日本や世界各国が「3〜7日分の食料備蓄」を推奨、その理由とタイ在住者が注意すべきこと
イギリス、日本、アメリカ、スウェーデンなど世界各国で、国民に対して3〜7日分の食料・飲料水・医薬品などの非常用物資を備蓄するよう呼びかける動きが広がっています。これは戦争の警告ではなく、異常気象や洪水、停電、サイバー攻撃などによる一時的なインフラ機能停止に備えるための標準的な防災対策です。一方で、「タイ政府が中東情勢を理由に72時間分の備蓄を命じた」という情報も出回っていましたが、この点についてタイ国家安全保障会議(NSC)が本日10月29日、正式に否定しています。この記事では、各国の備蓄推奨の背景と、タイ在住者が注意すべき点を整理してお伝えします。

なぜ各国が「3〜7日分の備蓄」を呼びかけているのか
報道によると、最大の理由は、災害や大規模停電が発生した際、政府や救助機関がすべての家庭にすぐ支援物資を届けられるとは限らないためです。洪水によって道路が寸断されれば、食料が不足していなくてもスーパーへの配送が止まったり、住民が買い物に行けなくなったりします。また、停電や通信障害が発生すると、電子決済、銀行ATM、携帯電話、給水設備などが利用できなくなる可能性があります。
国別の備蓄推奨期間
- イギリス:最低3日間(豪雨、洪水、停電、通信障害への備え)
- 日本:最低3日間、できれば7日間(大地震、津波、広域災害への備え)
- アメリカ:最低3日間(自然災害、停電など)
- スウェーデン:最低7日間(災害、停電、サイバー攻撃、戦争への備え)
- フィンランド:72時間(災害、インフラ停止などへの備え)
報道によると、イギリス政府は2026年10月22日に「Be Ready」という防災キャンペーンを開始しました。家庭に3日間分の飲料水と保存食を確保してもらう取り組みで、政府調査では、生活に必要なサービスが停止した緊急事態に十分備えられていると感じる人はわずか13%だったとされています。
日本では、細野豪志防災担当大臣が10月26日、11月2日の防災庁発足にあわせて、国民に食料・水・簡易トイレなどの備えを呼びかける方針を説明しています。日本政府は以前から、最低3日分、できれば1週間分の家庭備蓄を推奨しています。
タイ政府は本当に72時間の備蓄を命じたのか
報道によると、タイ国家安全保障会議(สภาความมั่นคงแห่งชาติ:สมช.)は10月29日、「中東情勢に備えて国民に72時間分の食料、医薬品、生活必需品を備蓄するよう呼びかけた」という情報は事実ではないと発表しました。国家安全保障会議および同会議事務局長はそのような警報や備蓄要請を出しておらず、一方で中東情勢を継続して監視し、必要な対応を検討しているとも説明しています。
つまり、「タイ政府が戦争に備えて72時間分の備蓄を命令した」という情報は事実ではありませんが、「洪水や停電に備えて各家庭が72時間分の備蓄をしておく」ことは合理的な防災対策として引き続き推奨されています。この二つを混同しないことが重要です。
タイの国家災害保険制度
報道によると、タイ政府は2026年10月27日の閣議で、国民向け災害保険の予算上限を155億バーツから165億5,000万バーツに引き上げることを承認しました。ただし、これは当初の住宅保険料の予算計算にVAT(付加価値税)7%が含まれていなかったことへの対応であり、対象住宅数を増やしたり、1戸当たりの保険金上限を引き上げたりしたものではありません。
補償内容
- 対象:約3,000万世帯
- カバー範囲:洪水、暴風雨、地震
- 住宅被害の補償:1世帯あたり最大10万バーツ
- 死亡見舞金:1人あたり200万バーツ
- 保険期間:2026年10月1日〜2027年10月1日
被災した場合は、写真、所有権などを確認できる書類、PromptPay口座などの情報を準備のうえ、Thai NATCAT公式サイトやLINE(@ThaiNATCAT)、電話(02-012-5555)、現地の被災者受付窓口から申請する案内となっています。政府は初期補償を15日以内に支払う方針としていますが、実際の支払日や金額は確認手続きなどによって異なる可能性があります。
