スワンナプーム空港 10月だけで大麻577kg押収と外国人40人を摘発 2026年累計で10トン超
タイ税関局は2026年10月25日、スワンナプーム国際空港における大麻の国外不正持ち出し摘発について発表しました。2026年10月1日から24日までのわずか24日間で40人を摘発し、大麻の花穂577キログラム超(末端価格にして約580万バーツ相当)を押収したとのことです。
この記事では、今回の摘発の内容、タイで大麻が非犯罪化されているにもかかわらず持ち出しが違法となる理由、そして旅行者が知っておくべき罰則について解説します。
何が起きたのか
今回の577キログラム・40人という数字は、1回の摘発で発生したものではなく、タイ税関局が10月1日から24日までに摘発した複数の違法持ち出し事案を集計した結果です。タイ税関局のパントーン局長は、タイ空港公社(AOT)と連携し、海外へ出国する旅客と手荷物の検査を強化した結果、この期間だけで40人の摘発に至ったと説明しています。
なお、各摘発の正確な日時や便名、持ち出し先の国、1人当たりの押収量などの詳細は公表されていません。
摘発された外国人の国籍別内訳
拘束された40人の大半は外国人旅行者でした。タイ税関局が公表した国籍別の内訳は次のとおりです。
- インド:11人(最多)
- 中国:7人
- イギリス:5人
- その他(カナダ、スペイン、ポルトガルなど・詳細未公表分を含む):17人
今回の発表に日本人が摘発されたという記載はありませんが、すべての国籍が公開されているわけではないため、日本人の摘発者がゼロだったと断定することはできません。また、国籍別人数は密輸目的地を示すものではなく、インド人が最多だったからといってインドが最大の持ち出し先だったとは判断できない点にも注意が必要です。
2026年の累計は10トン超
報道によると、2026年1月1日から今回の発表時点までの累計では、517人が摘発され、大麻の花穂10,628キログラム(約10.6トン)が押収されています。10月分の577キログラムは、この年間累計10,628キログラムに含まれる数字であり、両者を単純に足し合わせるものではありません。
なお、押収量の大きさは、必ずしも違法持ち出しそのものが前年より増加したことを意味するわけではありません。検査体制の強化によって摘発件数が増えた可能性もあるため、増加傾向を論じるには前年との比較が必要です。
タイで大麻は非犯罪化されているが、持ち出しは違法
タイは2022年に大麻を麻薬リストから一部除外する非犯罪化を行い、街中のディスペンサリー(大麻販売店)で花穂を購入できるようになりました。ただし、これは全面的な自由化を意味するものではありません。2025年6月には、大麻の花穂を「規制対象ハーブ」として厳格に管理する制度が施行されており、原則として医療目的に限定され、商業的な販売や輸出には許可が必要とされています。
つまり、タイ国内で合法的に大麻を購入できたとしても、その商品を国外へ持ち出せるという意味ではありません。タイ税関局は「タイで合法的に買えたからといって、国際線の受託手荷物(預け入れ荷物)や機内持ち込み手荷物に入れて持ち帰れると思い込んではいけない」と強く警告しています。現在、持ち出しが認められるのは医療目的(適切な許可証がある場合)のみです。
罰則は罰金だけでなく懲役も
無許可で大麻の花穂を国外へ持ち出そうとした場合、1キログラムあたり3万バーツという罰金基準が設けられています(2026年6月17日からタイ保健省が運用)。これに加えて、2017年関税法に基づき、事案によっては最高10年の懲役、または関税込み商品価格の4倍相当の罰金、あるいはその両方が科される可能性があるとタイ政府は案内しています。
これらの罰則がすべての事案に一律に適用されるわけではなく、個別の行為や適用条文、捜査結果によって異なります。今回摘発された40人について、具体的な判決や最終的な罰金の総額は公表されていません。
なぜ取り締まりが強化されているのか
今回の強化措置は、2026年10月22日に開かれたタイの麻薬取締関連会議での政府方針を受けたものです。アヌティン首相とエークニティ副首相兼財務相は、違法商品の輸出入の監視を強化するよう関係機関に指示しました。これを受け、タイ税関局はタイ空港公社(AOT)と連携し、出国する旅客の手荷物検査や危険度に応じた検査を強化する方針を示しています。
タイ政府が問題視しているのは、タイが国際的な違法大麻輸送の出発地や中継地点として利用されることです。タイ国内で規制対象となっている大麻の花穂が、渡航先の国ではさらに厳しい麻薬取締法の対象になっていることもあり、タイを出国する際だけでなく、到着した国で重大な刑事責任を問われる可能性もあるとされています。
旅行者・在住者へのポイント
- タイで合法的に購入できる商品でも、国外へ持ち出せるとは限らない。出発国・到着国双方の法律を確認する
- 日本への持ち込みは禁止。日本の大麻取締法には国外犯処罰規定があり、現地の合法性にかかわらず日本の法律で罰せられる対象となる可能性がある
- 大麻入りの食品・オイル・化粧品も含め、日本へ持ち込むことは固く禁止されている
- 他人から「荷物を運んでほしい」と頼まれても、中身を確認できない荷物の運搬は避ける
- 他国を経由するトランジットの場合も、経由国・到着国の法律が適用される可能性がある
まとめ
タイでは大麻の花穂が非犯罪化され購入しやすくなった一方、国外への持ち出しは依然として厳しく規制されています。罰金だけでなく懲役刑の対象にもなり得るため、「タイで買えたから持ち帰れる」という思い込みは禁物です。旅行前には必ず持ち出し・持ち込みそれぞれの国のルールを確認しましょう。
大麻に限らず、たとえばフルーツや生花やソーセージや加工肉なども持ち出し禁止となっています。また日本からは加熱式たばこを電子タバコとして持ち込み禁止品となっています。知らずに持ち込みや持ち出しをして没収されるケースはもちろん場合によっては犯罪行為となってしまう可能性もあるのでご注意ください。
タイの大手メディアの報道をもとにまとめています。
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FAQ
Q1. タイでは大麻は完全に合法化されているのですか?
完全に合法化されたわけではありません。2022年に麻薬リストから一部除外する非犯罪化が行われましたが、2025年6月からは「規制対象ハーブ」として厳格に管理されており、商業的な販売や輸出には許可が必要です。
Q2. タイで買った大麻をお土産として自国に持ち帰ってもいいですか?
認められていません。医療目的(適切な許可証がある場合)を除き、国外への持ち出しは違法です。日本を含め、多くの国で大麻の持ち込みは厳しく取り締まられています。
Q3. 持ち出しが発覚した場合、罰金だけで済みますか?
罰金だけとは限りません。1キログラムあたり3万バーツの罰金基準に加え、事案によっては2017年関税法に基づき最高10年の懲役、または関税込み商品価格の4倍相当の罰金が科される可能性があります。
Q4. 今回摘発された40人に日本人は含まれていますか?
今回の発表に日本人が摘発されたという記載はありません。ただし、すべての国籍が公開されているわけではないため、日本人の摘発者がいなかったと断定することはできません。
出典・参考サイト
- Bangkok Biz News(2026年10月26日)
- Daily News(2026年10月25日)
- タイ政府公式(2026年7月12日)
- タイ保健省(2026年7月4日)
- ASEAN NOW(2026年10月26日)

著者:Keita Satou
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
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