タイの汚職認識指数が過去19年で最低 経済損失は年2.5兆円 ASEANでも下位に
先日発表された汚職認識指数(CPI)は過去19年で最悪。かつて「発展途上」と見ていた近隣諸国にも抜かれ、ASEANでも下位クラス。その経済損失は国家予算レベルに達しているとも言われています。
タイの大手メディアなどの報道を基に、この深刻な事態と、我々在住日本人の生活やビジネスに迫るリスクについて解説します。
19年で最低水準…「汚職大国」への転落
国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナルが発表した2025年版「汚職認識指数(CPI)」の結果は、タイ政府にとって「不都合な真実」そのものでした。
- スコア:33点(100点満点中)
- 順位:116位(182か国中)
これは過去19年間で「最低」の数字です。2022年の36点から回復するどころか、年々悪化の一途をたどっています。
このスコアは過去19年間で最低であり、順位も年々下落し続けています。
出典:Nation Thailand / Transparency International
屈辱のASEAN順位:ベトナム・ラオス以下に
タイ人にとっても、我々在住者にとっても衝撃的だったのは、ASEAN域内での順位です。
かつてはシンガポール、マレーシアに次ぐポジションでしたが、2025年の結果では完全に逆転されています。
ASEAN諸国 汚職認識指数(2025年)ランキング
- 1位:シンガポール(84点 / 世界3位)
- 2位:ブルネイ(63点 / 世界31位)
- 3位:マレーシア(52点 / 世界54位)
- 4位:東ティモール(44点 / 世界73位)
- 5位:ベトナム(41点 / 世界81位)
- 6位:インドネシア(34点 / 世界109位)
- 7位:ラオス(34点 / 世界109位)
- 8位:タイ(33点 / 世界116位)※過去最低を更新
- 9位:フィリピン(32点 / 世界120位)
- 10位:カンボジア(22点 / 世界163位)
- 11位:ミャンマー(16点 / 世界169位)
ご覧の通り、ベトナムやインドネシア、さらにはラオスよりも「汚職がひどい」と評価されました。これはタイの国際的な信用にとって致命的なダメージです。
日本は 18位(182か国・地域中)、スコアは 71/100 です。
2025年 汚職認識指数(CPI)世界トップ10
- 1位:デンマーク (89点)
- 2位:フィンランド (88点)
- 3位:シンガポール (84点)
- 4位:ニュージーランド (81点)
- 4位:ノルウェー (81点)
- 6位:スウェーデン (80点)
- 6位:スイス (80点)
- 8位:ルクセンブルク (78点)
- 8位:オランダ (78点)
- 10位:ドイツ (77点)
- 10位:アイスランド (77点)
経済損失は年間2.5兆円規模
この汚職問題、単なるモラルの話ではありません。私たちの財布や会社の利益に直結する「コスト」の話です。
タイ工業連盟(FTI)などの試算によると、汚職による経済損失は年間約5,000億バーツ(日本円で約2.5兆円※)に上ります。
※2026年2月レート換算目安
本来ならタイのGDPはもっと成長できたはずですが、その成長分の約2%が賄賂によって消えている計算です。
特に公共事業では、プロジェクト予算の20〜30%が「アンダー・ザ・テーブル(裏金)」として支払われるのが常態化しているとの指摘もあります。
なぜここまで悪化したのか?
タイ汚職防止機構(ACT)は、過去3代の政権が有効な対策を打てず「放置」してきた結果だと批判しています。
さらに深刻なのが「グレー資本(灰色の資本)」の流入です。
法の抜け穴を突き、中国系を中心とした違法ビジネスや詐欺グループがタイ国内に深く浸透。これを取り締まるべき警察や司法への信頼も揺らいでいるのが現状です。
まとめ
「自分は真面目にやってるから関係ない」とは言っていられません。国の透明度が下がると、現場の役人の「裁量権」が悪用されやすくなるからです。
正規のルートでは進まない案件が、「特急料金」という名の袖の下で解決されるケースが増えるリスクがあります。
また、「アジアの病人(Sick man of Asia)」というイメージが定着すれば、日系企業の新規進出が減り、駐在員コミュニティが縮小する可能性も。
また、タイ在住の経営者が集まる会食の場でも、「タイで『きちんとする』ということは、払うべき所にきちんと支払う(=賄賂)ことだ」という話を聞いたことがあります。
この記事を書いた人

keita satou : バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,700人)をはじめ、複数のSNSで合計7万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
- ライター紹介:https://enjoy-bkk.com/about/
- Facebook:https://www.facebook.com/thaimlinebkk
出典
- The Nation Thailand
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