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タイでSNS広告を出す全員が本人確認必須に 日系企業・インフルエンサーが今すぐ知るべきこと 11月~

タイで2026年11月1日からSNS広告に本人確認が必須になることを伝えるアイキャッチ画像
Thaim Line Bangkok

タイで2026年11月1日から、SNSプラットフォームに広告費を支払う「有料広告」を
出稿する場合、広告主の本人確認(KYC)がプラットフォーム側に義務付けられます。
まず押さえておきたいのは、対象は有料広告に限られるという点です。無償の
PR投稿など、広告費を払わないオーガニック投稿は今回の制度の現状直接の対象では
ありません。

報道によると、この制度はタイ国内で表示されるFacebook・Instagram・TikTok・
YouTube・XなどのSNS有料広告を対象に、オンライン詐欺広告対策として
導入されるものです。日系企業・インフルエンサーにも直接関わる内容のため、
詳しく解説します。

なぜ導入されるのか:深刻化するオンライン詐欺広告

報道によると、タイでは2026年1〜4月だけでオンライン詐欺被害額が
約70億バーツ(1日平均約6,200万バーツ)に達したとされています。被害の
多くがFacebookなどのSNS上の有料広告経由だったとされ、対策強化の
背景になっています。

  • 著名人になりすました偽投資広告
  • 実在しない通販サイトの広告
  • 金融機関を装った偽広告
  • 偽物・規格外商品の広告
  • オンライン賭博の広告

従来は使い捨てアカウントや海外決済手段を使うことで、匿名のまま広告を
出稿できる抜け穴があったとされ、今回の制度はその身元追跡を可能にする
ことを目的としています。

制度の中身:誰が、何を確認されるのか

根拠となるのは、電子取引委員会告示「テクノロジー犯罪防止措置・
ソーシャルメディア事業者向け(第2号)」です。2026年5月5日に公布され、
公布から180日後の2026年11月1日から施行されます。

対象となるプラットフォーム・広告

  • Facebook・Instagram(Meta)、TikTok、Google/YouTube、LINE、Xなど、
    タイ国内向けに有料広告枠を配信する主要SNSプラットフォームが対象
  • 対象となるのは、プラットフォームが料金を受け取る「有料広告(ペイド広告)」
  • 個人のタイムラインへの通常投稿など、プラットフォームの広告管理システムを
    介さないオーガニック投稿は、今回のKYC義務の直接対象ではないとみられます

本人確認の方法

  • タイ国内の広告主:国民身分証(タイIDカード)や、商務省事業開発局(DBD)の
    法人登記番号・納税者番号による確認
  • 海外からの広告主:有効なパスポート情報や法人登録証明書の提示
  • 身分証の顔写真と本人の顔を比較するなど、書類の名義人本人であることの確認
  • 電子取引委員会が定める基準を満たすDigital IDによる確認も可能
  • 広告費用の支払い名義と、登録された広告主の身元情報の一致確認

なお、過去1年以内にその広告主についてすでに本人確認済みであれば、
広告を出すたびにゼロから確認をやり直す必要はないとされています。

SNS広告における本人確認項目が追加されている画像2026/08より
先月度からFacebook・Instagramに追加された新機能

「ブルーバッジ(認証バッジ)」とは全くの別物です

ここは誤解されやすいポイントなので、明確にしておきます。X(旧Twitter)や
Instagramの「ブルーバッジ」「認証バッジ」は、各プラットフォームが独自に
提供する、著名人・ブランドなどのアカウントを示すサービスであり、有料
プランへの加入などで取得できるものです。

一方、今回タイで義務化されるのは、タイ政府(電子取引委員会)が法律に
基づいてプラットフォーム側に課す、「有料広告を出稿する際の広告主の
身元確認」
という全く別の制度です。ブルーバッジを取得していても、
今回のKYC確認が免除されるわけではありません。両者を混同しないよう
注意してください。

