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タイが「迷惑・違法行為」の外国人に厳格対応へ入国管理・退去措置を強化

イの空港で入国審査官に制止される外国人旅行者と、拘束されて連行される外国人を描いたイメージ画像(タイ入国管理・退去措置強化のイメージイラスト)
keita satou

タイ政府は、迷惑行為や違法行為をする外国人に対する入国管理・退去措置を、これまでより厳しく運用する方針を示しています。

背景には、外国人による犯罪、公共の場での騒動、タイ人への侮辱、違法就労や違法ビジネスへの不満が高まっていることがあります。

「態度が悪いだけで強制送還されるのでは」といった声も見られますが、実際の運用はもう少し複雑です。今回はバンコク在住者の視点から、何が変わり、旅行者・在住者は何に注意すべきかを整理します。

何が変わったのか

タイが迷惑行為や違法行為を行う外国人への対応を厳格化し、入国管理・退去措置を強化した内容を解説する日本語インフォグラフィック
タイの入国管理・退去措置強化について、対象となりやすい行為、退去・送還の流れ、旅行者・在住者の注意点を分かりやすくまとめたインフォグラフィック

2026年8月28日、首相府による「退去・送還に関する規則」が施行されました。報道によると、外国人が次のような行為をした場合、ビザの取消し、退去命令、国外退去、再入国禁止につながる可能性があります。

  • 公共の秩序を乱す
  • 他人を脅す、攻撃的に振る舞う
  • 公共の場で騒ぎを起こす
  • タイの文化や社会規範を侮辱する
  • タイ人住民や他の旅行者に迷惑をかける
  • タイの法律に違反する、不法滞在・オーバーステイをする
  • 無許可で働く、外国人事業法に違反して事業を営む
  • 偽造書類を作成・使用する
  • 5年以上の懲役刑が定められた犯罪を犯す

厳格化のきっかけとなった具体的な事例

今回の規則は、特定の一つの事件だけを受けて作られたものではなく、複数のトラブルが積み重なった結果とされています。報道によると、代表的な事例は次のとおりです。

プーケットでのトゥクトゥク内わいせつ行為

2026年5月、プーケットで走行中のトゥクトゥク車内でわいせつな行為をする様子がSNSに投稿され、大きな批判を集めました。報道によると、警察はスペイン国籍の男性とペルー国籍の女性を特定して拘束し、2人は公然わいせつで罰金処分を受けた後、プーケット入管がタイの公序良俗に反し観光地のイメージを著しく損なったと判断して国外退去処分としました。再入国禁止のブラックリスト登録も進められているとされています。

プーケット・サムイ島での外国人グループの騒動

政府は2026年8月、プーケットとサムイ島で、地元住民や他の観光客への迷惑行為、攻撃的な振る舞い、公共の場での騒動などについて報告が相次いでいると説明しました。報道の中には特定の国籍の観光客グループに関する報告も含まれていましたが、政府や報道自体も「その国籍の観光客全体が問題を起こしている」という意味ではなく、問題になっているのは特定の個人やグループの行為であると強調しています。

観光ビザでの就労・違法ビジネス

スラートターニー県のパンガン島、サムイ島、タオ島などでは、観光ビザで長期滞在しながら実際には働いている、あるいはタイ人名義を使って実質的に事業を営んでいるケースが問題視されています。こうしたケースでは、迷惑行為がなくても、ビザや労働許可の違反そのものが国外退去の対象になり得ます。

地元住民への威圧行為

内務省は、外国人がタイ人住民を威嚇したり、公共の場所で攻撃的に振る舞ったりするケースについて、厳しく対応するよう地方当局に指示しています。酒に酔って住民や店員を脅す、警察官の指示に従わない、店舗やホテルで暴力・器物損壊を行うといった行為が問題とされています。

「態度が悪いだけで即退去」なのか

ここは、報道の見出しと法律の運用を区別する必要があります。政府は「攻撃的」「タイ文化を尊重しない」といった表現を使っていますが、単にタイ人と意見が合わなかった、店員と口論したというだけで、必ず即時送還されるという意味ではありません。

報道によると、実際には次のような事情が問題になりやすいと考えられます。

  • 暴力や脅迫を伴う
  • 周囲の安全を脅かす
  • 公共の場で大規模な騒動を起こす
  • 警察の指示に従わない
  • SNS上の動画などで行為が確認される
  • すでに犯罪歴や入管違反がある
  • 不法就労や違法営業と結びついている

退去・送還の流れ

典型的には、次のような流れになります。

  • 警察、入国管理局、観光警察などが事実を確認
  • 身柄の確保や事情聴取
  • ビザ・滞在許可の取消しを検討
  • タイからの退去命令または送還手続き
  • 送還後、ブラックリストへの登録
  • 一定期間、または実質的に再入国が困難になる