在タイ日本人も補償対象になるのか
この点はまだ注意が必要です。政府は約3,000万戸の住宅を対象とすると説明していますが、外国人個人や賃貸住宅の入居者がどのような条件で直接保険金を請求できるかについて、現時点で確認できた公式資料だけでは確定できません。特に日本人駐在員の賃貸コンドミニアムについては、建物の所有者、住居の登録状況、保険契約の対象範囲を個別に確認する必要があります。「タイに住む日本人も自動的に10万バーツもらえる」と考えるのは適切ではありません。
タイ在住者が備えておきたいもの
タイ政府による大々的な備蓄キャンペーンは行われていませんが、タイ国内でも洪水や停電等のリスクは日常的に存在します。戦争などを過度に恐れてパニック買いをする必要はなく、日常の買い物の中で徐々に72時間(3日)分の基本物資を準備することが推奨されています。
- 飲料水(1人1日3リットルを目安に、3日分なら9リットル)
- 缶詰、レトルト食品、乾パンなど冷蔵・調理不要の食品
- 常備薬、救急用品、衛生用品(高齢者・子供用を含む)
- 懐中電灯、予備電池、モバイルバッテリー
- 手回し・電池式ラジオ
- 重要書類のコピー、緊急連絡先、家族の避難計画
一度に大量購入する必要はなく、まず家にあるものを確認し、日常の買い物で不足分を少しずつ追加する方法が推奨されています。また、72時間分の備蓄があっても、洪水の危険が迫る自宅にとどまってよいわけではありません。バンコクのコンドミニアムでも停電時にエレベーターや給水ポンプが止まる可能性があるため、建物の避難経路や管理事務所の連絡先、家族との連絡方法も確認しておくと安心です。
タイの大手メディアの報道をもとにまとめています。
まとめ
イギリスや日本、アメリカ、スウェーデンなど世界各国が、災害や停電などに備えた3〜7日分の家庭備蓄を推奨しています。「タイ政府が中東情勢を理由に72時間備蓄を命じた」という情報は、タイ国家安全保障会議が10月29日に正式に否定しました。一方で、タイでも洪水や停電のリスクは日常的にあるため、72時間分程度の基本物資を日常の買い物の中で少しずつ準備しておくことは有効な防災対策です。
ネットやSNSでは様々な憶測が飛び交っていますが、個人的には昨今の世界的なハッキング被害やPHPの脆弱性をついた攻撃などで金融機関や物流がストップしてしまう可能性は十二分に考えられると思います。今後は自然災害や軍事的な衝突だけではなくサイバー攻撃による被害などによって影響がでるエリアもあるのかもしれません。
FAQ
タイ政府は本当に72時間分の食料備蓄を命じたのですか?
報道によると、タイ国家安全保障会議は10月29日、そのような備蓄要請や警報を出していないと正式に否定しています。
タイの災害保険は手厚くなったのですか?
報道によると、予算上限の引き上げはVAT計算の修正によるもので、対象世帯数や補償額が拡大されたわけではありません。
在タイ日本人も災害保険の対象になりますか?
報道によると、外国人や賃貸住宅入居者がどのような条件で補償を受けられるかは、現時点の公式資料だけでは確定できません。個別に建物の保険契約の対象範囲を確認する必要があります。
タイ在住者はどれくらいの備蓄をすればいいですか?
報道によると、72時間(3日)分の飲料水・食料・医薬品・防災グッズを目安に、日常の買い物の中で少しずつ準備することが推奨されています。
出典・参考サイト
- The Nation(2026年10月29日)
- Thai PBS(2026年10月29日)
- Khaosod(2026年10月29日)
- Isranews(2026年10月27日)
- タイ政府公式発表(2026年10月1日)
- 英国政府(2026年10月22日)
著者プロフィール

Keita Satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
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