本人確認を怠るとどうなる:プラットフォームの共同責任

今回の制度のもう一つの重要なポイントが、プラットフォーム側の責任です。
根拠となる「テクノロジー犯罪防止・取締緊急勅令」改正版の規定により、
ソーシャルメディア事業者は、テクノロジー犯罪による損害が発生した場合、
損害発生への関与割合に応じて責任を負う可能性があるとされています。

ただし、これは「詐欺広告が出た=プラットフォームが必ず全額賠償する」
という単純な制度ではありません。責任の有無・範囲は個々の事実関係と
法的手続きによって判断されるとされており、プラットフォーム側が規制当局の
定める防止措置を適切に実施していたと立証できれば、責任を免れる
仕組みもあります。

また、プラットフォームは広告主の情報(個人名・法人名・身分証明書・住所・
連絡先など)を、広告サービス終了後最低90日間保存する義務があります。
広告主と実際に広告料金を支払った人物・事業者が異なる場合は、
その支払者の情報も保存する必要があるとされています。

日本の制度との違い

日本にも著名人へのなりすまし投資詐欺広告への対策として、情報流通
プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法改正)があります。ただし、
タイと日本ではアプローチが大きく異なります。

タイ:出稿前の本人確認を法的に義務化

  • 広告を出す前の本人確認(KYC)が法律上の義務
  • 確認不備により被害が出た場合、プラットフォーム側も共同責任を
    負う可能性がある方針を当局が明示

日本:事後の削除対応が中心

  • 通報・削除要請を受けた後、迅速に削除する対応が法律上の義務の中心
  • 出稿前の本人確認は、2026年8月に警察庁・デジタル庁・金融庁・総務省などが
    Meta、Google、LINEヤフー、X、TikTokの5社に行った行政要請にとどまり、
    法的拘束力のある義務ではない
  • プラットフォームへの損害賠償請求は、民法上の不法行為(故意・重過失)の
    立証が被害者側に求められ、法的なハードルが高い状態が続いている

タイの制度は、詐欺対策として「事前規制+プラットフォームの共同責任」に
踏み込んでいる点で、日本の現行制度よりも厳格な枠組みだといえます。

インフルエンサーのPR投稿はどうなる?

日系企業や日本人インフルエンサーが最も気になるのが、この点だと思います。
結論としては、「プラットフォームに広告費を払うペイド広告か、無償の
オーガニック投稿か」によって扱いが分かれます。

対象になるケース

  • 企業がインフルエンサーの投稿を自社の広告アカウントからブースト
    (Partnership Ads・Spark Ads等):出稿元となる企業側が本人確認の対象
  • インフルエンサー自身が自分の広告アカウントから投稿をブースト:
    インフルエンサー本人が本人確認の対象
  • 企業が出稿し、広告代理店が広告費を支払う場合:企業側の本人確認に加え、
    支払者である代理店の情報も保存対象

直接の対象外とみられるケース

  • 企業から報酬を受けたインフルエンサーが、自身のアカウントへ通常投稿を
    するだけで、プラットフォームへ広告費を払っていない場合

ただし、対象外だからといってインフルエンサーPRが完全に自由という
わけではありません。案件であることの明示(#AD等)を求めるタイ消費者
保護委員会(OCPB)の誇大広告規制や、サプリメント・化粧品などを紹介する
場合のタイ食品医薬品局(FDA)の広告許可規制は、今回の制度とは別に
従来通り適用されます。

日系企業・広告運用担当者へのポイント

  • タイ国内向けにFacebook・Instagram・TikTok等の有料広告を運用している
    場合、11月1日以降は広告アカウントの本人確認手続きが必要になる
    可能性があります
  • 広告代理店経由で出稿している場合、「誰が広告主で、誰が広告費を
    支払っているか」の整理が重要になります
  • 現時点で、各プラットフォームがどの書類をどのような手順で要求するかは
    各社の実装次第であり、今後の公式案内の確認が必要です
  • インフルエンサー起用時は、投稿を有償ブーストする予定があるかどうかで
    本人確認の要否が変わる点に注意が必要です

