大麻入りゼリーを食べた親子3人に健康被害 うち2名が一時昏睡状態に バンコクで無許可販売の店を摘発
タイ食品医薬品局(FDA)と中央捜査局(CIB)は11月1日、バンコク中心部の人気飲食エリア「バンタットーン通り」周辺の建物で、タイ語表示も食品登録番号(อย.番号)もない大麻入りゼリー90個を押収したと正式発表しました。今回の摘発は、チャンタブリー県で父親・母親・2歳の男児の3人が大麻入りとみられるゼリーやケーキを食べ、健康被害を受けた事件がきっかけとなっています。このうち父母は意識消失やけいれんを起こし、一時昏睡状態に陥りました。この記事では、事件の経緯と、旅行者・在住者が気をつけるべきポイントを解説します。
何が起きたのか
報道によると、タイ食品医薬品局(FDA)、中央捜査局(CIB)、タイ伝統・代替医療局は10月29日、裁判所の捜索令状に基づき、バンコク・パトゥムワン区ワンマイ地区、バンタットーン通り周辺の建物2階を捜索しました。
現場では26歳の女性従業員が捜索に立ち会い、大麻や乾燥大麻花が販売されており、子ども向けの菓子に似せた色鮮やかな包装の大麻入りゼリー90個(推定評価額約5万バーツ)が押収されました。
押収品にはタイ語表示も食品登録番号も記載されていませんでした。なお、販売価格(1個80バーツ)と押収品の評価額(約5万バーツ)はそれぞれ別に発表された数字で、単純に掛け合わせた金額ではありません。
時系列
- 10月14日:チャンタブリー県クラーン郡で、父親(27歳)・母親(19歳)・2歳の男児が、オンラインで購入したとみられる大麻入りのゼリーやケーキを食べ、体調不良を発症
- 10月15〜16日:チャンタブリー県保健当局が健康被害を公表。家族3人は治療を受け、安全な状態になったと発表
- 10月29日:FDA・CIB・伝統医療局が合同でバンコクの販売施設を捜索、ゼリー90個を押収
- 11月1日(本日):FDAが押収結果と捜査状況を正式発表
重い症状がみられたのは父親と母親で、意識消失やけいれんにより人工呼吸器を必要とするほどの一時昏睡状態に陥りました。2歳の男児については、強い眠気や反応の低下(傾眠)がみられたと発表されており、昏睡や人工呼吸器という記述は確認できません。タイ保健省は10月15日時点で、3人全員が治療を受け、安全な状態になったと発表しています。
また、家族がオンラインで注文した菓子に大麻成分が含まれていることを購入時に認識していたかどうかは、現時点で確認できる資料からは判断できません。
押収された製品と販売の実態
報道によると、押収されたゼリーには次のような特徴がありました。
- 子ども向け菓子のようなカラフルな包装
- タイ語表示なし
- 食品登録番号(อย.番号)なし
- 大麻(カンチャー)成分を含有
- 1個80バーツで販売
- 店舗販売に加え、SNSでも宣伝・販売
捜索に立ち会った26歳の女性従業員は、約1年間にわたり、一般客だけでなく外国人観光客にもこの大麻入りゼリーを販売していたと説明しています。当局は、こうした商品が子どもや若者の目に留まりやすく、意図せず口にしてしまう危険性を問題視しています。
なぜ大麻入りゼリーで意識を失うことがあるのか
大麻に含まれるTHC(テトラヒドロカンナビノール)は脳や神経に作用する成分で、大量に摂取すると強い眠気、めまい、混乱、吐き気、嘔吐、意識障害などが起こる場合があります。特に小さな子どもは、少量でも重症化する可能性があります。ゼリーやクッキーに混ぜられた大麻は、吸引する場合と異なり、食べてから作用が現れるまで30分〜2時間程度かかることがあり、効果が想定より長く続く場合もあります。また、成分量の表示が不正確・不明な製品も多く、通常の菓子と見分けにくいため、子どもが誤って口にする危険があります。なお、今回の押収品についてはTHC・CBDの詳しい成分分析結果が11月1日時点でまだ出ておらず、「法定基準の何倍のTHCが含まれていたか」といった数値は現時点で断定できません。
タイの大麻入り食品に関する規制
タイFDAは、大麻成分入り食品には安全性の審査や適切な表示が必要だと説明しています。FDAの認可対象となる食品は、THC含有量が1包装あたり1.6mg以下と定められており、子ども・妊婦・授乳中の女性は摂取しないよう警告表示が求められています。今回の事案で検討されている主な容疑は次のとおりです。
