カオサンの店の9割以上が賄賂で成り立つ「無許可営業」タイ国会議員が衝撃告発
2026年4月22日、タイ野党・国民党(People’s Party/พรรคประชาชน)の
バンコク選出議員3名が国会内で会見を開き、
カオサン通りの飲食店100軒以上のうち、正式な娯楽施設営業許可を持つのはわずか6軒だと告発しました。
残りの店は許可を持たないまま、警察や地方当局など
10以上の公的機関に毎月「賄賂(スアイ)」を支払うことで営業を続けていると主張しています。
この告発は単なるカオサン通りの問題にとどまりません。
議員らは、バンコク・パタヤ・プーケットを含むタイ全国の観光地で
同じ構造が常態化していると指摘しており、
現行の「娯楽施設法(Service Place Act)」が時代遅れであることが
汚職の温床を生み出していると批判しています。
この記事のポイント
- カオサン通り100軒超のうち正規許可店はわずか6軒と議員が告発
- 無許可店は10以上の機関に毎月賄賂を支払い営業継続
- 現行の娯楽施設法の定義が時代遅れで実態と乖離
- バンコク・パタヤ・プーケットでも同じ構造が常態化していると指摘
- 議員らは5月にも公聴会を開き法改正案を今国会に再提出する方針
- 目的は規制強化ではなく「地下経済の合法化・制度整理」
1. 「100軒中6軒しか許可がない」
議員が突きつけた数字
会見に立ったのは国民党のジョーンユット・チャトゥラポン議員、
パンティン・ヌアムジョム議員、パラメート・ウィタヤラックサン議員の3名です。
ジョーンユット議員は観光地を直接調査したうえで、
カオサン通りについて以下のように述べました。
「カオサン通りには酒類を提供する店が100軒以上あるが、
正式な娯楽施設許可を持っているのは6軒だけだ。
許可を持たない店の多くは深夜3時・4時、
場合によっては朝まで営業を続けている。
一方できちんと許可を取っている店は
規定の営業時間を守らなければならず、
真面目な事業者ほど競争で不利になるという逆転現象が起きている」
この発言はあくまで議員による告発であり、
警察や当局が公式に認定した数字ではありません。
ただし、タイのナイトライフ業界の実態を長年取材してきた
記者・識者の間では「驚くべき数字ではない」という声も多く、
制度と実態のズレが深刻であることは広く認識されています。
2. 「10以上の機関に毎月スアイ(賄賂)を払う」構造
議員らが特に強調したのが、賄賂(スアイ)の構造化です。
無許可のまま営業している店は、
取り締まりを免れるために複数の機関に金を払い続けているといいます。
想定される支払い先として議員側が示唆したのは、
警察、区役所、内務省系の出先機関など
10以上の公的機関です。
具体的な機関名や金額は会見では明示されませんでしたが、
「1店舗あたり毎月これだけの数の機関に金を渡している」という構造が
常態化しているというのが議員側の主張です。
パタヤやプーケットでも同様の構造が確認されているとしており、
これはカオサン特有の問題ではなく、
タイのナイトライフ産業全体が抱える構造的な問題だと訴えています。
3. なぜこうなったのか:
時代遅れの法律が生む「制度の歪み」
問題の根本には、現行の「娯楽施設法」が現実に合っていないという点があります。
パンティン議員はこう説明しています。
「現行法には『ラムウォン(伝統舞踊)』や『茶店』といった
古い業態の定義が残ったままだ。
今のカフェバー・ライブバー・DJバーは
法律上どのカテゴリーに入るのかが不明確で、
多くの店が『レストラン』として登録しながら
実態はナイトスポットとして営業している」
また許可取得のプロセスも問題です。
1店舗を開くのに複数の省庁・部署から
それぞれ異なる許可を取る必要があり、
ゾーニングの要件も厳しいため
「正面から許可を取ろうとしても取れない」ケースが多い、と指摘しています。
その結果、「制度に従おうとしてもできない」→「非公式ルートとスアイに頼る」
という構造が固定化してしまっています。
4. 議員らが求める改正の方向性
議員らの主張は「夜の営業を禁止せよ」ではありません。
むしろ逆で、「地下に潜っているビジネスを制度の中に取り込め」というものです。
具体的な提案は以下の3本柱です。
- 業態定義の現代化:
カフェバー・ライブハウス・DJバーなどを
