タイ セントラル・レストラングループが純利益18%増 かつや、大戸屋等は好調も撤退する日本食チェーンも
セントラル・グループ傘下の外食事業会社「セントラル・レストランツ・グループ(CRG)」を含む、CENTEL(セントラル・プラザ・ホテル)の食品事業が、2026年第2四半期(4〜6月)に純利益2億2,800万バーツ、前年同期比18%増という増益を記録しました。
日本食チェーンでは、かつやと大戸屋の既存店売上が好調だった一方、天丼てんやとチャブトン・ラーメンはすでにタイから撤退しています。今回の決算内容を、正確な数字とともに整理します。
2026年第2四半期の食品事業、決算の数字

今回の数字は、CENTEL(Central Plaza Hotel PCL)が2026年8月10日に公表した第2四半期の決算説明資料(MD&A)で確認できます。CRGはCENTEL傘下の外食事業会社であり、今回の数字は正確には「CRGを中心とするCENTELの食品事業」の業績です。シンカンゼン・スシなどの共同事業(JV)ブランドも含まれています。
- 売上高:33億1,400万バーツ(前年同期比+2%)
- 粗利益:18億4,500万バーツ(+4%)、粗利益率56%(前年54%)
- EBITDA:7億500万バーツ(+4%)
- EBIT:2億9,600万バーツ(+17%)
- 純利益:2億2,800万バーツ(+18%)、純利益率7%(前年6%)
注目すべきなのは、売上高がわずか2%増にとどまる一方、純利益は18%まで伸びており、収益性が明確に改善している点です。なお、前四半期(2026年第1四半期)との比較では、純利益は2億3,200万バーツから2億2,800万バーツへ約2%減となっています。そのため、「前年同期比では大幅増益、前四半期比ではほぼ横ばい」というのが正確な表現です。
なぜ増益になったのか
決算資料が挙げている主な増益要因は、次の3点です。
- 共同事業(JV)からの利益取り込み増加
- 採算の悪い店舗の閉鎖
- 継続的なコスト管理効率の改善
既存店売上成長率(SSS)は、共同事業ブランドなどを除くと前年同期比で0%でした。つまり、売上が大きく伸びたというより、前年のマイナス成長から持ち直し、既存店の落ち込みを止めた形です。その中で、かつやと大戸屋の既存店売上・総売上が特に良好だったと決算資料で説明されています。
不採算店舗の整理では、チャブトン・ラーメンが前年同期比で純減10店舗となっています。単純に店舗数を増やすのではなく、収益性の低い店舗を閉じて全体の利益率を改善する戦略が取られています。
これらの結果、CRGは「店舗を大量に増やせばいい」という戦略ではなく、利益を出せない店舗を整理しながら、伸びているブランドへ投資する方向を強めていると考えられます。
かつや・大戸屋が特に好調
CENTELは第2四半期について、既存店売上(Same Store Sales)が特に好調だったブランドとして、かつやと大戸屋の2ブランドを名指ししています。さらに、新店を含む総システム売上(Total System Sales)が好調だったブランドとして、かつや、大戸屋に加え、ミスタードーナツ、キアニも挙げられています。
ただし、今回の増益全体の直接要因として会社が挙げているのは、あくまで前述の「JV利益増、不採算店閉鎖、コスト管理改善」の3点です。「かつや・大戸屋の好調が増益を牽引した」と単純に言い切るのは、決算資料の記載範囲を超えた解釈になるため、正確には「既存店売上が特に好調だった」という表現が適切です。
店舗数で見る日本食ブランドの動き
2026年6月末時点で、CRG・JVを合わせた店舗数は1,510店舗です。前年同期の1,412店舗から98店舗増、2026年第1四半期末の1,488店舗からも22店舗増えています。ただし、この増加の一部は、2026年第2四半期からラッキー・スキの55店舗を集計に加えた影響であり、すべてが既存ブランドの新規出店による増加ではありません。
主要な日本食ブランドの店舗数は次の通りです。
- シンカンゼン・スシ:100店舗(前年同期80店舗、+20店)
- 大戸屋:62店舗(前年同期56店舗、+6店)
- かつや:62店舗(前年同期52店舗、+10店)
- ペッパーランチ:55店舗(前年同期52店舗、+3店)
- チャブトン・ラーメン:前年同期比で純減10店舗(2026年第2四半期末の正確な店舗数は非開示)
- 吉野家、天丼てんや、ラーメン花月嵐非公開
吉野家、天丼てんや、ラーメン花月嵐については、決算資料のブランド別表では「その他」に含まれており、個別の店舗数は開示されていません。
なお、シンカンゼン・スシは名前から日本企業のチェーンと思われがちですが、実際はタイで生まれた寿司ブランドです。CRGは2022年、シンカンゼン・スシを運営するThe Food Selection Groupへ5億2,000万バーツを投資し、51%の株式を取得しています。同グループには、シンカンゼン・スシのほか、Katsu Midori Sushi(活美登利)、NAMA Japanese and Seafood Buffet、Nak-La Mookataなども含まれますが、すべてがCRGの直営ブランドとして店舗数に含まれているわけではなく、共同事業の範囲や決算上の扱いが異なります。
大戸屋は年間売上10億バーツを突破
CENTELは2025年の大戸屋について、年間売上10億バーツを突破したことを主要な成果の一つとして挙げています。2026年の計画では、大戸屋の新規純増5〜10店舗、2026年の売上成長目標を6〜8%と設定しています。
