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「刑務所に行きたくない!」妻に叱られ買収金(500バーツ)を返還。タイで起きた異例の選挙買収騒動

「刑務所に行きたくない!」という赤い大きな文字が入り、500バーツ紙幣を両手で持つタイ人男性のイラスト。背後にはウドンタニの公共施設のような建物。(AI IMAGE)
keita satou

2026年2月8日に投開票が行われたタイの総選挙。その熱狂が冷めやらぬ中、タイ北部ウドンタニ県で、なんとも人間味あふれる、しかし非常に深刻な「自首劇」が話題を呼んでいます。

主人公は、43歳の男性「スアさん」。彼が選管に自首して差し出したのは、妻から借りたという500バーツ札1枚でした。

1. 事件の引き金は「妻の怒声」と「借金自首」

ウドンタニ県ノンハン郡に住むスアさんは、2月19日、意を決して県選挙管理委員会(EC)の事務所を訪れました。彼の手には、2月4日に特定の候補者の運動員から受け取ったという「投票の対価」500バーツがありました。

  • 使ってしまった後悔:スアさんは当初、受け取った500バーツをすぐに使ってしまいました。
  • 妻からの雷:そのことを妻に話すと、「不法な金を受け取ったら刑務所に入ることになる!すぐに返してきなさい!」と激しく叱責されたといいます。
  • 妻に借金して返還:夜も眠れぬほどの不安に襲われたスアさんは、すでに使ってしまった500バーツの代わりに、妻から500バーツを借りて選管へ届け出ました。

2. 背景にあるウドンタニ第5区の激しい買収疑惑

スアさんが自首を決意した背景には、彼が住むウドンタニ第5選挙区で起きている大規模な買収騒動があります。

  • SNSで動画が拡散:住民たちが列を作って500バーツを受け取っている動画がSNSで拡散され、全国的なニュースとなっていました。
  • 当局の本格調査:動画を撮影した住民への脅迫や訴訟も報じられる中、選管は該当候補者への「レッドカード(失格)」を視野に入れた調査を開始しています。

3. 正直者は救われる?「証人保護制度」の活用

タイの選挙法では、買収に応じた有権者も本来は罪に問われます。しかし、今回スアさんが選管から「証人」として受け入れられたのには理由があります。

  • 自首による免責:自ら名乗り出て捜査に協力した場合、罰則が免除され、証人として保護される規定があります。
  • 当局の呼びかけ:選管側も「500バーツを返して正直に話せば、罪には問わない」と、スアさんのような住民に自首を推奨しています。

まとめ

「妻が怖くて自首した」というエピソードはタイ国内で大きな反響を呼び、買収が横行する選挙戦の現状を皮肉る象徴的なニュースとなりました。スアさんは今後、妻への借金を返しつつ、選管の調査に協力していく予定です。

余談ですが、バンコクで働く従業員の方々が選挙で親に呼ばれて帰郷するというのはタイのあるあるですが、そもそも住民票制度がなくID管理の為に出生地で選挙を行うのと、こういった買収費用を両親が受け取っているためだというのを耳にしたことがあります。

バンコクで暮らす私たちにとっても、タイの政治が「現場」でどう動いているのかを知る上で、非常に興味深い出来事と言えるでしょう。


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タイムラインバンコク編集部keitasatouのアイコン

keita satou : バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとして活動。SNS等でタイのリアルな情報を発信中。

出典

  • Ch7HD News (2026/02/19)
  • NationTV22 (2026/02/18)
  • Amarin TV (2026/02/19)
  • Thai PBS News (2026/02/12)
about me
Keita Satou
Keita Satou
タイ在住ライター
タイ在住ライター バンコク在住10年以上。旅行ライセンスの持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォロワー1700人)や複数のSNS(総フォロワー7万人以上)を運営する。日本のテレビ・メディア取材経験多数あり。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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