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チェンマイで中国人撮影クルー逮捕 YouTubeロケも無許可なら摘発対象か

チェンマイの山岳地帯でタイ警察に追われる撮影機材を持った人物のイメージ
keita satou

2026年5月、チェンマイ県ハーンドン郡で中国人の映像制作クルーが相次いで摘発されました。5月8日には縦型ショートドラマを撮影していた中国人8人が逮捕。5月19日には別の中国映画撮影クルーのうち3人が逮捕されています。

報道によると、いずれも観光ビザで入国し、正規の撮影許可や就労許可を取得せずに商業撮影を行っていたことが問題視されています。この問題は中国人クルーだけの話ではありません。YouTubeやInstagram向けの動画制作、タイ情報を発信するVlog、企業PR動画など、日本人クリエイターにも直接関わる可能性があります。

何が起きたのか
チェンマイで相次ぐ撮影クルー摘発

5月8日:縦型ドラマ撮影クルー8人を逮捕

報道によると、チェンマイ県ハーンドン郡の民家を観光警察が急襲したところ、中国人プロデューサー・監督・俳優など8人がスマホ向け縦型ショートドラマの撮影中でした。全員が観光ビザでの入国で、撮影許可証・就労許可証ともに未取得のゲリラ撮影だったとされています。取り調べでプロデューサーは「縦型シリーズのプロデューサー兼俳優で、チェンマイは観光地として有名で中国人観光客に知られているため選んだ」と供述したと伝えられています。

5月19日:映画撮影クルー3人を逮捕

同じくハーンドン郡ナムプレー地区で、別の中国映画撮影クルーに対して警察が立ち入り調査を行い、中国人男性3人が労働許可証なしで作業していた疑いで逮捕されました。発端は夜間撮影による騒音について近隣住民から警察に苦情が入ったことです。報道によると今回の撮影自体は正式な許可を取得済みでしたが、現場スタッフ個人の就労許可が未取得だったことが問題となりました。「撮影許可あり」と「就労許可あり」は別物であり、どちらが欠けても違法となる点が重要です。

タイで撮影するための正規ルール

外国の制作チームがタイで映画・ドラマ・CM・YouTube動画などを撮影する場合、原則として以下の手続きが必要です。

  • タイ政府の映画・ビデオ委員会(Film and Video Committee)への事前申請と撮影許可の取得
  • 脚本・企画内容の事前審査
  • 撮影当日は政府が派遣する監督官(フィルムオフィサー)の立ち会い
  • 外国人スタッフ全員分の就労許可証(ワークパーミット)の取得
  • スタッフ全員の氏名・パスポート番号・役職・入国日の提出

報道によると、短期撮影向けのワンストップサービスでは撮影許可・労働許可・国立公園や歴史公園での撮影許可を一括申請できる窓口も用意されています。正規ルートさえ踏めばタイは外国人撮影チームを積極的に誘致しており、問題視されているのはあくまで「無許可・脱法的な撮影」です。

YouTubeやVlogは大丈夫?
日本人クリエイターへの影響

「個人で旅行しながらYouTubeを撮っているだけ」という感覚でいると、思わぬリスクがあります。タイの外国人就労法では、「仕事」を「賃金や便益を受けるかどうかにかかわらず、知識や労力を提供すること」と広く定義しています。つまり報酬の有無や雇用契約の有無にかかわらず、商業目的の撮影・制作行為は「就労」とみなされる可能性があります。

ビザ・ワークパミットがない場合のクリエイター活動に注意
(NGの可能性大)

  • 観光ビザ・ビザ免除で入国し、YouTube広告収益が発生するタイ情報Vlogを撮影・編集・投稿している
  • 企業から依頼を受けてタイでのPR動画・商品レビュー動画を撮影している
  • カメラマン・ディレクターとして現地の撮影クルーに参加し報酬を受けている
  • 大型の撮影機材(ジンバル・ドローン・照明機材など)を持ち込んでロケを行っている
  • タイ情報を発信するブログやSNSアカウントの運営を「仕事」として行っている