「永久に入国禁止」と報じられることもありますが、すべてのケースで自動的に永久禁止になるとは限りません。違反の内容や処分によって扱いが異なるため、「再入国禁止となる可能性がある」という表現が実態に近いと考えられます。

ビザ免除も60日から30日に短縮

2026年9月15日から、タイはそれまでの60日間のビザ免除制度を廃止し、新たな30日間のビザ免除制度へ変更しました。日本人も対象で、観光目的のビザなし入国は原則30日となっています。

ただし、「迷惑な外国人が増えたから60日を30日にした」と断定するのは正確ではありません。報道によると、タイ外務省が挙げている理由は、国家安全保障、観光・経済上の利益、相互主義、複数のビザ免除制度の重複整理、e-Visaの利便性など複数にわたります。

見えてきた「名義貸し(ノミニー)」問題

タイでは外国人が自由に営めない業種や、外国資本比率に制限のある事業があります。表面上はタイ人が株主になっているものの、実際には外国人が資金を出し、実質的に経営しているケースが問題視されています。プーケットやサムイ島など外国人が多い観光地では、こうした違法法人や不動産取得に対する調査が強化されています。

旅行者・在住者へのポイント

通常のマナーを守った旅行・生活をしている方が、過度に心配する必要はありません。一方で、次のような点には注意が必要です。

  • ビザ免除の滞在日数(現在は原則30日)を必ず確認する
  • ビザランの繰り返しや観光目的での実質的な就労を避ける
  • オーバーステイをしない
  • タイ人名義を使った実質的な会社経営を行わない
  • 公共の場でのトラブル・警察官への威嚇的な態度を避ける

タイの大手メディアおよび現地メディアの報道をもとにまとめています。

まとめ

今回のニュースは、「外国人旅行者全体を対象にした新しい禁止令」ではなく、プーケットでの公然わいせつ行為、島しょ部での違法就労・違法営業、地元住民への威圧など、複数のトラブルを受けて、問題行動を取る外国人へのビザ取消し・送還・再入国禁止をより迅速かつ厳格に適用するための運用強化と理解するのが適切です。

単なる「態度が悪い」という理由だけで即座に送還されるわけではなく、暴力・脅迫・違法就労・違法ビジネスなど、具体的な法律違反や公共の安全を脅かす行為が問題になっている点が重要です。

バンコクに長く住んでいる筆者の視点から見ても、近年は団体ツアーよりも個人旅行(FIT)が主流になり、旅行者一人ひとりの行動の自由度が増しています。その分、現地の法律や文化への理解が、これまで以上に大切になってきていると感じます。

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FAQ

Q. 態度が悪いだけで強制送還されますか?

単に意見が合わなかった、口論したという程度では、必ずしも即時送還されるわけではありません。暴力・脅迫・公共の安全を脅かす行為など、具体的な問題が伴う場合に退去措置の対象になりやすいとされています。

Q. ビザ免除の期間は何日に変わりましたか?

2026年9月15日から、60日間のビザ免除制度が廃止され、新たに30日間のビザ免除制度に変更されました。日本人の観光目的のビザなし入国も原則30日です。

Q. 観光ビザで働くとどうなりますか?

観光ビザでの就労や、タイ人名義を使った実質的な事業経営は、迷惑行為がなくてもビザ・労働許可の違反として国外退去の対象になり得ます。

Q. 今回の措置は特定の国籍を対象にしていますか?

タイ観光・スポーツ省は、特定の国籍を一括して問題視するのではなく、個別案件ごとに判断するという立場を示しています。

Q. 日本人旅行者・在住者が特に注意すべきことは?

ビザ免除の滞在日数の確認、オーバーステイの回避、観光目的での実質的な就労やビザランの繰り返しを避けることが重要です。通常のマナーを守った旅行・生活であれば過度に心配する必要はありません。

出典・参考サイト

  • ASEAN NOW「Thailand toughens stance on badly behaved visitors」
  • Nation Thailand「タイの新しい退去・送還規則および外国人トラブルに関する報道」
  • Thailand Law Online「国外退去に関する法律解説」
  • South China Morning Post(ASEAN NOW引用)「タイ社会での外国人問題を特集した分析記事」
  • NewsClip「プーケットのトゥクトゥク内わいせつ行為事件に関する報道」
  • Khaosod English「タイの新国外退去規則に関する報道」

著者プロフィール

タイムラインバンコク編集部keitasatouのアイコン

Keita Satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。

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Keita Satou
タイ在住ライター
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
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