(FDA):エトミデート規制に関する公式発表
- タイ政府広報:電子タバコ・エトミデート取り締まりに関する公式発表

Keita Satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
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