原則的にビザとワークパーミット(事業内容に添う)の両方が必要と理解してください。

個人の旅行記録と商業撮影の境界線

スマホで観光地を撮影してSNSに投稿する程度は問題になりにくいとされています。一方で、台本・企画書のある商業撮影、有料配信や広告収入を前提とした映像制作、クルーを組んで機材を持ち込む本格的なロケは「商業撮影」とみなされるリスクがあります。明確な線引きがグレーなだけに、規模感・収益の有無・機材の大きさが判断の目安になります。

タイの労働法上、「仕事」は広く解釈され得るため、商業目的の撮影・制作にリスクがありますので、現場の担当者や管理責任者の裁量よって判断が異なる場合がありますが、完全な白というわけではありません。

ビザの種類と就労許可の関係

観光ビザ・ビザ免除(ノービザ)

日本人はノービザで60日間タイに滞在できますが、観光ビザ・ビザ免除での入国中は就労が一切禁止されています。撮影・編集・投稿・商談・打ち合わせなど、報酬の有無にかかわらず「労働行為」と判断されれば不法就労となります。罰金(最大10万バーツ)・強制送還・再入国禁止という重いペナルティが科される可能性があります。

DTV(デスティネーション・タイランド・ビザ)

2024年7月から導入されたDTVは、デジタルノマドやリモートワーカー向けのビザで、5年間有効・1回の入国につき最長180日滞在できます。海外の雇用主・クライアントから報酬を受けるリモートワーク(タイ国内の企業への就労は除く)が認められており、タイ国外向けのYouTubeチャンネル運営やフリーランスの映像制作などは対応できる可能性があります。ただし、タイ国内の企業や個人から報酬を受ける仕事は禁止です。

就労ビザ(ノンイミグラントBビザ)+ワークパーミット

タイ国内の企業や現地クライアントから報酬を受けて撮影・制作を行う場合は、就労ビザとワークパーミットの両方が必要です。ワークパーミットの取得には、雇用主となる会社の払込資本金が外国人1人につき最低200万バーツ必要となるなど、条件が複数あります。ビザ(入国許可)とワークパーミット(就労許可)は別物で、ビザだけでは就労できない点に注意が必要です。

LTRビザ(長期滞在者ビザ)

2022年に導入されたLTRビザは、富裕層・投資家・高度人材向けの長期滞在ビザです。収入条件・資産条件が厳しく、一般的なYouTuberやフリーランスクリエイターが取得できるものではありません。またこちらのビザもタイでの就労を許可するものではありません。

タイ情報発信ノマドへの注意点

「タイに住みながらタイ情報をYouTubeやブログで発信する」というスタイルは日本人クリエイターに人気ですが、ビザと就労許可の観点ではリスクが潜んでいます。2026年2月にはクラビ県のドラマ撮影現場で外国人エキストラ46人が一斉摘発される事件も発生しており、タイ当局は観光地での無許可ビジネスへの監視を強めています。

  • 観光ビザ・ビザ免除でタイ情報を発信するYouTubeやブログを「仕事」として運営している場合、不法就労とみなされるリスクがあります。
  • DTVビザはタイ国外向けのリモートワークに対応していますが、タイ国内の取材・撮影を商業目的で行う場合は解釈がグレーになります。
  • 2026年現在、タイ当局はビザランや観光ビザを悪用した不法就労への監視を強化しており、「バレなければ大丈夫」という考えは非常に危険です。
  • 不安がある場合はタイの専門弁護士に相談し、自分の活動内容に合ったビザ・許可を取得することを強く推奨します。

摘発された場合のペナルティ

  • 無許可就労:
    罰金5,000〜10万バーツ・強制送還・2年以上のタイ就労許可申請禁止
  • 無許可撮影:
    映画・ビデオ法に基づく行政罰(数万〜数十万バーツ規模の罰金)

ビザ違反・オーバーステイ:罰金・入国拒否・ブラックリスト登録や一度強制送還になると、タイへの再入国が長期間禁止される可能性があります

旅行者・在住者へのポイント

  • チェンマイ・プーケット・パタヤなど観光地では外国人の無許可撮影への監視が強まっています。撮影機材を大量に持ち込んでのロケには注意が必要です。
  • 旅行のスナップ撮影やSNSへの個人投稿レベルは問題になりにくいですが、商業目的・収益目的の撮影は別のルールが適用されます。
  • 観光地のホテル・レストランやツアー会社が依頼するPR撮影に参加する際も、報酬が発生する場合は就労許可が必要になる場合があります。

