タイで問題視される中国の閉鎖経済圏(ゼロドル・ビジネス)バンコク・シラチャなど複数で確認
タイ国内で、中国資本・中国人コミュニティが中心となって形成する「閉鎖的な経済圏(ゼロドル・ビジネス)」が問題視されています。バンコクのフワイクワーン地区に続き、チョンブリ県シラチャ郡のボウィン地区でも、地元タイ人の店舗が経営難に陥っているとタイのメディアが特集記事で報じました。今回はこの「ゼロドル・ビジネス」と呼ばれる現象の内容と、指摘されている影響についてまとめます。
ボウィン地区とはどんな場所か
ボウィン地区は、チョンブリ県シラチャ郡にあるタムボン(地区)です。シラチャとパタヤの中間に位置し、レムチャバン・アマタシティ・イースタンシーボードといった工業団地に近い、工業・住宅エリアとして知られています。バンコクからは東へ約120km、スワンナプーム空港からは車で1時間半前後の距離にあります。日本企業が多く進出するシラチャの内陸側にあたる地域です。
「ボウィン省」と呼ばれる背景
報道によると、近年ボウィン地区には多くの中国人が移住・定住しており、地元では中国の一つの省になぞらえて「ボウィン省(มณฑลบ่อวิน)」というあだ名で呼ばれるようになっているとされています。この呼び名自体が、地域住民が感じている変化の大きさを表しているといえます。
「ゼロドル・ビジネス」とは何か

「ゼロドル(จีนศูนย์เหรียญ)」という言葉は、もともと中国の旅行会社が自社系列の店舗だけに客を案内し、現地社会にお金が落ちない「ゼロドルツアー」を指す用語でした。今回の報道では、この言葉が「特定のコミュニティ内だけで完結する生活・経済圏」という意味で使われています。
報道によると、ボウィン地区では中国資本によるスーパーマーケット・飲食店・各種サービス業が、中国人の顧客を主な対象として次々に開業しているとされています。その結果、地元タイ人が経営する店舗が、この経済圏からほとんど関わりを持てない状態になっているという指摘です。
タイ人店舗への影響
報道によると、資金力に乏しい地元タイ人経営の店舗は、資本力のある中国系事業者との競争に苦戦し、閉鎖に追い込まれるケースが相次いでいるとされています。地元の商店主からは、客足が中国人向けの店舗に流れてしまい、経営が立ち行かなくなったという声が報じられています。
地元住民が感じている疎外感
報道によると、地域一帯に中国語の看板が増え、中国人向けの施設が集中していることから、古くから住んでいるタイ人住民の一部が「自分たちがまるで二級市民になったかのようだ」と感じているとされています。また、一部の行動がタイの社会的マナーやルールと合わず、地元住民との間で摩擦が生じているという指摘もあります。
これらはあくまで報道された住民の受け止め方であり、中国人コミュニティ全体を一括りに評価するものではない点に注意が必要です。同様の摩擦は、急速に外国人人口が増加した地域であれば、国籍を問わず一定程度起こり得る現象でもあります。
バンコクでも同様の問題が指摘されている
報道によると、タイ国内ではバンコクのフワイクワーン地区などで、既に「グレーな中国資本」やタイ人経済からの排除が社会問題として取り上げられてきました。今回の報道では、この現象がバンコクだけでなく、地方の工業地帯・ベッドタウンにも広がっていることを示す事例として位置づけられています。
報道では、実際に現地へ入り、「本当に地元で言われているような閉鎖経済圏が存在するのか」「タイ人はどのような影響を受けているのか」を現地取材した内容として、この特集を報じています。
在タイ日本人へのポイント
シラチャ・ボウィン周辺は、日本企業が多く進出する工業地帯に隣接するエリアでもあります。今回報じられているような経済圏の変化は、日本人が居住・勤務するエリアの商業環境にも間接的に影響する可能性があります。
- 普段利用している飲食店・商店の経営状況が変化する可能性があるため、地域の商業動向を把握しておくと安心
- 特定の国籍・コミュニティに対する一方的な決めつけや偏見は避け、報道されている事実関係を冷静に捉えることが重要
- 外資規制のある事業でノミニー(名義貸し)に関与することは、国籍を問わずタイの法律で禁じられている点に留意が必要
タイの大手メディアおよび現地メディアの報道をもとにまとめています。
まとめ
チョンブリ県シラチャ郡のボウィン地区で、中国資本・中国人コミュニティを中心とした「ゼロドル・ビジネス」と呼ばれる閉鎖的な経済圏が拡大し、地元タイ人の店舗経営に影響を与えていると報じられています。地域は「ボウィン省」と皮肉交じりに呼ばれるようになり、地元住民は経営難や疎外感を訴えているとされています。
同様の問題はバンコクのフワイクワーン地区でも指摘されており、外国資本の流入とタイ人経済との関係は、タイ国内で今後も議論が続くテーマとみられます。在住外国人としては、報道内容を偏見なく捉えつつ、自らの経済活動やビジネス慣行が法令に沿っているかを改めて確認することが大切です。
報道にはありませんが、シラチャエリアには日本人街もあり、またバンコクでもスクンビットエリアなどは日本人が多いエリアとして知られています。日系のビジネスがこのような指摘を受けたケースは私自身は、過去に記憶にありませんが、こういった調査の範囲が広がってくるとやがて日系のビジネスにも波及する可能性もあります。バンコクの人手不足や高齢化の影響は間違いなく出てきており、ミャンマー人やラオス人を雇用しているお店も少なくありません。
タイ政府としても先の名義貸し問題や外国人犯罪者の国外退去ルールを整備したあたりからも本気度が伺えるのではないでしょうか
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よくある質問
チョンブリ県シラチャ郡にあるタムボン(地区)で、シラチャとパタヤの中間に位置する工業・住宅エリアです。バンコクからは東へ約120km、スワンナプーム空港からは車で1時間半前後の距離にあります。
もともとは中国の旅行会社が自社系列の店舗だけに客を案内し、現地社会にお金が落ちない「ゼロドルツアー」を指す言葉でした。今回の報道では、特定のコミュニティ内だけで完結する生活・経済圏という意味で使われています。
近年ボウィン地区には多くの中国人が移住・定住しており、地元では中国の一つの省になぞらえて「ボウィン省」というあだ名で呼ばれるようになったと報じられています。
資金力に乏しい地元タイ人経営の店舗は、資本力のある中国系事業者との競争に苦戦し、閉鎖に追い込まれるケースが相次いでいると報じられています。
いいえ。バンコクのフワイクワーン地区で既に指摘されてきた問題が、チョンブリ県ボウィン地区のような地方の工業地帯・ベッドタウンにも広がっていることを示す事例として報じられています。
出典・参考サイト
- Thairath

Keita Satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
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