円相場が1ドル163円台を突破 1986年以来約40年ぶりの安値
2026年7月22日の外国為替市場で、円相場は一時1ドル=163円台まで下落しました。1ドル163円を超えるのは1986年以来で、円は対ドルで約40年ぶりの安値水準となっています。日本政府は為替介入を警戒する姿勢を示しており、タイ在住日本人の生活にも関わる動きです。


円相場が1986年以来の水準まで下落
報道によると、2026年7月22日、円相場は一時1ドル=163.24円付近まで下落しました。1ドル163円を超えるのは1986年以来で、円は対ドルで約40年ぶりの安値水準となっています。
日本政府はこれまで、2026年4月と5月に、円相場が1ドル160円を超えた局面で円買い・ドル売り介入を実施しており、介入額は合計約11兆7,000億円に達したと報じられています。しかし、介入後に一時的に円高へ戻ったものの効果は長続きせず、再び163円台まで円安が進みました。
なぜ円は163円台まで下落したのか
米国の長期金利上昇と日米金利差
米国ではインフレへの警戒が続き、国債利回りが上昇しています。報道によると、米30年国債利回りは5.15%付近まで上昇し、米国の高金利が長期化するとの見方がドル買いを支えています。
日本銀行は2026年6月の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%から1.0%へ引き上げ、31年ぶりの水準となりました。ただし、それでも米国の長期金利との差は大きく、円を積極的に買う材料にはなりにくい状況です。この金利差を背景に、低金利の円を売って高金利の通貨で運用する、いわゆる「円キャリートレード」が根強く続いているとの指摘もあります。
中東情勢の緊迫化と原油高
中東情勢の緊迫化により、金融市場では比較的安全とされる米ドルを買う動きが強まっています。米国とイランを巡る軍事的緊張、紅海やホルムズ海峡周辺の不安定化、原油輸送への懸念がドル高の要因として挙げられています。
日本は原油や天然ガスなどのエネルギー資源を海外から大量に輸入しているため、原油価格が上昇すると輸入代金の支払いでドル需要が増え、円安圧力が強まります。2026年6月の日本の貿易収支は4,069億円の赤字となり、輸入額は前年同月比25%増加したと報じられています。
日本の財政運営への懸念
市場では、日本政府の大規模な財政支出や国債発行、エネルギー補助金などに対する懸念も意識されています。財政支出の拡大と国の借金増加が続けば、日本国債や円への信頼低下につながる可能性があるとの分析があります。
日本政府は為替介入を行うのか
1ドル163円を超えたことで、市場では日本政府による円買い・ドル売り介入への警戒が高まっています。片山さつき財務相は7月22日、特定の為替水準には言及しなかったものの、必要な場合には為替市場で「断固たる措置」を取る準備があるとの姿勢を示したと報じられています。
為替介入は財務省の判断で実施され、日本銀行が市場で実際の売買を行います。ただし、日本銀行が金融政策として介入を決めるわけではなく、為替政策はあくまで政府の権限とされています。
2026年4月・5月の介入後も円安が再び進んだことから、市場では「163円を超えたら必ず介入する」とは見られていません。政府は特定の水準ではなく、短時間で一方向へ急激に動く投機的な変動を重視すると考えられています。一部の市場関係者は、次の警戒ラインとして1ドル165円付近を意識していますが、これは政府が公表した水準ではなく、市場参加者による予測です。
タイの大手メディアおよび現地メディアの報道をもとにまとめています。
タイ在住日本人への影響

円建て収入の受取額が減る可能性がある
タイ中央銀行の直近公表値では、100円当たりの銀行間参考レートは約20.66バーツとされています。米ドル相場を使って単純計算すると、1ドル163.24円、1ドル33.71バーツの場合、1バーツは約4.84円という概算になります。
日本から円建てで給与、年金、事業収入、生活費の送金を受け取っている人にとっては、同じ円額でも受け取れるバーツが減るため、家賃や学費、医療費、保険料などの負担が実質的に重くなります。これは市場の中間価格を使った概算であり、実際の銀行送金やATM、両替所では手数料や売買価格差が差し引かれます。
バーツ収入を日本へ送金する場合は有利
タイで働き、給与をバーツで受け取っている日本人が日本へ送金する場合は、円安によって同じバーツから受け取れる円が増えます。日本の住宅ローンや家族への送金、学費などを支払っている場合は、円安が有利に働くことがあります。ただし、送金サービスの手数料や実際の為替レートによって金額は異なります。
「ドル円」だけでなく「円・バーツ」を直接確認する
タイ在住者が特に注意したいのは、ドル円だけを見て「円がバーツに対しても同じ割合で下落した」と判断しないことです。円・バーツの交換レートは、対ドルの円相場と対ドルのタイバーツ相場を組み合わせて決まります。
現在はタイバーツも対ドルで下落しており、1ドル33.7バーツ前後となっています。ドル円が163円へ上昇しても、バーツも同時にドルに対して下落すれば、円・バーツの変動はドル円ほど大きくならない場合があります。ニュースのドル円相場だけでなく、銀行や両替所が提示する「100円当たり何バーツか」を直接確認することが重要です。
今後の注目点
- 日本政府が再び為替介入を行うか
- 1ドル165円へ近づくか
- 7月30〜31日の日銀金融政策決定会合の内容
- 米国の金利とインフレ指標の動向
- 中東情勢と原油価格の推移
- タイバーツの対ドル相場
現時点では、円が163円を超えたからといって、そのまま一直線に165円や170円へ下落すると確定したわけではありません。政府介入、中東情勢、原油価格、米国の経済指標によって、短時間で数円動く可能性があります。
まとめ
円相場は1986年以来約40年ぶりとなる1ドル163円台まで下落し、日米金利差、中東情勢によるドル高、原油高、日本の財政懸念などが複合的に影響しています。日本政府は為替介入を警戒していますが、根本的な要因が変わらなければ、介入の効果は一時的にとどまる可能性があります。
在タイ日本人や駐在者の立場から見ると、バーツと円の為替だけなので直接の影響はないかもしれませんが、ドル建てで給料を支給される外資系の人には給料増。円建てで支給されている人は実質目減りとなる可能性もあります。また円が弱いと輸入製品の価格増加につながる可能性もあります。
またタイムラインバンコクのライター陣にも3か国のファイナンシャルプランナーの資格を持つ田中ゆき恵氏もいるので今後についても深堀していく予定です。
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よくある質問(FAQ)
Q1. なぜ円は1986年以来の安値まで下落したのですか?
日米の金利差拡大、中東情勢の緊迫化によるドル高、原油価格上昇、日本の財政運営への懸念などが複合的に重なったためとされています。
Q2. 日本政府は為替介入を行いますか?
財務相は必要な場合には「断固たる措置」を取る姿勢を示していますが、特定の為替水準を公表しているわけではありません。2026年4月・5月の介入後も円安が再び進んだため、必ず介入するとは限らないと見られています。
Q3. タイ在住日本人にはどのような影響がありますか?
日本から円建てで収入を受け取っている人は、バーツへの両替時の受取額が減り負担が増えます。一方、タイでバーツ収入を得て日本へ送金する人には有利に働く場合があります。
出典・参考サイト
- Reuters「Yen slides past 163, raising intervention alert」
- Reuters「Japan ready to take decisive action on forex if needed, finance minister says」
- 日本銀行 公式発表
- タイ中央銀行(Bank of Thailand)為替レート公表値

Keita Satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
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