1ドル163円から157円台へ 日米協調介入との観測広がる バーツ⇔円への影響は
2026年7月22日に1ドル163円台を記録し、約40年ぶりの円安水準となっていた円相場が、7月31日にかけて急速に円高へ転じました。日本政府の円買い介入に加え、米財務省のベッセント長官のメモに「円を50〜100億ドル相当購入」と記載されていたことが報道され、日米が協調して円安是正に動いたとの観測が市場に広がっています。ただし、米財務省は介入の実施についてコメントしておらず、「日米協調介入」は現時点で報道・観測段階の情報です。

163円台から157円台へ 何が起きたのか
前回記事でお伝えした通り、2026年7月22日、円相場は一時1ドル163.24円付近まで下落し、1986年以来約40年ぶりの安値水準となりました。
その後、7月29日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げが見送られたことを受け、ドル売り・円買いの動きが出始めました。さらに7月30日には日本政府が円買い・ドル売り介入を実施したと報じられ、円は急速に値を戻す展開となっています。
7月31日のニューヨーク外国為替市場では、一時160円台を付けていた円相場が、わずかな時間で158円台前半まで急伸しました。その後も円高の動きが続き、同日中に157円台まで上昇する場面もあったと報じられています。
ベッセント財務長官のメモとは何だったのか
今回の円高加速のきっかけの一つとなったのが、ロイター通信が7月31日に撮影した写真です。ベッセント米財務長官が手に持っていたメモに、「To Do:日本円を50億〜100億ドル相当購入する」という趣旨の内容が記載されているとして報じられました。日本円換算では、約8,000億円〜1兆6,000億円規模の円買いに相当します。
ただし、次の点は現時点で確認できていません。
- このメモが実際の指示・決定を示すものなのか、検討段階のものなのか
- 米財務省が実際に円を買い入れたかどうか
- 日本政府との間に正式な協調合意があったかどうか
米財務省はメモの内容や介入の実施についてコメントしていません。英紙フィナンシャル・タイムズは、事情に詳しい関係者の話として「米財務省が7月31日に円を直接買い入れた」と報じましたが、これも匿名の関係者情報であり、公式発表ではありません。
日米協調介入との観測が広がった背景
今回、「日米が協調して円安是正に動いた」との観測が市場で広まったのは、次の動きが重なったためです。
- 7月29日:FOMCが政策金利を据え置き、ドル高圧力が弱まる
- 7月30日:日本政府が円買い・ドル売り介入を実施したと報じられる
- 7月31日:ベッセント財務長官のメモが報道される
- 7月31日:米財務省がニューヨーク連邦準備銀行を通じ、複数の銀行に「介入の可能性」を通知したとの報道
- 同時期:韓国もドル売り・ウォン買い介入を実施したとの報道
これらが重なったことで、「日米韓が足並みをそろえて通貨安を是正している」との見方が市場で意識され、円買いが加速したとみられています。ただし、日米韓の協調介入を正式に確認した政府発表はありません。
タイの大手メディアおよび現地メディアの報道をもとにまとめています。
為替介入はどのように行われるのか
為替介入とは、政府や中央銀行が自国通貨の価値を安定させるため、外国為替市場で通貨を売買することです。日本の場合、財務省が判断し、日本銀行が市場での実際の売買を執行します。
今回のような「円買い・ドル売り介入」は、円を買うことで円の価値を高め、円安を是正する効果を狙います。一方、介入の効果が長続きするかどうかは、根本的な日米の金利差など、市場の構造的な要因によって左右されます。
今回の報道にある「レートチェック」とは、中央銀行や財務省が金融機関に対して現在のレートを確認する行為です。これは介入の予告・準備段階として市場が受け止めるため、実際の介入が行われなくても相場が動く効果があります。
タイバーツ⇔円への影響
円が163円台から157円台まで急上昇したことで、タイバーツと円の関係にも変化が生じています。
タイバーツは現在1ドル33.7バーツ前後の水準で推移しています。1ドルが163円から157円に動いた場合、単純計算では次のように変わります。
- 163円時:1バーツ=約4.84円
- 157円時:1バーツ=約4.7円
これはあくまで概算であり、実際の銀行・両替所のレートとは異なります。また、タイバーツ自体も対ドルで動くため、円・バーツの関係はドル円相場だけでは決まりません。
今回の円高によって、日本から円建てで収入を受け取っている在タイ日本人にとっては、1バーツに必要な円が減り、生活費の実質的な負担が若干軽くなる方向になります。一方、タイでバーツ収入を得て日本へ送金する場合は、受け取れる円が減るため不利に働きます。
今後の注目点
- 米財務省が円買い介入を正式に認めるかどうか
- 円高の動きが157円台で定着するか、再び円安方向に戻るか
- 日銀の次回金融政策決定会合での判断
- 米国の雇用統計・インフレ指標の動向
- タイバーツの対ドル相場の動向
- 中東情勢や原油価格の推移
今回の円高が一時的な動きにとどまるのか、トレンド転換の始まりになるのかは、現時点では判断できません。163円台から157円台への動きは大きな変化ですが、過去の介入後も円安が再び進んだケースがあります。引き続き銀行や両替所が提示する実際のレートを確認しながら、まとまった両替や送金のタイミングを判断することが重要です。
まとめ
円相場は7月22日の163円台から、7月31日にかけて157円台前半まで急速に値を戻しました。日本政府の円買い介入、FOMCでの利上げ見送り、そして米財務省のベッセント長官メモの報道などが重なり、日米協調介入との観測が市場に広がったことが主な要因です。ただし、「日米協調介入」は現時点で報道・観測段階の情報であり、米財務省は公式なコメントを出していません。
在タイ日本人や駐在者の立場から見ると、163円から157円への動きは在住者の体感的な負担軽減につながる動きではありますが、5円程度の変動が日常生活に与える影響は、まとまった送金や両替をする場合を除けば、それほど大きいわけではありません。ただ、今回のような急激な動きは、まとめて両替しようとしているタイミングで不利なレートが続いていた方にとっては、チャンスになる可能性もあります。円建て収入の方はこのタイミングをうまく活用できるかもしれません。今後も為替の動向は注視していきたいと思います。
海外生活は10年以上になりますが、本当に未来が全く読めません。突然の天災、戦争そして為替介入や政権交代。これはめったにおこらない出来事だと言いますが、毎年のようになんかしら怒っている気がします。円が高くなるのは個人的に歓迎ですが、為替介入の実弾があと何回と噂されるように今の日米の金利差ではなかなか円安を止めることが難しいのではないかと個人的に思っています。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 日米は本当に協調介入を行ったのですか?
報道では日米協調介入との観測が広がっていますが、米財務省は介入の実施についてコメントしておらず、現時点では報道・観測段階の情報です。日本政府は円買い介入を実施したと報じられていますが、米国側の公式確認はありません。
Q2. ベッセント長官のメモは本物ですか?
ロイター通信が撮影した写真に基づく報道です。ただし、このメモが実際の指示・決定を示すものなのか、検討段階のものなのかは明らかになっていません。米財務省もコメントしていません。
Q3. バーツ⇔円のレートはどう変わりましたか?
ドル円が163円から157円台に動いたことで、概算では1バーツあたり約4.84円から約4.69円程度に変化しています。ただしタイバーツ自体も対ドルで変動するため、実際の銀行や両替所のレートを直接確認することが重要です。
出典・参考サイト
- Reuters「Bessent memo showing yen purchase plan」
- Financial Times「US Treasury directly bought yen on July 31」
- 時事通信「NY外為:円乱高下」
- 外為どっとコム「日米協調介入観測と円高」

Keita Satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。