タイの大手メディアおよび現地メディアの報道をもとにまとめています。

まとめ

チェンマイでの中国人撮影クルー摘発が示すのは、「観光ビザでの商業撮影はアウト」というタイ当局の明確な姿勢です。

撮影許可と就労許可は別物であり、どちらが欠けても違法となります。
YouTube・Vlog・企業PR動画・ドラマ・映画など、収益が発生するあらゆる映像制作活動はビザと就労許可の見直しが必要です。

タイは正規ルートで申請すれば外国人の撮影を歓迎しており、問題なのは手続きを省略した脱法的な行為です。

2026年現在、タイ全土で外国人の不法就労への監視が強まっているなか、「バレなければ大丈夫」という感覚は通用しなくなっています。

またボランティアやギャラの発生しないエキストラでも就労と判断されたケースもありますので、くれぐれもご注意ください。

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よくある質問(FAQ)

観光ビザでYouTube撮影をしても大丈夫ですか?

広告収益が発生する商業目的のYouTube撮影は「就労行為」とみなされるリスクがあります。観光ビザ・ビザ免除での入国中は就労が禁止されており、不法就労と判断された場合は罰金・強制送還の対象となる可能性があります。

DTVビザがあればタイでYouTube活動はできますか?

DTVビザはタイ国外向けのリモートワークを認めています。タイ国外のプラットフォーム(YouTube等)から収益を得る活動であれば対応できる可能性がありますが、タイ国内企業からの依頼・報酬が発生する撮影はグレーになります。詳細はタイの専門弁護士に確認することを推奨します。

撮影許可を取れば就労許可は不要ですか?

いいえ、撮影許可と就労許可は別物です。今回の事件でも「撮影許可は取得済みだが、スタッフ個人の就労許可がなかった」ことが問題となりました。撮影許可があっても、現場で働く外国人スタッフ全員に就労許可が必要です。

個人のVlogや旅行記録の撮影は問題ありませんか?

観光中のスマホ撮影や個人的なSNS投稿は問題になりにくいとされています。ただし、広告収益・企業案件・有料配信など商業目的が発生する場合は「商業撮影」とみなされるリスクがあります。規模・収益・機材の大きさが判断の目安です。

摘発された場合どうなりますか?

無許可就労の場合、罰金(最大10万バーツ)・強制送還・2年以上のタイ就労許可申請禁止などが科される可能性があります。一度強制送還になるとタイへの再入国が長期間禁止される場合があります。

正規ルートでタイ撮影許可を取るにはどうすればよいですか?

タイ政府の映画・ビデオ委員会(Film and Video Committee)への事前申請が必要です。短期撮影向けのワンストップサービスでは撮影許可・労働許可・国立公園での撮影許可を一括申請できます。タイ国内の専門コーディネーターや弁護士に相談することを推奨します。

出典・参考サイト

  • Amarin TV「เชียงใหม่อีกแล้ว! ชาวบ้านร้องจับ กองถ่ายภาพยนตร์จีนกองใหญ่」
  • ASEANNOW「Chinese Film Crew Workers Arrested in Chiang Mai」
  • Thai PBS「ตร.ท่องเที่ยวเชียงใหม่บุกจับกองถ่าย “ซีรีส์จีน” ไม่ขออนุญาตถ่ายทำ」
  • Nation Thailand「Chinese film crew arrested in Chiang Mai」
  • The Thaiger「8 Chinese crew arrested for illegally filming series in Chiang Mai」
  • Royal Thai Embassy London「Filming in Thailand」

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著者:Keita Satou
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。

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Keita Satou
タイ在住ライター
タイ在住ライター バンコク在住10年以上。旅行ライセンスの持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォロワー1700人)や複数のSNS(総フォロワー7万人以上)を運営する。日本のテレビ・メディア取材経験多数あり。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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