法律上明確に位置付け、「レストラン名目」での抜け穴をなくす - 許可申請のワンストップ化:
複数の部署に個別に申請する現行システムを廃止し、
1か所で手続きが完了する窓口を設置する - ゾーニング・許可権限の地方移譲:
中央(内務省)ではなく地方自治体が
地域の実情に合ったゾーニングと許可・手数料徴収を担う
パラメート議員はこうも述べています。
「カオサンやシーロムのナイトライフは
タイ経済に莫大な外貨をもたらしている『ナイトエコノミー』だ。
存在自体を否定するつもりはない。
だからこそ、誰もが守れる現実的なルールを作る必要がある」
5. 今後のスケジュール:
5月に公聴会、今国会で法案再提出へ
この娯楽施設法改正案は、前の国会で一度提出されましたが
解散により廃案になった経緯があります。
国民党は今回、5月に公聴会(パブリックヒアリング)を開き、
今国会に改めて法案を上程する方針を示しています。
法改正が実現すれば、カオサン・シーロム・パタヤ・プーケットなど
タイ全国のナイトライフ業態が大きく変わる可能性があります。
一方で、既得権益を持つ勢力からの抵抗も予想されるため、
実際の法案成立までには時間がかかる見通しです。
6. バンコク在住者・旅行者への影響は?
カオサンやシーロムやスクンビットで深夜まで営業している店が
「正規の許可を持っているかどうか」は、
旅行者には見分けがつきません。
ただし今回の告発が示すのは、
普通に開いているように見えても、
制度上はグレーな営業が混在している可能性があるということです。
カオサン通りの「深夜まで営業している店」が
厳密な意味で合法かどうか、
在住者もあまり意識していないのが実態だと思います。
そもそも旅行者には理解しがたいでしょうが、バンコクでは深夜の酒類の販売は許可されていません。
むしろ「なんとなく黙認されている」という感覚で使っている人が多いでしょう。
今回の告発は、その「なんとなく」の背景に
組織的な賄賂の構造があることを改めて浮き彫りにしました。
法改正の動向は、バンコクのナイトライフの行方を左右する話でもあります。
タイ旅行の注意事項とあわせてご確認ください。
よくある質問(Q&A)
Q. カオサン通りの店は今後閉鎖されるのですか?
A. 議員らの目的は閉鎖や規制強化ではなく、
「無許可営業を合法化・制度化する」ことです。
法改正が実現すれば、むしろ正規の許可を取りやすくなり、
現在グレーな店が合法化される方向に向かう可能性があります。
Q. 「6軒しか許可がない」は本当ですか?
A. これは野党議員による告発数字であり、
当局が公式に認定したものではありません。
ただしタイの夜の営業に詳しい関係者の間では
「驚くべき数字ではない」という見方も多く、
制度と実態の乖離が大きいことは広く知られています。
Q. シーロムやパタヤも同じ状況ですか?
A. 議員らはパタヤ・プーケット・シーロムも含め、
タイ全国の観光地で同様の構造が常態化していると述べています。
カオサン通りはあくまで告発の「わかりやすい例」として
取り上げられた形です。
まとめ:タイのナイトエコノミーは「制度整理」の転換点にある
今回の告発は、バンコクのナイトライフが
長年「黙認と賄賂」によって成り立ってきたという構造を
改めて国会の場で明示したという点で意義があります。
カオサン通りの100軒中6軒という数字が象徴するように、
制度と実態の乖離はすでに限界に達している可能性があります。
5月の公聴会、そして今国会での法案審議の行方は、
バンコクのナイトライフの将来像を決める重要な節目になりそうです。
在住者・旅行者ともに、今後の動向を注視しておく価値があります。
当サイトに紹介しているお店は、当サイトのライターが実際に足を運んだお店はもちろん
すべて許可を取得しているお店のみです。
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著者プロフィール

Keita Satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,700人)をはじめ、複数のSNSで合計7万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
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