タイバーツの為替予想(2026年8~12月) 最新AIによる複数の分析と大手金融・メディアの発表
以前に公開した「タイバーツ為替予想」シリーズの最新版です。今回は、前回までの予想がどれだけ当たったかを振り返る「答え合わせ」を行った上で、複数のAIと大手金融機関による2026年8〜12月の新たな予想をまとめます。今回はAI「ChatGPT」「Perplexity」「Grok」に加え、新たに「Claude(Sonnet 4.6)」の予想も追加した5社の予想をお届けします。なお、本記事の内容は投資助言ではなく、あくまで参考情報です。為替取引における最終判断はご自身でお願いします。
過去の記事
まず2026年7月までの「答え合わせ」
今回の予想に入る前に、過去2回の記事でAIが予想した数字と、実際の相場がどうだったかを振り返ります。
第1回(2025年10月予想)の答え合わせ
2025年10月時点で、4社のAIが2026年7〜9月期の1バーツ円を予想しました。実際、7月は163円台という約40年ぶりの円安水準を記録し、1バーツが一時4.84〜4.88円付近に達する場面がありました。その後、7月末の日米協調介入(観測)により157円台まで円高が進み、月末時点では1バーツ=約4.65〜4.70円前後となっています。
- Perplexity(7〜9月期予想:5.00〜5.17円ピーク):7月上旬の4.88円付近には届かず。ただし4社の中では「バーツ高・円安が続く」と予想した唯一のAIで、方向性は最も近かった
- ChatGPT(7〜9月期予想:4.40〜4.75円):介入後の水準(4.65〜4.70円)と最もレンジが近い結果になった
- Gemini(7〜9月期予想:約4.27円):実際の7月水準(4.65〜4.88円)を大幅に下回る予想で、円高方向への見通しが外れた
- Grok(7〜9月期予想:約4.20円):Gemini同様、実際の水準を大きく下回る予想。円高・バーツ安の進行を過大評価した形
第2回(2025年12月予想)の答え合わせ
12月の記事では、4社が2026年7〜9月期を予想していました。
- Perplexity(7〜9月期予想:4.65〜4.90円):7月上旬〜中旬の4.70〜4.88円はレンジ内。介入後の4.65〜4.70円も下限付近で、全体的に最も現実に近い予想だった
- Gemini(7〜9月期予想:4.80〜5.00円):7月上旬の4.84〜4.88円はレンジ内だったが、5円には届かず。介入後は大幅に下振れ
- Grok(7〜9月期予想:4.75〜4.85円):7月前半は概ねレンジ内だったが、介入後の157円台(約4.65〜4.70円)は下限を大きく割り込んだ
- ChatGPT(7〜9月期予想:4.40〜4.75円):介入後の水準(4.65〜4.70円)はレンジ内に収まっており、4社の中で下振れに最も備えていた予想だった
全体的な傾向として、2025年時点のAI予想は「円高・バーツ安」方向を予測したものが多かったですが、実際には2026年前半にかけてバーツ高・円安が大きく進み、7月末の日米協調介入観測を受けて一気に修正される展開となりました。この急激な変動は、いずれのAIも正確には捉えられていませんでした。
2026年8〜12月のAI5社予想
2026年8月初旬時点での各AIの予想です。現在のドル円相場は157〜158円台、ドルバーツは33.7バーツ前後で推移しており、この水準を前提とした予想として参照してください。
AI「Gemini」の予想:円高バーツ安へシフト
7月末に実施された日米当局による円買い介入の威嚇効果や日銀の政策金利引き上げ姿勢により、一時的な「1バーツ=4.88円超」の過度なバーツ高・円安傾向には強力な歯止めがかかりました。2026年下半期(8月〜12月)は、米国の利下げ局面入りや日タイ金利差の縮小に伴い、緩やかな「円高・バーツ安」方向への回帰がメインシナリオとなります。
- 8月:1バーツ=4.55~4.85円
- 9月:1バーツ=4.48~4.82円
- 10月:1バーツ=4.42~4.78円
- 11月:1バーツ=4.38~4.74円
- 12月:1バーツ=4.35~4.72円
下半期を通じてじわじわと円高・バーツ安(1バーツ=4.30円台〜4.50円台方向)へシフトしていく公算が高まっています。
AI「ChatGPT」の予想:(円高予想)
7月末に実施された日本政府の円買い介入と米国の利上げ見送りにより、円安の頭打ち感が強まっています。日銀の追加利上げ観測が続く中、緩やかな円高・バーツ安方向へ進むとみています。
- 8月:1バーツ=4.55~4.85円
- 9月:1バーツ=4.48~4.82円
- 10月:1バーツ=4.42~4.78円
- 11月:1バーツ=4.38~4.74円
- 12月:1バーツ=4.35~4.72円
結論:8月の4.70円前後から12月には4.50円前後まで緩やかに円高・バーツ安が進む展開を予想。ただし、日米の為替介入、日銀の追加利上げ、米国の政策金利、タイの観光収入、原油価格によって相場は大きく変動するリスクがあります。
AI「Perplexity(Comet)」の予想:
中立レンジ(じわじわ円高・バーツ安)
7月末の日米協調介入観測による威嚇効果と日銀の利上げ姿勢から、1バーツ=4.88円超という過度なバーツ高・円安傾向には歯止めがかかりました。米国の利下げ局面入りや日タイ金利差の縮小に伴い、緩やかな円高・バーツ安方向への回帰がメインシナリオです。