さらに、プレミアムしゃぶしゃぶ・すき焼き業態の「Ootoya Oki」、大戸屋の新フォーマット「Ootoya Tokusen」という新業態も育てる方針です。Ootoya Okiは2025年9月、Central Pinklaoに1号店をオープンしています。
好調な一方、撤退した日本食チェーンも
ここが今回のニュースで重要なポイントです。大戸屋、かつや、シンカンゼン・スシなどが伸びる一方、次の2ブランドはすでにタイから撤退しています。
- 天丼てんや:2025年8月31日にタイでの営業を終了
- チャブトン・ラーメン:2026年6月14日を最後にタイでの営業を終了。タイ進出から約16年での撤退
Central Group公式サイトの日本・韓国料理カテゴリーには、現在もチャブトンや天丼てんやが掲載されていますが、これはサイト更新が実態に追いついていないためで、両ブランドとも実際にはすでにタイでの営業を終了しています。
したがって、今回のニュースを「タイで日本食人気が高まっている」とだけ理解するのは、やや単純化しすぎです。実際には、価格帯・ブランド力・業態がタイ市場に合った日本食チェーンへ消費が集中し、そうでないブランドは整理されているという見方が、決算内容に合っています。
2026年上半期で見ると好調さがより鮮明に
2026年1〜6月の累計では、食品事業の総収入は65億7,700万バーツ(前年同期比+1%)、EBITDAは14億1,600万バーツ(+10%)、純利益は4億6,000万バーツ(+32%)でした。売上高がわずか1%増にとどまる中、純利益は32%増と、店舗拡大だけでなく、利益を残せるブランドへ資本を集中する戦略が効いている様子がうかがえます。
親会社CENTEL全体では、上半期の売上高は129億4,300万バーツ、純利益は12億5,300万バーツ(前年同期比+32%)でした。外食事業の売上は65億7,700万バーツで、CENTEL全体の約51%を占めています。
バンコク在住日本人にとっての意味
今後、CRGが運営・展開する日本食ブランドの中でも、出店拡大が確認できるのはシンカンゼン・スシ、かつや、大戸屋、ペッパーランチです。商業施設や住宅地の近くで、これらのブランドをさらに見かける機会が増える可能性があります。
一方、チャブトン・ラーメンと天丼てんやはすでにタイから撤退しているため、「まだ営業している」という前提で探すと見つからない可能性があります。CRGは日本食ブランドを一括して拡大しているわけではなく、ブランドごとに出店拡大・既存店改善・不採算店閉鎖・価格や販促の見直しを使い分けている状況です。
タイの大手メディアおよび現地メディアの報道をもとにまとめています。
まとめ
CENTEL傘下の食品事業(CRGを中心とする)は、2026年第2四半期に純利益2億2,800万バーツ、前年同期比18%増を記録しました。増益の主因はJVからの利益増加、不採算店の閉鎖、コスト管理の改善であり、日本食ブランドの中ではかつやと大戸屋の既存店売上が特に好調でした。
一方で、天丼てんやとチャブトン・ラーメンはすでにタイから撤退しており、「日本食全体がタイで好調」と単純に理解するのではなく、ブランドごとに明暗が分かれている状況として捉えるのが正確です。
ちゃぶとんラーメンはバンコクで10年以上も前からある定番ラーメンチェーンでしたが、ここ最近のラーメン店の出店ラッシュに完全におされた形かもしれません。タイ人の日本料理を選ぶ際のチョイスも日本と同様になんでもあるファミレスや和食レストランタイプから徐々に専門店趣向に移行しています。タイでの日本食が人気低迷というよりはどこの大型施設でも日本料理店が一番多くのシェアを占めており、完全に成長期から成熟期に入った様相を呈しており、今後はより本物志向のタイ人が増えてくるのではないでしょうか?
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よくある質問(FAQ)
Q1. 純利益18%増の主な理由は、大戸屋やかつやが好調だったからですか?
それだけが理由ではありません。決算資料が挙げている主因は、共同事業からの利益増加、不採算店舗の閉鎖、コスト管理の改善の3点です。大戸屋・かつやの既存店売上が好調だったことは確認されていますが、これが増益全体を牽引したとまでは資料に明記されていません。
Q2. チャブトン・ラーメンや天丼てんやはまだ営業していますか?
いいえ、両ブランドとも現時点でタイでの営業を終了しています。天丼てんやは2025年8月31日、チャブトン・ラーメンは2026年6月14日を最後に撤退しました。公式サイトの一覧に名前が残っている場合がありますが、これは情報更新が実態に追いついていないためです。
Q3. シンカンゼン・スシは日本の企業が運営しているのですか?
いいえ、シンカンゼン・スシはタイで生まれた寿司ブランドです。CRGが2022年に運営会社へ出資し、51%の株式を取得した共同事業(JV)として展開されています。
出典・参考サイト
- CENTEL(Central Plaza Hotel PCL)2026年第2四半期 Financial Statements & MD&A

Keita Satou
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスの持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォロワー1900人)や複数のSNS(総フォロワー8万人以上)を運営する。日本のテレビ・メディア取材経験多数あり。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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