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スリン県で11発の発砲 タイとカンボジアの関係が再び悪化のおそれ

タイとカンボジアの兵士が国境で対峙するイラスト 背景に両国の軍艦
keita satou

報道によると、2026年5月13日、タイ東北部スリン県カープチューン郡のチョンチョム国境検問所付近で、カンボジア兵によるとみられる発砲音が計11発確認されました。タイ陸軍は警戒態勢を強化しており、現在も状況を注視しています。

現時点では本格的な交戦や戦闘状態には至っていません。バンコクをはじめとする都市部の日常生活への直接的な影響は現時点では報告されていませんが、国境地帯やカンボジアへの陸路移動を予定している方は最新情報の確認が必要です。

何が起きたのか

報道によると、5月13日に2つの事案が発生しました。

事案①:午前9時ごろ(タイ側が警告射撃)

報道によると、カンボジア兵約10〜15人と外国人2人が国境の有刺鉄線付近に近づき、動画を撮影していたとされています。タイ側が口頭で警告しましたが効果がなかったため、安全措置として警告射撃を2発行いました。

事案②:午後6時40分ごろ(カンボジア側から発砲音)

報道によると、カンボジア側から小火器による発砲音が計11発確認されました。タイ側はこれを挑発と判断し、応射せず監視を継続しました。タイ陸軍は「組織的攻撃ではなく、規律の低い兵士による断続的な射撃と見られ、状況は統制されている」と評価しているとされています。

なお、カンボジア側は発砲を公式に否定しています。

タイ軍の対応

報道によると、タイ第2軍管区は国境の監視体制を24時間態勢に強化しています。タイ政府は、2025年12月のタイ・カンボジア合同国境委員会(GBC)で合意した配置線を厳守しており、越境はしていないと説明しているとされています。問題解決は二国間の枠組みを通じたエスカレーション回避を前提に進める方針とされています。

海上でも対立が再燃 MOU44問題とは

報道によると、陸上の発砲事案と同時期に、海上でも両国の対立が深まっています。タイ内閣は2026年5月5日、タイ湾の海上権益・重複主張海域に関する2001年の覚書「MOU44」を正式に破棄する方針を決定し、カンボジア側に通知したとされています。

MOU44とは、タイとカンボジアがともに権利を主張するタイ湾の海域について協議するための枠組みです。この海域には天然ガス・石油などの資源が眠るとされており、単なる国境線の問題にとどまらない経済的な対立でもあります。

報道によると、カンボジア側はMOU44の一方的な破棄に強く反発しており、国連海洋法条約(UNCLOS)に基づく強制調停手続きへタイを引きずり込む構えを見せているとされています。

リアム海軍基地の動き

報道によると、カンボジアのリアム海軍基地では2026年4月、中国から供与されたType 056コルベット艦が到着し、2隻の導入計画のうち1隻目が配備されたとされています。この艦艇はトラート県コークートの向かい側に位置するリアム海軍基地に停泊しており、タイ海軍は「タイの海上主権を守る能力に直ちに影響するものではない」としつつ、動向を注視しているとされています。

旅行者・在住者へのポイント

バンコク、チェンマイ、プーケット、パタヤなど通常の観光地に直接影響する状況ではありません。ただし以下に該当する方は注意が必要です。

  • スリン県・シーサケート県・ウボンラチャタニー県など国境県へ行く方:チョンチョム国境付近は緊張が続いているため、不要不急の訪問は控えることをおすすめします。
  • 陸路でカンボジアへ移動する予定の方:最新の国境開閉状況を必ず事前に確認してください。
  • トラート県・コークート方面へ行く方:観光自体は通常通り行われていますが、周辺海域の情勢を意識しておくとよいでしょう。
  • 国境付近での撮影は避けてください:今回の事案でも「外国人が動画撮影していた」とタイ側が説明しており、軍事的に敏感な場所での撮影は重大なトラブルにつながる可能性があります。

タイの大手メディアおよび現地メディアの報道をもとにまとめています。

まとめ

タイ・カンボジア間では、陸上の発砲事案と海上のMOU44問題という2つの緊張が同時に進行しています。現時点では本格的な軍事衝突には至っていませんが、両国の関係悪化が懸念される状況です。

タイ政府は二国間の枠組みによるエスカレーション回避を強調していますが、カンボジア側が国際法廷を視野に入れた対応を示しており、今後の動向が注目されます。国境地帯やカンボジアへの移動を予定している方は、外務省海外安全情報や現地ツアー会社からの最新情報を随時確認してください。

タイとカンボジアの国境紛争は昨年の12月にアメリカや中国やマレーシアの仲介によって停戦協定に署名されていました。再び国境紛争が再燃することが無いように祈るばかりです。
また今現在もカンボジア国境付近の3県は外務省から渡航中止勧告が出ています。旅行者はあらためてご注意ください。

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よくある質問

Q. バンコクは安全ですか?

A. はい。今回の事案はスリン県の国境地帯での出来事であり、バンコクをはじめとする都市部への直接的な影響は現時点では報告されていません。通常通りの生活・観光ができます。

Q. カンボジアへの陸路移動は可能ですか?

A. 現時点で全面閉鎖の報告はありませんが、国境付近の緊張が続いているため、最新の開閉状況を必ず事前に確認することをおすすめします。外務省海外安全情報や現地の旅行会社に問い合わせるのが安全です。

Q. MOU44とは何ですか?

A. タイとカンボジアが共に権利を主張するタイ湾の海域について、協議するための2001年の覚書です。天然ガス・石油などの資源が眠るとされる海域が含まれており、タイが2026年5月に一方的に破棄を決定したことでカンボジア側が強く反発しています。

Q. コークート(コ・クッド)旅行は大丈夫ですか?

A. 報道によると、コークート島自体は完全にタイが実効支配しており、観光は通常通り行われています。ただし周辺海域でタイ・カンボジアの海上問題が続いているため、渡航前に最新情報を確認することをおすすめします。

Q. 国境付近で写真・動画を撮影してもよいですか?

A. 避けてください。今回の事案でもカンボジア兵と外国人が有刺鉄線付近で動画を撮影していたことが発端の一つとなっています。軍事的に敏感な場所での撮影は重大なトラブルにつながる可能性があります。

Q. 昨年停戦協定が署名されたのに、なぜまた緊張が高まっているのですか?

A. 報道によると、2025年12月にタイとカンボジアは停戦協定に署名しました。
しかし今回の発砲事案やMOU44の破棄問題が新たな緊張を生んでいます。
タイ軍は「規律の低い兵士による断続的な射撃」と評価しており、
組織的な攻撃ではないとしていますが、引き続き注意が必要な状況です。

Q. 外務省の渡航中止勧告が出ている3県はどこですか?

A. 現在、日本の外務省はカンボジア国境付近のスリン県・シーサケート県・
ウボンラチャタニー県に渡航中止勧告を発出しています。
これらの県への渡航は控え、海外旅行保険の適用外となる可能性もありますので
必ず外務省の最新情報をご確認ください。

出典・参考サイト

  • The Star(2026年5月14日配信)
  • Nation Thailand(2026年5月配信)
  • Thai PBS(2026年5月配信)
  • タイ政府広報局(PRD)・合同情報センター(JIC)発表
  • Khaosod(カオソッド・2026年4月配信)

著者プロフィール

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Keita Satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。

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about me
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Keita Satou
タイ在住ライター
タイ在住ライター バンコク在住10年以上。旅行ライセンスの持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォロワー1700人)や複数のSNS(総フォロワー7万人以上)を運営する。日本のテレビ・メディア取材経験多数あり。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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