BTSエカマイ駅付近の寺院ワット・タートトンで人骨と棺を発見 床下に眠っていたのは
バンコク・スクンビット通り、BTSエカマイ駅近くにある王室寺院「ワット・タートトン」で、礼拝堂の改修工事中に地下から古い棺と人骨が見つかりました。SNS上では事件性や呪術との関係を心配する声も広がりましたが、警察と寺院の調査により、真相が明らかになりました。

発見の経緯(7月16日)
報道によると、ワット・タートトン境内にある「リムパーポン礼拝堂」は老朽化が進んでいたため、寺院側は2025年に改修を決定し、2026年4月から基礎補強と建物の嵩上げ工事を進めていました。
7月16日、作業員が本尊の台座下にあたる地面を掘削していたところ、鉄筋コンクリート製の小さな地下空間を発見しました。内部を確認すると、古い赤色の木製の棺が見つかり、寺院は勝手に動かすことなく、クローンタン警察署へ届け出ました。
棺の中からは、女性とみられる人骨のほか、ステンレス製の盆と、仏暦2500年(西暦1957年)の刻印がある50サタン硬貨4枚が確認されたと報じられています。
警察・法医学チームによる初期調査
連絡を受けたクローンタン警察署、鑑識班、法医学チーム、レスキュー財団が現場に入り、人骨を回収しました。人骨はチュラロンコン病院の法医学部門へ送られ、身元特定のための調査が進められました。
赤い棺や硬貨などが一緒に見つかったことから、SNS上では呪術や特別な儀式との関係を疑う憶測も広がりました。しかし警察は、赤い棺は「ローン・チャンパー」と呼ばれるタイの伝統的な形式のものであり、一緒に納められていた品も当時の葬送習慣に沿ったものだとして、呪術や事件性との関係を否定しました。
寺院による公式発表と身元の判明(7月19日)
7月19日、ワット・タートトンは正式な声明を発表しました。寺院が礼拝堂を建立した「リムパーポン家」の子孫へ確認した結果、遺骨は1951年に亡くなった同家の先祖「曽祖母フンさん」のものであることが判明しました。
法医学当局の初期鑑定でも女性の人骨と判断されており、家族側の説明と一致しています。ただし、報道で確認できる範囲では、DNA鑑定によって個人を科学的に特定したとの発表はされていません。身元確認は、建立者一族への照会、家族の記録や証言、発見場所、初期鑑定を総合したものです。
なお、礼拝堂の建立年について、発見当初は「築約155年」と報じられることもありましたが、寺院の公式発表では、現在のリムパーポン礼拝堂は仏暦2514年(西暦1971年)にリムパーポン家によって建立されたとされています。フンさんの死亡(1951年)、棺内の硬貨(1957年)、礼拝堂の建立(1971年)という年代を踏まえると、遺骨は死亡後しばらくしてから、礼拝堂の建立時期前後に地下へ納められたとみられます。
なぜ礼拝堂の下に遺骨が納められていたのか
タイの一部地域には、寺院や礼拝堂を建立する際、仏教への信仰心から、建立に貢献した寄進者や一族の先祖の遺骨を本尊の台座下に納める慣習があったとされています。「故人が末永く仏様の加護と徳を受けられるように」との願いが込められたものと説明されています。
寺院関係者も、こうした慣習が一部地域に存在したことを説明しており、今回の遺骨も、礼拝堂を建立したリムパーポン家の信仰に基づくものとみられています。
タイの大手メディアおよび現地メディアの報道をもとにまとめています。
今後の対応
- リムパーポン家の子孫(遺族)が警察から遺骨を引き取る手続きを進めている
- ワット・タートトンにて正式な追悼・火葬儀式が執り行われる予定
- 火葬後の遺灰は、改修完了後のリムパーポン礼拝堂内に再び安置される予定
まとめ
発見当初は事件性や呪術との関連を疑う声もありましたが、警察の調査と寺院の公式発表により、礼拝堂を建立した一族の深い信仰心に由来する出来事であったことが明らかになりました。最終的には、遺族への返還と再供養という形で、無事に解決を迎える見通しです。
ワット・タートトンは王室ゆかりの寺院でもありタイでもとても有名な寺院です。
在タイ日本人や駐在者の立場から見ると、今回のニュースは少し驚くかもしれませんが、タイでは寺院と寄進者一族の結びつきが非常に強く、功労者の遺骨を仏堂や礼拝堂の近くに安置するという発想自体は、それほど特異なものではありません。ワット・タートトンはエカマイ駅前という立地から、日本人に馴染みのある寺院ですが、今回の件は寺院の安全性に関わる事件ではなく、歴史的・文化的な埋葬慣行が工事によって明らかになった事例と理解しておくとよいでしょう。
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よくある質問(FAQ)
Q1. これは殺人事件だったのですか?
いいえ。警察は棺や硬貨の状況などから、殺人事件の可能性は低いとの見方を示しており、礼拝堂建立者一族の先祖の遺骨と判明しています。
Q2. 遺骨の身元はどのように確認されたのですか?
報道によると、寺院が礼拝堂を建立したリムパーポン家の子孫に照会した結果、1951年に亡くなった先祖「フンさん」の遺骨であることが判明しました。法医学の初期鑑定(女性の人骨)とも一致していますが、DNA鑑定による特定は報じられていません。
Q3. なぜ礼拝堂の下に遺骨が納められていたのですか?
タイの一部地域には、寺院や礼拝堂の建立に貢献した寄進者や一族の遺骨を本尊の台座下に納める古い慣習があったとされています。信仰に基づく埋葬形態の一つと考えられています。
Q4. 呪術や黒魔術と関係があるのですか?
警察は、赤い棺や一緒に見つかった品はタイの伝統的な葬送習慣に沿ったものであるとして、呪術や黒魔術との関連を否定しています。
Q5. 遺骨は今後どうなりますか?
遺族が遺骨を引き取り、ワット・タートトンで正式な追悼・火葬儀式を行う予定です。その後、遺灰は改修後のリムパーポン礼拝堂に再び安置される見通しです。
出典・参考サイト
- Matichon Online「วัดธาตุทอง ร่อนแถลง แจงหีบศพใต้พระวิหาร คือย่าทวดของครอบครัวผู้สร้าง」
- Thai PBS「เร่งไขปมโครงกระดูกใต้พระวิหารวัดธาตุทอง ตร.ยันไม่เกี่ยวไสยศาสตร์」
- Thairath English「Human Skeleton Found Beneath Limpaporn Chapel at Wat That Thong」

Keita Satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
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