タイのトップアイドルLISAがテレビでビールを飲み炎上 タイではなぜこの騒動が起こるのか?
世界的な人気を誇るタイ出身のアイドルLISA(BLACKPINK)が、米国の
人気トーク番組でタイのビールを飲んだことをきっかけに、タイ国内で
「酒類規制法に違反しているのではないか」という議論が巻き起こり
ました。タイの公衆衛生大臣が公式に見解を示す事態にまで発展して
います。

出典:youtube(The Tonight Show Starring Jimmy Fallon)
出典:youtube
発端
報道によると、LISAは米NBCの人気トーク番組『ザ・トゥナイト・
ショー・スターリング・ジミー・ファロン』に出演した際、タイ料理の
ソムタムを紹介し、さらに「タイのビール、韓国の焼酎(ソジュ)、
スプライト」を混ぜた特製ドリンクを持参しました。司会のジミー・
ファロンにタイ語で「飲み干せ・乾杯」を意味する「モット・ケーオ
(หมดแก้ว)」を教え、2人でグラスを交わして飲み干す場面がありました。
この際、スタジオのテーブルにタイ産ビールのボトルや銘柄ラベルが
映り込んでいたことから、タイのSNS上で議論が過熱しました。
なぜ「ビールを飲んだだけ」で炎上するのか
日本の感覚では、テレビで酒を飲む場面は珍しくありません。しかし
タイには、世界でも屈指の厳格なアルコール飲料規制法(仏暦2551年
法第32条)が存在します。
- 広告・宣伝の全面禁止:酒類のCMや広告が厳しく禁じられており、
ボトル・ラベル・ロゴを公に見せることや、直接的・間接的に飲酒を
誘引する行為が違法とみなされます - 一般人のSNS投稿も対象:芸能人に限らず、一般人でも銘柄が分かる
写真や「美味しい」といった投稿だけで、最高50万バーツ(約200万円
超)の罰金や拘禁刑の対象になり得ます - 徹底したメディア規制:タイ国内のテレビ番組・映画・アニメでも、
酒瓶やグラスには強力なモザイク処理が施されます
「宗教上のタブー」でも「アイドルの品行問題」でもない
タイトルだけを見ると、「上座部仏教の戒律に反した」「アイドルとして
飲酒するのはふさわしくない」という道徳的な話に聞こえるかもしれません。
しかし今回の論争の核心は、そのどちらでもありません。
タイ公衆衛生省が問題にしているのは、あくまで「酒類の広告・宣伝を
禁じる法律に抵触するかどうか」という法解釈上の論点です。仏教的な
戒律違反や、LISA個人の品行・道徳性を問題視しているわけではあり
ません。実際、大臣自身も「飲酒そのものを禁じているのではなく、
広告・宣伝を禁じている」と明言しており、これは宗教論でも人格攻撃
でもなく、純粋に法律の適用範囲をめぐる議論です。
実際、世論の多数派もLISAを擁護しており、「タイの食文化・乾杯文化を
世界的な番組で広めてくれた」と好意的に受け止める声が圧倒的でした。
つまりこの騒動は「LISAが批判されている」という話ではなく、「法律の
適用範囲が、海外での行為にも及ぶのかどうか」という制度論なのです。
当局の見解:「海外での行為であり違法ではない」
公衆衛生大臣のパッタナー・プロムパット氏は、「タイの法律は飲酒
そのものを禁じているのではなく、広告・宣伝を禁じている。今回の
収録・放送は米国内で行われたものであり、LISAの個人的な振る舞いで
商品宣伝の意図もないため違法ではない」と明言しました。
タイ社会の反応:擁護の声が圧倒的
世論では、法厳格派や保守層から「若者への悪影響」「法律の抜け穴を
助長する」との懸念も出ましたが、市民や著名人、有名弁護士からは
「タイの食文化や乾杯文化を世界トップの番組で広めてくれたのに、
国内の時代遅れな法律で足枷をはめるのは恥ずかしい」とLISAを擁護
する声が圧倒的だったとされています。
LISAはタイで国民的英雄的な存在であり、政府公認の観光アンバサダーも
務めています。象徴的な存在だからこそ、些細な行動が国家的な法律論争
に直結してしまう構図があるといえます。
在住者・旅行者への注意点
タイ当局は、「海外でのLISAの行為は問題ないが、タイ国内の一般人や
インフルエンサーが同じカクテルを真似してビール瓶を露出した動画を
SNSに投稿すれば、摘発対象になり得る」と警告しています。
- タイ国内でSNSに酒の写真・動画を投稿する際は、銘柄・ロゴが
はっきり写らないよう注意する - 「美味しい」「おすすめ」等、飲酒を誘引すると取られかねない文言も
避けた方が安全です - 今回の一件は「海外での出来事だから問題ない」という当局判断であり、
タイ国内での投稿には引き続き厳格な規制が適用される点に注意が
必要です
タイの大手メディアおよび現地メディアの報道をもとにまとめています。
まとめ
LISAが米国の人気トーク番組でタイビールを飲んだ場面をきっかけに、
タイの厳格な酒類広告規制法をめぐる議論が起こりました。公衆衛生
大臣は「海外での個人的な行為であり違法ではない」と明言し、世論も
LISAを擁護する声が大半でした。一方で、タイ国内でのSNS投稿には
引き続き厳しい規制が適用される点に変わりはなく、在住者・旅行者は
注意が必要です。
職業柄、飲食店の広告のお手伝いをすることもありますが、タイのアルコール広告の規制は
日本とはまったく違います。過去には店内のポスターやメニューの画像で罰金を要求されたというニュースを目にしたこともあります。国や文化が変わればルールも変わる点に注意して、
旅行や長期滞在を楽しみたいものです。
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よくある質問(FAQ)
Q1. LISAは仏教の戒律に違反したのですか?
いいえ。今回の論争は宗教的な戒律違反ではなく、タイの酒類広告・
宣伝規制法に抵触するかどうかという法解釈上の議論です。
Q2. LISAはアイドルとしてふさわしくないと批判されているのですか?
いいえ。世論の多数派はLISAを擁護しており、個人の品行や道徳性を
問題視する声が主流というわけではありません。
Q3. LISAは処罰されるのですか?
いいえ。公衆衛生大臣が「海外での個人的な行為であり違法ではない」
と公式に明言しています。
Q4. 同じことをタイ国内でSNSに投稿しても大丈夫ですか?
いいえ。当局はタイ国内での模倣投稿(ビール瓶が写る動画等)は
摘発対象になり得ると警告しています。
出典・参考サイト
- Thai PBS World:Health Minister clarifies LISA’s beer moment on US talk show does not violate Thai law
- ไทยรัฐ(Thairath):สธ.แจง ลิซ่า จิบเบียร์ในรายการดัง ไม่ผิดกฎหมายไทย
- The Nation Thailand:LISA’s Tonight Show beer cocktail sparks debate over alcohol advertising law
- youtube(The Tonight Show Starring Jimmy Fallon)

Keita Satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、
ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、
日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー
約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、
各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
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