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「消えた石油5700万リットル」燃料不足が続くタイでの謎

タイ南部スラータニー県で石油5,700万リットルが消失した事件を伝えるニュースサムネイル。モノクロの石油掘削機の背景に赤い文字で「消えた石油5700万リットル」と記載。
keita satou

2026年4月、燃料価格の高騰と供給不安が続くタイにおいて、衝撃的なスキャンダルが表面化しました。南部スラータニー県にある油槽所へ輸送されたはずの燃料のうち、約5,700万リットル(57,000キロリットル)が途中で消失。ルッタポン司法相は、この異常事態をDSI(特捜局)の「特別事件」として受理し、国家を揺るがす組織犯罪として捜査を開始しました。

消えた石油についての会見
出典:ไทยโพสต์

1. 異常すぎる数字:出荷量の26%が「行方不明」

司法省と警察の共同調査により判明したデータは、あまりにも不可解なものでした。輸送の入り口と出口で、説明のつかない巨大な「空白」が生じています。

石油5,700万リットル消失の内訳
  • 出荷量:
    南部の石油基地から計96航海で 2億1,700万リットル を輸送
  • 到着量:
    スラータニー県内のターミナルで確認されたのは 1億6,000万リットル
  • 消失量: 差分 5,700万リットル(全体の約26%)

この量は大型タンクローリー数千台分に相当し、タイ全土の通常時の1日消費量に近い規模です。司法相は「製油所(โรงกลั่น)側に問題はない。疑惑は輸送過程とターミナルにある」とはっきり断言しています。

2. 「消えた燃料」を巡る3つの疑惑

当局は、この消失が以下のいずれか、あるいは複数のスキームによって行われた「人為的なもの」であると見ています。

  • 海上での不正転売(横流し):
    輸送船から別の小型船へ沖合で積み替え、闇市場や近隣諸国へ密流出。
  • 不自然な「在庫の囲い込み」:
    価格改定(値上げ)を待つために船を滞留させ、意図的に市場への供給を遅延。
  • 書類操作による脱税:
    近隣国向け支援燃料(VAT 0%)と偽って書類を作成し、実際にはタイ国内で不正に販売。

3. DSIの特別捜査:全国的な不正の摘発へ

同様の「在庫量の不自然な急増と、販売量の激減」というパターンは、アーントーン、メーソート、ナコーンサワンなど他県の油槽所でも確認されています。今回のスラータニーの事案はあくまで氷山の一角であり、DSI(特捜局)は全国規模の燃料不正組織の解明に全力を挙げる方針です。

まとめ:生活に直結する「闇」の解明

燃料不足が叫ばれる中で、本来市場に出回るはずの5,700万リットルが「消えている」事実は極めて深刻です。こういった事から一般庶民は政治への不信感につながっているのがタイの現実です。おそらく発覚したのは氷山の一角で日常的に横流しや転売や脱税が行われていたのではないかと推測します。

こういった大規模な事案が一個人や組織で実行できるはずがないと考えてしまいます。なにか大きな力が動いているように感じるのは私だけでしょうか?


著者プロフィール

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Keita Satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,700人)をはじめ、複数のSNSで合計7万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。

出典・参考サイト

  • Thai PBS / Thairath English (2026/04/04)
  • Khaosod / Matichon (2026/04/03-04)
  • DSI (Department of Special Investigation) Official Reports

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about me
Keita Satou
Keita Satou
タイ在住ライター
タイ在住ライター バンコク在住10年以上。旅行ライセンスの持つタイ法人の社員のかたわらライターも行う。タイ在住日本人向けのメディアとタイ人向けメディアを運営。Facebook(フォロワー1700人)や複数のSNS(総フォロワー7万人以上)を運営する。日本のテレビ・メディア取材経験多数あり。職業柄、各業界のタイの裏話を聞くことも多数あるそう。
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