タイ警察がドイツ人観光客の迷惑行為にテーザー銃を発射 バンコク・カオサン通り
バンコクの繁華街カオサン通りで、酒に酔ったドイツ人男性観光客が周囲に迷惑行為を繰り返し、警察官がテーザー銃(電気ショック銃)で制圧する騒動がありました。カナダ人観光客側は人種差別的な暴言やヒトラーを称賛するような言動があったと訴えていますが、男性は逮捕されないままその場で解放されています。
事件は9月10日朝に起きたもので、現地メディアが9月19日に報じました。何があったのか、経緯を整理します。
事件の概要
事件が起きたのは、バンコク都プラナコーン区のカオサン通り沿いの飲食店前です。
管轄はチャナソンクラーム警察署で、報道によると発生は9月10日の朝でした。
トラブルの当事者は、酒に酔っていたとみられるドイツ人男性観光客と、トロント出身のカナダ人男性(34歳)、および同行していたオーストラリア人の友人2人です。
現場で何があったのか(カナダ人男性側の主張)
報道によると、カナダ人男性らがカオサン通りの飲食店で食事をしていたところ、酒に酔ったドイツ人男性が近づいてきたとされています。以下は、カナダ人男性側の証言として報じられている内容です。
- グループの席に加わろうとし、アドルフ・ヒトラーに関する本を見せようとした
- 「離れてほしい」と伝えても近づき続けた
- 人種差別的な発言を繰り返した
- ナチスの鉤十字(スワスティカ)が描かれたマグカップを持って再び現れた
- ヒトラーを称賛する言葉を叫び、ナチス式敬礼を行った
- 酒瓶を割るなどの行為をした
これらはあくまでカナダ人男性側の証言や現場映像に基づく報道内容であり、すべてが警察によって確認された事実ではない点に注意が必要です。
なぜテーザー銃が使用されたのか
周辺の住民が警察に通報し、警察官4人ほどが現場に到着しました。警察官が双方を引き離そうとする中でも、ドイツ人男性がカナダ人男性側へ近づこうとしたため、警察官の1人がテーザー銃を発射したと報じられています。
報道によると、テーザー銃は人種差別発言そのものへの制裁として使われたのではなく、接近を続ける男性を制止し、衝突を防ぐための措置だったとみられています。
警察の説明
チャナソンクラーム警察署の副署長は、警察官が現場に到着した時点では、誰が先にトラブルを起こしたのか、誰が被害者で誰が加害者なのかを判断できなかったと説明しています。
警察は、双方が瓶を投げ合っていたことは確認したものの、相手に命中していなかったこと、また殴る・蹴るといった暴力行為そのものは目撃していないことも明らかにしています。
なぜ逮捕されなかったのか
警察が到着した時点で、両者はいったん「トラブルは終わりにする」という姿勢を見せ、その場での告訴の意思も確認できなかったため、ドイツ人男性は逮捕されずに解放されました。
カナダ人男性は後日、警察署を訪れて苦情を申し立てましたが、その後の詳しい供述聴取には戻らなかったとされています。警察側も暴行の瞬間を直接確認していなかったことから、事件としての立件・追及は見送られ、現時点で捜査は進められていません。
テーザー銃の使用と逮捕は別問題
テーザー銃の使用は、犯罪への罰ではなく、現場での衝突を防ぐための制圧手段です。そのため「テーザーを撃たれた=有罪」「逮捕される」とは必ずしも結びつきません。刑事事件として立件するには、暴行や脅迫などを裏付ける証拠や供述が別途必要になります。
旅行者・在住者へのポイント
カオサン通りをはじめとするナイトライフエリアでは、飲酒によるトラブルが起きやすい環境にあります。同様の場面に遭遇した場合の対応をまとめました。
- 相手と口論を続けず、その場から離れる
- 人種・宗教・政治に関する発言で応酬しない
- 店員や警備員に早めに助けを求める
- 人の多い場所へ移動する
- 相手を刺激しないよう、撮影は控えめにする
- 暴行や脅迫があれば191(警察)へ通報する
- 観光客向け相談窓口の1155(ツーリストポリス)も活用できる
- けがや破損があれば写真・動画・証人情報を残しておく
タイの大手メディアおよび現地メディアの報道をもとにまとめています。
まとめ
今回のトラブルは、酒に酔ったドイツ人男性がカナダ人観光客に人種差別的な発言やナチスを称賛するような言動をしたと訴えられた事案です。警察官がテーザー銃で制圧したものの、暴行の現場を直接確認できなかったことなどから、男性は逮捕されず、現時点で捜査も進んでいません。
カオサン通りは日本人旅行者にもなじみのあるエリアです。深夜の飲酒トラブルに巻き込まれた場合は、議論で解決しようとせず、早めに周囲や警察の助けを借りることが大切です。
タイには多くの国からの旅行者が訪れます。タイでも日本と同様政治や宗教やひいきのプロスポーツチームの話をするのをタブーとするケースもあります。
私の体験では、ナポリ出身のイタリア人オーナーのイタリアンレストランで、マラドーナについて賞賛したら、お酒をご馳走してもらった経験があります。ナポリにとってのマラドーナは、いわば阪神におけるバースのような存在で、弱かったクラブを頂点に導いた特別な英雄です。逆に相手の主義や主張はつかず離れず尊重する。そんな多様性が要求されるのかもしれません。
タイに駐在・在住していると、カオサン通りのようなバックパッカーエリアで似たトラブルの話を耳にすることは少なくありません。旅行者同士の泥酔トラブルは、国籍や立場に関係なくどこでも起こり得るため、「巻き込まれない・関わらない」という距離感を持っておくことが、現地で長く暮らす上でのひとつの知恵だと感じます。
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よくある質問(FAQ)
Q1. なぜテーザー銃を撃たれたのに逮捕されなかったのですか?
警察が到着した時点で、誰が加害者・被害者かを特定できず、双方に告訴の意思も確認できなかったためです。テーザー銃は罰ではなく、接近を止める制圧手段として使われました。
Q2. ドイツ人男性の人種差別発言は事実として確定していますか?
現時点ではカナダ人男性側の証言や映像報道に基づく内容であり、警察が発言内容を正式に確認したわけではありません。
Q3. ナチス式敬礼をした場合、タイでは罪にならないのですか?
ナチスの象徴の使用や敬礼はドイツ国内では厳しく規制されていますが、タイ国内での規制は同様ではありません。今回、警察が重視したのは暴力行為の有無や誰が加害者・被害者かという点です。
Q4. 現在、事件の捜査は続いているのですか?
報道時点では、被害を訴えた側が追加の供述聴取に戻らなかったこと等から、本格的な捜査は行われていません。
Q5. カオサン通りは危険なエリアなのですか?
今回の事件はカオサン通り全体が危険であることを意味するものではありません。ただし、深夜の飲酒エリア特有のトラブルが起きやすい点には注意が必要です。
出典・参考サイト
- ASEAN NOW「Bangkok police Taser German tourist on Khao San Road」
- New York Post「Drunk tourist tasered by cops after allegedly hurling racist insults, praising Adolf Hitler」
- IBTimes UK(カオサン通りのテーザー銃使用に関する報道)
著者プロフィール

Keita Satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。

