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タイ商務省、日本との経済関係を「共創」へ格上げ 半導体・AI・次世代自動車など重点分野でJETRO・JCCと協議

タイ商務省、日本との経済関係を「共創」へ格上げ 半導体・AI・次世代自動車など重点分野でJETRO・JCCと協議(AI生成画像)
keita satou

タイのスパジー・スタムパン副首相兼商務相は2026年11月4日、日本貿易振興機構(JETRO)バンコク事務所、バンコク日本人商工会議所(JCC)の代表者、在タイ日系企業の経営幹部らと会談しました。タイ政府は、日本との経済関係を「投資パートナーシップ」から、技術・製品・新産業を共同開発する「戦略的ビジネスパートナーシップ」へ引き上げたいとの方針を示しました。半導体・AI・次世代自動車などの分野が重点として挙げられています。

会談に参加したのは誰?

タイ側からはスパジー・スタムパン副首相兼商務相が出席しました。日本側からは、JETROバンコク事務所の阿部一郎所長、バンコク日本人商工会議所(JCC)第62代会頭の近藤裕康氏、JCC加盟の日系企業幹部らが参加しています。

日本側は、2026年上半期の日系企業景気動向調査の結果を報告し、タイで事業を行う日本企業からの要望や投資環境に関する意見を伝えました。

「戦略的ビジネスパートナーシップ」とは?

今回の会談で繰り返し登場したキーワードが「Co-Creation(共創)」です。スパジー商務相は、日タイ関係を、日本企業がタイに工場を建てて製品を製造する従来の関係から、タイ企業と日本企業が技術・製品・新しい産業を共同開発する関係へ発展させたいと説明しました。

具体的には、日本側が技術やノウハウを提供するだけでなく、タイ側の企業と共同で研究開発、製造、事業化、海外販売に取り組むことが想定されています。商務相は、タイの中小企業(SME)を日本企業のサプライチェーンに組み込み、世界市場で事業を展開できるよう支援したいとも述べています。

協力が想定される重点分野

タイ側が日本とのCo-Creationを進めたいとして挙げた重点分野は、次のとおりです。

  • 次世代自動車(EV・電動化関連技術など)
  • 半導体
  • デジタル・AI(製造業DX、自動化、データ活用など)
  • フューチャーフード(高付加価値食品、食品加工技術など)
  • 高齢社会・シルバー経済(介護、健康管理など)
  • グリーン・循環型産業(省エネ、資源再利用など)

タイではこうした新たな成長分野を「New S-Curve」と呼んでおり、自動車組立・輸出中心の産業構造から、先端技術や高付加価値製品を生み出す産業構造への転換を目指しています。なお、各分野で具体的にどの事業が実施されるかはまだ決まっていません。

日本の総合商社とも連携へ タイ製品の海外販売を拡大

今回の会談では、日本の総合商社(Sogo Shosha)との連携も取り上げられました。タイ商務省は、日本の総合商社が持つ国際的な販売網や物流ネットワークを活用し、タイの中小企業の商品を海外へ販売する機会を増やしたい考えです。今後、JETROやJCCと連携して、日タイ企業のビジネスマッチング(商談会)を実施する方針も示されています。ただし、具体的にどの総合商社が参加するか、どの商品が対象かは今回の報道では明らかになっていません。

すでに始まっている共創の取り組み

今回の協議に関連する取り組みは、すでに一部で始まっています。JETROは2026年5月14日、バンコクで「日タイものづくり共創フォーラム」を開催し、次世代モビリティー、バイオ燃料、宇宙産業などをテーマに約100人が参加しました。さらに2026年9〜11月には、タイの製造業向けDX・AIソリューションを扱う日系企業向けのセミナーやビジネスマッチングも企画されています。今回の会談は、こうした既存の取り組みを政府間・産業政策レベルでも後押ししようとする動きといえます。