- 8月:1バーツ=4.55~4.85円
- 9月:1バーツ=4.48~4.82円
- 10月:1バーツ=4.42~4.78円
- 11月:1バーツ=4.38~4.74円
- 12月:1バーツ=4.35~4.72円
結論:2026年後半は「1バーツ=4.5〜4.7円台」を中心に、じわじわと円高・バーツ安方向へシフトしていくイメージ。5円台への大きな逆行は起きにくく、「4円台後半」が生活者にとってのメイン水準になると予想。
送金タイミングの参考として:
- 日本からタイへの送金(円→バーツ):米利下げ観測で円高が進む9月〜11月以降のタイミングを狙うのが効果的
- タイから日本への資金回収(バーツ→円):1バーツ=4.70円以上を維持している8月中旬までの早期確定が有利な選択肢
AI「Grok」の予想:着実な円高・バーツ安シフト継続
日銀の政策金利1.00%据え置きによる追加利上げ期待が継続する一方、タイ中央銀行も1.00%を据え置いており、金利差の緩やかな拡大が続きます。エネルギー輸入圧力と円の相対的な支持が重なり、年末にかけて4.6円前後を中心とした展開をメインシナリオとします。
- 8月:1バーツ=4.60~4.80円
- 9月:1バーツ=4.55~4.78円
- 10月:1バーツ=4.52~4.75円
- 11月:1バーツ=4.50~4.73円
- 12月:1バーツ=4.48~4.72円
結論:5社の中で最もレンジが狭く、年末に向けて4.6円前後を中心とした安定的な円高・バーツ安シフトを予想。ChatGPT・Perplexityよりも円高の進行が緩やかで、大手金融機関(MUFG・Krungsri)の見通しと最も整合的なシナリオです。
AI「Claude(Sonnet 4.6)」の予想:
介入効果を考慮した慎重な円高シナリオ
7月末の日米協調介入(観測)により、1ドル163円から157円台への急速な円高が実現しました。ただし、日米の金利差(米国5.25〜5.50%程度、日本1.00%)は依然として大きく、介入の効果が長続きするかどうかは不透明です。過去の介入事例では、効果が数週間〜数ヶ月程度にとどまったケースもあります。大手金融機関(MUFG)の年末ドル円予想が158円であることも踏まえ、ChatGPT・Perplexityよりもやや慎重な(円高が限定的な)レンジを想定します。
- 8月:1バーツ=4.58~4.92円
- 9月:1バーツ=4.52~4.86円
- 10月:1バーツ=4.46~4.80円
- 11月:1バーツ=4.42~4.76円
- 12月:1バーツ=4.38~4.74円
結論:ChatGPT・Perplexityと同様に緩やかな円高・バーツ安方向を予想しますが、介入効果の一時性と日米金利差の根強さを考慮し、上限をやや高めに設定しています。MUFG予想(年末158円)とKrungsri予想(ドルバーツ32〜34バーツ)を組み合わせた理論値(4.65〜4.94円)と整合的なレンジです。
AI5社の予想を比較すると
12月の予想レンジを並べると、5社の特徴が見えてきます。
- Gemini:4.35~4.85円(円高予想も円安方向への振れ幅を最も大きく見ている)
- ChatGPT:4.35~4.72円(円高が最も速いペース)
- Perplexity:4.35~4.72円(ChatGPTと同じ予想)
- Grok:4.48~4.72円(上限はChatGPT・Perplexityと同じ。下限は最も高く、円高が限定的)
- Claude:4.38~4.74円(上限が最も高く、円安も考慮)
5社すべてが「緩やかな円高・バーツ安」という方向性では一致しています。ただし、過去の答え合わせが示す通り、AIの予想は急激な政策変更や介入を正確に捉えることが難しいため、参考情報の一つとしてご活用ください。
タイの大手メディアおよび現地メディアの報道をもとにまとめています。
大手金融機関・メディアの最新発表(2026年7月末時点)
大手金融機関はタイバーツ⇔円を直接予想するのではなく、ドル円(USD/JPY)とドルバーツ(USD/THB)を別々に予想しています。円・バーツの理論値は「ドル円÷ドルバーツ」で計算できます。
MUFG(三菱UFJ銀行)
- 2026年9月末:1ドル=160円
- 2026年12月末:1ドル=158円
- 2027年3月末:1ドル=156円
短期的には米国の高金利がドルを支えるものの、日銀の追加利上げ観測や為替介入への警戒から、年末へ向けて円が緩やかに回復するとみています。
Reuters 金融機関調査
- 2026年9月末(中央値):1ドル=159円
- 2026年12月末(中央値):1ドル=156円
- 日銀の追加利上げ予想:回答者の過半数が2026年12月までに実施と予想
Krungsri(アユタヤ銀行)
- 2026年第4四半期のドルバーツ:1ドル=32〜34バーツを予想
- タイの観光シーズン(Q4)がバーツの下値を支える要因になると分析
UOB
- 2026年12月末のドル円:1ドル=154円
- 2026年12月末のドルバーツ:1ドル=31.3バーツ
- 計算上の円バーツ:154円÷31.3バーツ=約4.92円
ただしUOBの予想は7月末の介入報道前に作成された可能性があり、今後修正される場合があります。