- 無許可での規制対象ハーブ販売:1年以下の禁錮・懲役または2万バーツ以下の罰金、あるいはその両方
- 不適切な表示の食品の製造・販売:3万バーツ以下の罰金
- THC・CBDの基準超過:分析結果に応じて追加容疑を検討
これらは現時点で検討されている容疑・罰則であり、関係者への有罪判決が確定したものではありません。
旅行者・在住者へのポイント
タイでは大麻の一部が合法化されていますが、大麻入り食品には厳格な規制があります。見慣れないゼリーやグミを購入する際は、次の点を確認してください。
- タイ語の成分表示があるか
- 食品登録番号(อย.番号)が記載されているか(タイFDAのLINE公式アカウント「@FDAThai」でも照会可能)
- 包装に「Cannabis」「THC」「CBD」などの記載がないか
- SNSのみで販売されている出所不明な商品ではないか
- 子ども向け菓子に似た色鮮やかな包装ではないか
成分が分からない食品は子どもの手の届く場所に置かないようにしてください。万一、子どもが大麻入りと疑われる菓子を食べた場合は、症状が軽くても早急に医療機関へ相談し、意識障害・けいれん・呼吸異常がある場合はすぐに救急番号へ連絡してください。
- 救急医療(意識障害・けいれんなどの緊急事態):1669
- タイ食品医薬品局(食品安全・違法販売の相談):1556
- 消費者保護警察(違法商品の情報提供):1135
タイの大手メディアおよび現地メディアの報道をもとにまとめています。
まとめ
タイ食品医薬品局は11月1日、バンコク・バンタットーン通り周辺の建物で無許可の大麻入りゼリー90個を押収したと発表しました。今回の摘発は、チャンタブリー県で家族3人が大麻入りとみられる菓子を食べ健康被害を受けた事件がきっかけで、父母は一時昏睡状態に陥りましたが、3人とも治療を受けて安全な状態になっています。タイでは大麻成分入り食品に厳格な規制があり、出所不明の菓子は購入しない、子どもの手の届く場所に置かないといった基本的な注意が重要です。
親子が大麻入りゼリーと認識して食べたのは不明ですが、子供向けのお菓子に似せたデザインは極めて悪質です。もし私が知らずに購入して海外へ旅行しようとしていたらと考えたらゾッとします。個人的にはお菓子や飲料水なども大手コンビニや量販店でのみ買うようにしています。
過去にも味の素やタバコの偽装事件を見てより注意しています。

FAQ
親子3人は今も昏睡状態なのですか?
報道によると、タイ保健省は10月15日時点で、3人全員が治療を受け安全な状態になったと発表しています。一時的に重篤な状態だったのは父母のみで、現在も意識不明という状況ではありません。
2歳の子どもも昏睡状態になったのですか?
報道によると、2歳の男児については強い眠気や反応の低下(傾眠)が確認されていますが、昏睡や人工呼吸器が必要だったという発表は確認できません。重篤だったのは父母です。
大麻入り食品かどうか、どう見分ければよいですか?
報道によると、タイ語表示・食品登録番号(อย.番号)の有無や、「Cannabis」「THC」「CBD」などの記載を確認することが推奨されています。出所不明な商品やSNSのみで販売されている商品には注意が必要です。
大麻入り食品を食べてしまった場合、どうすればよいですか?
報道によると、症状が軽くても早急に医療機関へ相談することが推奨されています。意識障害・けいれん・呼吸異常がある場合は、タイの救急番号1669にすぐに連絡してください。
出典・参考サイト
著者プロフィール

Keita Satou:バンコク在住10年以上。旅行ライセンスを持つタイ法人に勤務する傍ら、ライターとしても活動。タイ在住日本人向けメディアとタイ人向けメディアを運営し、日本のテレビ・各種メディア向けに現地情報も提供している。Facebook(フォロワー約1,900人)をはじめ、複数のSNSで合計8万人以上のフォロワーを抱える。職業柄、各業界のタイの裏話や現場の実情に触れる機会も多い。
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