タイの大手メディアおよび現地メディアの報道をもとにまとめています。

まとめ

タイでは2026年11月1日から、SNSの有料広告を出稿する際にプラット
フォーム側による広告主の本人確認が義務化されます。対象はあくまで
「有料広告」であり、無償のPR投稿とは扱いが異なります。またXや
Instagramの認証バッジ(ブルーバッジ)とも全く別の制度である点に
注意してください。

私自身、タイでSNS広告運用に携わる中で、既にプラットフォーム側から
広告アカウントの追加確認を求められるケースが増えてきたと感じています。
今後は「誰が広告主で、誰が費用を払っているか」を事前に整理しておくことが、
スムーズな広告運用のカギになりそうです。

また個人的にはインフルエンサーを装いこっそりと課金のブースト広告をしていた悪質な業者などは本人確認により減少する可能性もあります。

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よくある質問(FAQ)

Q1. すべてのSNS投稿に本人確認が必要になるのですか?

いいえ。対象はプラットフォームに広告費を支払う「有料広告」に限られます。
無償のオーガニック投稿は今回の制度の直接対象ではないとみられます。

Q2. X(旧Twitter)の認証バッジ(ブルーバッジ)を持っていれば確認は不要ですか?

いいえ、無関係です。認証バッジはプラットフォームが独自に提供する
サービスであり、今回タイ政府が義務付ける広告主の本人確認(KYC)とは
別の制度です。バッジの有無にかかわらず確認は必要です。

Q3. 本人確認を怠るとプラットフォームは必ず賠償責任を負うのですか?

自動的に全額賠償するという制度ではありません。損害発生への関与割合
などを踏まえて責任が判断され、防止措置を適切に実施していたことを
プラットフォーム側が立証できれば責任を免れる仕組みがあります。

Q4. インフルエンサーのPR投稿は今回の制度の対象になりますか?

プラットフォームへ広告費を払わない通常のPR投稿は、原則として直接
対象外とみられます。一方、その投稿を有償でブーストする場合は、
出稿する側(企業またはインフルエンサー本人)が本人確認の対象になります。

Q5. 日本にも同じような制度はありますか?

日本の情報流通プラットフォーム対処法は、通報後の迅速な削除対応が
中心です。出稿前の本人確認は行政指導にとどまり、タイのような法的義務
ではない点が大きな違いです。

Q6. 一度本人確認をすれば、次回以降は不要になりますか?

過去1年以内に本人確認済みであれば、プラットフォーム側がその記録を
利用できるため、広告を出すたびに毎回確認をやり直す必要はないとされて
います。

出典・参考サイト

  • ผู้จัดการออนไลน์(MGR Online):1 พ.ย.69 ยิงแอดเฟซบุ๊กมั่วซั่ว ปล่อยโฆษณาหลอกลวง แพลตฟอร์มร่วมรับผิด
  • มติชนออนไลน์(Matichon):ETDA ชี้ผู้ลงโฆษณาออนไลน์ ต้องยืนยันตัวตน ย้ำเสียหายร่วมรับผิด ตาม พ.ร.ก.บัญชีม้า
  • กระทรวงดิจิทัลเพื่อเศรษฐกิจและสังคม(デジタル経済社会省):関連法令一覧ページ

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Keita Satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、
ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、
日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー
約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、
各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。

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ライター
タイムラインバンコク編集部は、バンコクに在住する経験豊富な編集者とライターからなる専門チームです。日本人メンバーだけでなく、日本語能力試験N1を持つタイ人メンバーも在籍しており、多様な視点から情報を捉えることを大切にしています。 インターネット上の情報だけでなく、実際に現地へ足を運び、独自の取材・調査を行うことを信条としています。グルメ、ビューティー、最新ニュースからカルチャーまで、バンコクで暮らす人、訪れる人にとって本当に価値のある、正確で信頼できる情報を厳選してお届けします。日本のメディアに情報提供することもあります。
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