カシコン銀行(KBank)リサーチ
- タイ中央銀行(BOT)の政策金利は1.00%で安定推移
- バーツ相場は対ドルで底堅く安定(33.5バーツ前後)と予想
- 米国の為替監視対象国リストからのタイ除外の可能性を示唆
金融機関の予想から円バーツを計算すると
- MUFGとKrungsriの組み合わせ(年末158円÷32〜34バーツ):約4.65〜4.94円
- ReutersとKrungsriの組み合わせ(年末156円÷32〜34バーツ):約4.59〜4.88円
- UOB(154円÷31.3バーツ):約4.92円
大手金融機関の予想を総合すると、2026年末の円・バーツはおおむね1バーツ=4.6〜4.9円前後を想定する見方が中心です。AI5社の予想(12月:4.35〜4.74円)は、これら金融機関の見通しよりもやや円高・バーツ安寄りの数字となっています。金融機関の予想はより慎重に(円高が限定的に)見ている傾向がある点が特徴的です。
まとめ
今回の答え合わせでは、AIが予想しにくいのは「急激な政策変更や介入」であることが改めて示されました。2026年7月の163円→157円という急反転は、いずれのAIも事前には捉えられていませんでした。2026年下半期については、AI5社・大手金融機関ともに「緩やかな円高・バーツ安」という方向性では一致していますが、その幅・ペースについては見方が分かれます。AI5社の12月予想レンジを並べると4.35〜4.74円、大手金融機関の計算値では4.59〜4.94円と、金融機関の方がやや円安方向に見積もっています。
在タイ日本人や駐在者の立場から一言付け加えると、今年は本当に予測が難しい年だと感じています。163円台という約40年ぶりの水準を記録した後、わずか数日で157円台まで戻るという動きは、AIはもちろん大手金融機関も正確には予測できませんでした。実生活への影響を最小化するためには、特定の予想に頼りすぎず、まとまった両替や送金のタイミングを分散させる「コスト平均法」的なアプローチが、引き続き有効かもしれません。次回の答え合わせも楽しみにしています。
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免責事項
本記事には、複数のAIによる為替レートの分析・予想が含まれています。これらは2026年8月初旬時点で入手可能な公開情報を基に生成されたものですが、将来の為替レートを保証するものではありません。為替相場は、経済状況、金融政策、地政学リスクなど、予測不可能な多くの要因によって変動します。本記事の情報は投資助言を目的としたものではなく、あくまで参考情報の一つです。金融取引に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行っていただきますようお願いします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 前回の予想はどれが一番当たっていましたか?
第1回(2025年10月)では、「バーツ高・円安が続く」と予想したPerplexityが方向性として最も近かった結果となりました。第2回(2025年12月)では、ChatGPTが介入後の水準(4.65〜4.70円)と最も近いレンジを示していました。ただしいずれも、7月末の急激な円高反転は捉えられていませんでした。
Q2. 今回Claudeの予想が追加されましたが、他のAIとの違いは?
ChatGPT・Perplexityと同じ「緩やかな円高・バーツ安」方向ですが、Claudeは介入効果の一時性と日米金利差の根強さを考慮し、上限を最も高く(円安方向への振れ幅を大きく)設定しています。Grokは5社の中で最もレンジが狭く、安定的な展開を予想している点が特徴的です。
Q3. 大手金融機関とAIの予想では、どちらを参考にすべきですか?
どちらも将来を保証するものではありません。大手金融機関はドル円・ドルバーツを別々に予想しており、その組み合わせからバーツ円を計算する必要があります。AIはより直接的な数値を出しますが、急激な政策変更への対応が遅れる傾向があります。複数の情報源を参照した上で、ご自身で判断することが重要です。
出典・参考サイト
- MUFG Research「Monthly Foreign Exchange Outlook July 2026」
- Reuters「Dollar bulls gain ground even as most FX strategists still expect weakness」
- Nation Thailand「Baht Slides to 15-Month Low as Krungsri Unveils Multi-Currency FX Strategy for 2026」
- UOB Group Research「UOB House View」
- Reuters「Bessent’s ‘to do’ list: buy $5-10 billion worth of Japanese yen」

Keita Satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
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