背景にある日系企業の景況感

今回の会談の背景として、JCCが2026年6月30日に公表した「2026年上期タイ国日系企業景気動向調査」(在タイ日系企業504社が回答)があります。業況感DI(業況が改善したと答えた企業の割合から悪化したと答えた企業の割合を差し引いた指標)はマイナスとなっており、景況感が悪化すると考える企業の方が多いことを示しています。JETROによると、原材料価格や物流コストの上昇、タイ国内需要の低迷、自動車関連産業の競争激化などが背景にあるとされています。一方で、半導体やデータセンター関連の需要には明るい動きも報告されています。なお、この数値は2026年6月時点の調査結果であり、11月4日の会談で新たに調査されたものではありません。

今回の協議で決まったこと・決まっていないこと

決まったこと

  • 日タイ間で、新産業でのCo-Creationを進める方向性を確認
  • タイ商務省がJETRO・JCCと連携し、有望産業の選定や協力枠組みの検討を進める意向を表明
  • タイ企業と日本企業のビジネスマッチングを準備する方針を提示

決まっていないこと

  • 新しい税制優遇措置
  • 規制緩和・法改正
  • 具体的な共同プロジェクトや投資額・契約内容
  • 外国人の就労資格・ビザ要件の緩和

つまり、今回の協議は政策の方向性を確認し、具体化に向けた検討を進める段階であり、大型投資案件の正式契約や新制度の施行が発表されたわけではありません。

在タイ日本人駐在員・日系企業への影響

短期的には、税制・ビザ要件・規制・補助金制度などに変更はなく、影響は限定的です。一方で中長期的には、新産業での日タイ共同事業の増加、タイの中小企業との連携機会の拡大、技術移転・人材育成の機会増加、タイ製品の輸出支援の強化などが見込まれます。

事業機会を探す場合は、JETROバンコク事務所が実施するセミナーや商談会の情報を確認し、自社の技術と現地企業のニーズが合致する分野を調べることが現実的です。2027年には日タイ外交関係樹立140周年を迎えるため、今回の協力方針が今後どのような具体的な事業に発展するかも注目されます。

タイの大手メディアおよび現地メディアの報道をもとにまとめています。

まとめ

今回の協議の核心は、タイ政府が日タイ関係を「製造拠点型」から「共創型」へ移行させたいと表明した点にあります。新しい税制優遇や規制緩和が決まったわけではありませんが、半導体・AI・次世代自動車といった重点分野での共同事業は、今後の日系企業にとって新たなビジネスチャンスにつながる可能性があります。今後は、対象産業の絞り込みや商談会の日程、具体的な共同開発プロジェクトの発表が注目されます。

新日国家と言われるタイとの戦略的ビジネスパートナーシップへの意向はタイ在住の日本人の私にとっても嬉しいニュースです。今後とも日本とタイが友好的で共創できる関係を築いていってもらいたいものです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 今回の協議で新しい税制優遇が決まったのですか?

いいえ。新しい税制優遇措置や規制緩和は、今回の協議では決定していません。今回は政策の方向性を確認する場でした。

Q2. 「Co-Creation(共創)」とは具体的に何を意味しますか?

日本企業がタイに工場を建てて製品を製造する従来の関係ではなく、タイ企業と日本企業が技術・製品・新しい産業を共同で開発・事業化していく関係を指します。

Q3. どんな分野で日タイ協力が想定されていますか?

報道によると、半導体・AI・次世代自動車・食品・高齢化社会関連産業・グリーン産業などが重点分野として挙げられています。ただし個別事業の実施が決定したわけではありません。

在タイの日本企業にはすぐに影響がありますか?

短期的な影響は限定的です。税制・ビザ要件・規制の変更はなく、具体的な補助金制度も今回は発表されていません。中長期的には、新産業での共同事業や技術移転の機会が増える可能性があります。

Q5. タイの中小企業(SME)はどう関わってきますか?

タイ商務省は、タイの中小企業を日本企業のサプライチェーンに組み込み、世界市場で事業を展開できるよう支援したい考えを示しています。日本の総合商社との連携による輸出拡大なども検討されています。

出典・参考サイト


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著者:Keita Satou
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。

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Keita Satou
タイ在住ライター
バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
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